【変化】コロナによって消費行動がどう変わっているのか?

コロナによる外出抑制による巣ごもり消費、景気の先行き不安による消費抑制が起きている。その実態を把握するための調査レポートを以下にまとめる。

BCG

2020/4/30 BCG調査

「新型コロナウイルスに関する消費者意識調査の結果を発表: 日本では他国に比べ支出を控える傾向~BCG 調査」

BCGが日本人の支出パターンの変化を国際比較も交えて調査結果を発表している。以下にポイントを引用しつつ、コメントをしていく。

「新型コロナウイルスの影響で景気が後退す る」との回答は 89%に上り、被害の大きいヨーロッパなどと同程度の割合です(図表)。また、80%以 上が「1 年以上は経済の回復は見込めない」と回答し、うち半分の 40%程度は「今後数年間は回復し ない」と答えました。「新型コロナウイルスによる最悪の事態はまだ脱していない」と回答した人の割合 も 82%でした。

https://media-publications.bcg.com/BCG-COVID-19-BCG-Perspectives-Version4.pdf

消費者心理は、かなり急激に冷え込みつつある。企業経営者のコメントや、経済予測、倒産・失業など、かなりマイナスのニュースが出てきている中で、今後は、ますます消費者マインドが冷え込む可能性がある。

コロナによる外出抑止・接触抑止によるマイナスインパクトの段階(フェーズ1、時期的には3月中から4月末)の段階から、各種マイナスのニュースによる消費者心理の冷え込みの段階(フェーズ2、5月~6月)の段階に移りつつあり、今後、不況による失業や世帯収入減による徹底的な節約(フェーズ3、7月~9月)へと移行しつつあるように感じている。

日本の消費者は支出を控える傾向:今後 6 カ月の消費見通し 今後 6 カ月の消費見通しをさまざまな項目について聞いたところ、日本の消費者は、支出を増やす項 目が他国と比べると少なく、挙げられたのは「加工食品」「食料品や主食」「テイクアウト・フードデリバリ ー」といった短期的な需要についてのものでした。理由としても、買いだめに対する不安を挙げる人が 多く、たとえば 27%の回答者が「支出を増やす」とした加工食品について、58%が「供給不足に備え てストックを増やすため」を理由としています。他国では増やす傾向のある「貯金」についても、日本で は 38%が減らすと回答しています。

外出抑制、巣ごもりのための備蓄を増やしている状態が見てとれる。

支出を減らす項目としては「遊園地、テーマパーク等」「旅行」「レストランでの食事」「高級ブランド品」 「公共交通機関での移動」などが上位に挙がり、これらについては消費者の 50%以上が減らすと回答 しました。

移動を伴うエンターテイメント、ファッションや高級品への支出などは、ほかの調査でも減少傾向が出ている。そもそも、人に会う必要がなければ、ファッションや高級品も必要がないのだろう。北欧やドイツのような節約を第一として、お金を稼ぐ事よりも、家族と過ごす時間や、住みやすい家づくりを大事にするライフスタイルにシフトしつつあるかもしれない。

「巣ごもり需要」に伸び、オンラインは若い世代で大きく増える 外出自粛要請に伴い、「巣ごもり需要」が伸びていることも分かりました。「テイクアウト・フードデリバリ ー」は 26%、「動画サービス」は 22%の人が支出を増やすと回答しています。

Uber Eatsが走っている姿をすごく目にしている。利用者の増加、出品メニューの増加、配達者の増加が奏功している印象。また、動画ストリーミングの利用が増えているという統計はいろいろなところで出ている。外出できないとなると、やはり、ゲームか動画ストリーミングという事なのだろう。

また、オンラインショッピングサイトの利用については 40 歳未満と 40 歳以上で伸びが大きく異なりま す。「複数のブランド/企業の商品を扱うオンラインショッピングサイト」の利用では、通常より支出を増 やすと答えた消費者が、40 歳以上では各年代 10~20%台にとどまったのに対し、18 歳~29 歳では 39%、30 歳~39 歳では 33%と高い割合でした。

EC化は、世代間ギャップがあるのだと思う。シニア世代は、やはり、手に取ってみてみたい、専門店・量販店などで、店員のアドバイスをもらいたいというニーズが強い。一方、若年層は、ネットでの購買体験になれている。アフターコロナの世界でも、世代ごとに販売チャネルを分けないといけないという状況になるだろう。米国のD2Cブランドでは、オンラインでビジネスを立ち上げたのちに、店舗展開という定番のセオリーがあった。アフターコロナでも店舗がゼロになるとは思われないが、ショッピングモールを忌避する傾向は強い事から、デジタル比率が高いオムニチャネルビジネスを設計する必要があるだろう。

COVID -19 BCG Perspectives

Facts, scenarios, and actions for leaders Publication #4 with a focus on Accelerating Digital & Technology Transformation

Version: 1 May 2020

こちらは5/1にBCG出したデジタル化全般に関するレポート。情報が網羅的で助かる。コロナをきっかけにデジタル化全般を推進しようという企業の機運がわかる。a)コロナが起因で人が動けない→コンピュータにやらせようという理由と、b)不況によるコスト削減・リストラ→コンピュータに補完させよう、c)競争優位性を維持するためには、DXの波に乗り遅れてはいけない、リモートワークもそうだし、デジタル化全般乗り遅れるのはまずい、という経営心理が働いていると思われる。

