以前、ツイッターで高山京子さんにご紹介いただいだ中上健次の『岬』を読んだ。
田舎の、複雑な血縁関係がもたらす近親憎悪。ここまで複雑・深刻ではない(はず)とはいえ身につまされる感もあった。
月並みで野暮な感想になりそうなので、あれこれ書きたくはない。
内容は深刻。登場人物の相関関係も正直ややわかりにくい。それでも読ませるのは、きっと、文章のテンポ、切れ味が良いから。
短文で畳みかける。テンポの良い文章のなかにスッと真理(のような、「そうだよな?そうだろ?」という、読み手への問いかけでもあるかのような断定)が書き込まれている。
物語上、いちばん痺れた一文はこちら。この場面。主人公の心はいまにも壊れてしまいそうだ。