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横瀬夜雨

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長塚節と横瀬夜雨

長塚節と横瀬夜雨

春日部市立図書館庄和図書館で出遭ったこちらの一冊。
写真豊富で往時が偲ばれ、史料として大変貴重なものだと思います。

以下、特に興味深かった磯山松翁氏による「節と夜雨」。

水上勉『筑波根物語』より

水上勉『筑波根物語』より

「夜雨は四歳の時に業病にとりつかれた。佝僂病である。いわゆるせむし病といわれる病気で、脊柱が病んだため、足腰がたたなくなるという苦痛を伴う病気であった。」p4

「少年時のごくわずかの一時期をのぞいて、五十七歳で死ぬまで、夜雨は歩かず、起たず、大屋根の下で起居したまま命を絶ったのである。」p5

「私が、横瀬夜雨の名を知ったのは、ずいぶん古いことであるけれど、夜雨の生涯に興味をもつようになったのは

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横瀬夜雨『筑波ねのほとり』

横瀬夜雨『筑波ねのほとり』

横瀬夜雨『筑波ねのほとり』を読んだ。
1926(大正15年)6月発行というから、100年近く前の作品ということになる。

筑波山。小貝川。
横瀬の父祖の時代のこと。横瀬自身の幼少期のこと。

当時はどのようなものであったかと想像を巡らせる必要もないほど、僕にさえどこか懐かしく、優しく、横瀬が目にしたであろう情景、横瀬がいたであろう情景が浮かんでくる。

「我が此川を見た最初の記憶は、きみが背中に負

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