以下、ポイントをハイライトして紹介しよう。

経営者はDXを加速させる必要があると考えている。

アナログでビジネスを展開していた部分を全部見直す必要性が出てきている。オンライン教育、化粧品販売のためのインフルエンサー活用、オンラインでのアドバイス、金融機関がデジタルマーケティング強化、飲食メーカーがオムニチャネル強化、オンライン系のDJ配信やEゲーム、インフルエンサーへの出稿、自動車メーカーが接触ゼロで納品するなど。

コロナ下で収益改善をするときの考え方。整理する上で分かりやすい。商品ラインナップの見直し、オペレーション見直しによるコスト削減、データ活用などが必要。売上のアップリフトが見込めるのは、やはり、マーケティング周りだけ。商品開発の高速化、データ分析、オペレーションの自動化が重要だ。


https://media-publications.bcg.com/BCG-COVID-19-BCG-Perspectives-Version4.pdf

COVID-19 Consumer Sentiment Snapshot #7: Retracing the Old Normal

https://www.bcg.com/ja-jp/publications/2020/covid-consumer-sentiment-survey-snapshot-4-06-27.aspx

McKinsey

Survey: US consumer sentiment during the coronavirus crisis

右下が激しくEC化(店舗からECへシフト)しているカテゴリ。右上はEC売上も、店舗売上もともに伸びている。左下は、単純に支出が削減されている。

巣ごもり消費の傾向が顕著に出ている。

ストアブランド(プライベートブランド)へのスイッチや、ECへのシフトが顕著。

海外旅行やショッピングモールでの買い物、映画・コンサートなどのイベントなどは、アフターコロナでも現象する見通し。

右上は急激にリモート化が進んだ領域、右下はリモート化が進み一定定着する可能性がある分野、左上は、一時的にリモート化しているが、アフターコロナ―で一定リアルに戻ると思われる領域。

若年層はオンライン系のエンターテイメントを利用。

Coronavirus (COVID-19) Marketing & Ad Spend Impact: Report + Statistics

https://influencermarketinghub.com/coronavirus-marketing-ad-spend-report/

オンラインへの広告シフトの傾向が。


59.小売メールの開封率は週に25%上昇

おそらく驚くべき統計は、消費者が家にいる間のメール開封率に関連しています。メールの開封率は、小売店で週に最大25%上昇しています。明らかに、人々は現在、より多くの時間を手にしており、電子メールを開いて読むためにより多くの時間を割くことができます。

毎日のメール開封率は、通常、毎週5〜10%増加しています。

関連するもう1つの変更は、電子メールが開き、やり取りがモバイルよりもデスクトップで増加したことです。明らかに、以前よりもスマートフォンではなく、より多くの人々が自宅でラップトップを使用してメールをチェックしています。デスクトップでメール通信を読むと、モバイルデバイスよりも気が散らないブラウジングエクスペリエンスが提供され、消費者は長いコンテンツを読むのにより多くの時間を費やしています。

62. 2月のイタリアのYouTube視聴が20倍に増加

COVID-19の封鎖に直面した最初の国はイタリアでした。明らかに、住民が家に引っかかっているため、彼らは自分の時間で何かをしなければなりませんでした。多くの人が余暇を利用してYouTube動画を視聴していました。2月の最初と最後の日の間、イタリアのYouTube視聴数は20倍に増加しました。これらの統計には3月は含まれていませんが、その月に視聴者数がさらに増加し​​た可能性があります。

英国のYouTube視聴時間は2月に「のみ」増加し、6.5倍になりましたが、これはおそらく、コロナウイルスがそこに留まるのに時間がかかったという事実を単に反映しているだけで

63.最もヒットした国のFacebookメッセージングが50%増加

コロナウイルスの間によく使われるもう1つのソフトウェアは、インスタントメッセージングアプリです。Facebookはこの数か月間で、MessengerとWhatsAppの両方の使用が確実に急増している。ロックダウンが最も厳しい国は、メッセージングアプリで最も使用されています。危機が始まって以来、Facebookのイタリアでのアプリの利用時間は70%増加しています。InstagramとFacebookのライブビューは1週間で2倍になりました。グループ通話(参加者3人以上)は、1か月で1,000%以上増加しました。

64. COVID-19に関するTwitterの会話が3月に4倍に増加

Twitterは、COVID-19が3月の会話の重要なトピックであったことを指摘しています。世界的には、トピックに関する会話は、2月のツイートと比較して、その月に4倍に増加しました。

2月には、COVID-19の問題に関連する、1日あたり比較的一貫した100万件の世界的な投稿がありました。しかし、3月には、世界で起こっている出来事と同時に、いくつかの大きなスパイクが見られました。米国の株式市場が最初に動揺したとき、それは最初に500万から600万に急上昇した。その後、米国が3月中旬に緊急事態を宣言したため、会話は1日に2000万件に増加しました。3月の残りの間、トピックに関するTwitterの会話は、毎日1億3千万〜2千万の投稿の間を行き来しました。

https://econsultancy.com/stats-roundup-coronavirus-impact-on-marketing-ecommerce-advertising/


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