墓ありじいさん 墓なしじいさん

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記事

【序章】墓ありじいさん、墓なしじいさん登場

【序章】墓ありじいさん、墓なしじいさん登場

【第一章】モノをとおしたコミュニケーション

【第二章】物語を伝える場所

【第三章】時間的価値

【第四章】境界を越える

【第五章】美は広がり、つながる

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ここに、二人のじいさんがいる。
一人は、数年前に連れ合いを亡くしたときにお墓を建てたじいさんで、もう

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【第一章 モノをとおしたコミュニケーション】  そこに「あの人」はいるのか?

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❝何であれ美しく見えるものはバランスを欠いている。しかしその背景は完全な調和を保っている。❞―鈴木俊隆(曹洞宗 僧侶)

最近オープンしたばかりの霊園へ見学に向かった、墓ありじいさんと墓なしじいさん。

見渡す限り、そこには同じカタチ、同じ大きさの墓石がずらりと並んでいた。
じいさんたちがこれまで墓地で見てきた墓石とは違い、大きさはかなり小さく、石種も似たり寄ったり、ノートパソ

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【第一章 モノをとおしたコミュニケーション】 じいさん、墓を建てる!の巻

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最終的にカタチになったものが心に残る(作った人にも、見た人にも)―吉岡徳仁(デザイナー)

期限付き墓地の「夫婦墓」を見学したことで、むしろじいさんは妻に似合う、そして妻が喜ぶであろうお墓を建てたいと考えるようになった。
それはもしかしたら、「妻」への想いをとおして「自分たちらしさ」を追求したい現れなのかもしれない。

そう考えはじめると、これから自分たちのお墓を建てるこ

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【第一章 モノをとおしたコミュニケーション】 自分たちのお墓を持つということ

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壊した家を出たくせに 今 私達は 新しい家をつくる
ここがHome Sweet Home 愛する人たち
されどHome Sweet Home たとえ一人きりになったとしても
Home Sweet Home-矢野顕子(アーティスト)

お墓のカタチ、石種も決まり、墓碑に彫る文字を決めることになった墓ありじいさん。この文字に関しては、息子に希望があった。
「感謝と彫りたい」と。

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【第二章 物語を伝える場所】/そこは約束の場所

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❝物語はまさに人類の歴史とともに始まるのだ。物語をもたない民族はどこにも存在せず、また決して存在しなかった。
物語は人生と同じように、民族を越え、歴史を越え、文化を越えて存在する。❞
<ロラン・バルト 「物語の構造分析」>

妻のお墓を建てて、はじめてのお彼岸。お盆休みに帰省した息子が、今回も子どもを連れて帰ってきた。

「長い連休をもらったから、息子の遊びがてら墓参りに来たよ

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【第二章 物語を伝える場所】/双方向的なコミュニケーション

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❝我々は我々の歴史的身体の行為的直観において物を道具として有つ、その極限において世界が道具となる、世界が自己の身体の延長となる。❞

西田幾多郎「論理と生命」

妻のお墓が建ってから早5年が経った。
七回忌も終え、長男の孫も小学生になった。そして、「私は一人でも生きていける!」と鼻っ柱の強いことを言っていたしっかり娘にも、ついに良い伴侶が現れ、今年は彼女の結婚式が控えている。

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【第三章 時間的価値】/古いアルバムのように

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❝私の部屋にあるものは蒐集品ではない。その連想が私独自のもので結ばれている記念品の貼りまぜである。時間と埃をも含めて。

そのごっちゃなものがどんな次元で結合し、交錯しているかは私だけが知っている。❞  <瀧口修造 夢の漂流物>

大きくなった内孫、外孫があつまった妻の13回忌。普段は静かで広々としている墓ありじいさんの家も、この日ばかりはにぎやかな一日となった。

「妻も喜ん

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【第三章 時間的価値/そこにあるのは希望】

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❝人々には『未来』などない。あるのは『希望』だけだ❞
<哲学者 イヴァン・イリイチ>

「そうか、わかった…」

墓ありじいさんは、息子からの電話を切り、大きく深呼吸した。が、そのあとすぐに崩れ落ち、誰もいない広い家で大きな声をあげて泣いた。

その電話は、息子の二番目の孫が息を引きとったという連絡だった。

身体があまり丈夫でなかった孫だったが、成長とともに解決していくもの

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【第四章 境界を越える】拡張し、一体化する者たち

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❝融合において、私はあなたを知り、私自身を知り、すべての人間を知る。
愛こそが他の存在を知る唯一の方法である。❞
<エーリッヒ・フロム「愛するということ」より>

孫の三回忌と妻の十七回忌法要を一緒につとめた、墓ありじいさん。

息子夫婦は少しずつ自分たちのリズムをとり戻し、日常生活を送っているように見えた。

娘夫婦にはふたり目の子どもができ、内孫と外孫と一緒ににぎやかに過ご

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【第五章 美は広がり つながる】 あなたが私にくれたもの

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❝空間と時間とは直感の形式として人間の感性にアプリオリに備わっている。人間はそれらの形式に当てはめて対象を直感するのである。❞

<イマヌエル・カント(ドイツの哲学者) >

「さぁ、おじいちゃんのところにお花を持っていって」
「はぁ~い

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