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本当のMTGについて考える。トレーディングカードの話。

ことの発端

 ある日、マジック:ザ・ギャザリングの開発部首席デザイナーのマーク・ローズウォーターがこんな言葉をブログに残した。「本当のMTG」。要約すると意味合いは以下のようなものだった。

MTGアリーナは紙のマジック:ザ・ギャザリングを忠実にある再現したデジタルカードゲームであるが、依然それは本当のMTGではないという意見を目にする。」

というものだ。デジタルのカードと紙のカードとどちらも同じルールの元に行われるカードゲームであるのに、なぜ紙のカードが本物のカードであると多くのは人は考えているのだろうか。これについてスナガガは考えてみた。

本物のマジック:ザ・ギャザリング

  私は本物のマジック:ザ・ギャザリングというものは、現実に生きる私達には認識できないものだと考えている。なぜなら「本当のMTG」というのは、これまでに築き上げてきたMTGゲームシステムと歴史、及びこれから先よりゲームをエキサイティングなものにしようとする開発の意志とその未来、そして純粋にそれらよってのみに引き起こされる様々なの感情だと思っている。
  そして私達はそれらを時にはデジタルを通して体験し、ある時には紙のカードを媒体に感じとるのでしかない。

なぜ紙が本物のと言われるのか

  ならなぜ紙が本物のと言われるのだろうか。それは多くの場合、紙のカードを使い向かい合ってマジックをプレイするときのほうが、「本当のMTG」によって引き起こされる感情や情報を多く受け取れるからだ。例えば、対戦相手の焦りや、楽しさ、自分自身の緊張や怒り、時には息遣いまでもが、紙のカードを本物のMTGへと近づけている。
  しかしだからといって紙のカードが全てにおいて優れているかと言えばそうではなく、イカサマや、ルールミスによって「本当のMTG」が想定していない負の感情を味わうことになることもあれば、言語の壁でルールを適切に処理できないなんてこともあるかもしれない。時にはルール通りに遊んでも、ゲームでの敗北などで引き起こされた怒りやストレスを目の前の対戦相手に、本当のMTGとは全く無関係な形でぶつけてしまうなんてこともあるかもしれない。

デジタルの課題とメリット

  デジタルというのは、伝達できる情報量に限りがあるので、紙のカードと比べれば得られる情報量は少ない。マリガンを悩んでいる表情や、純粋に楽しんでいる表情など知ることができない。しかし逆に行ってしまえば、それだけ多くの情報を毎回プレイヤーは処理をする必要はなく、気軽に「本当のMTG」にふれることができるし、毎回対戦相手に、非礼の無いよう配慮してプレイする必要もなく、ルールミスがあったとしても単なるプレイミスとして処理される。「本当のMTG」と無関係に生じるストレスにさらされる機会が少なくなるというメリットもある。

最後に

  結論として、私達はマジック:ザ・ギャザリングというシステムを切り取って遊ぶしか無い。その中で、多くの前準備が必要であったり、多くの配慮が必要な紙のカードをもって、より「本当のMTG」に近づいて遊ぶのか、「本当のMTG」以外の部分で引き起こされるストレスをなるべく軽減してデジタルで遊ぶのか、自分自身の気分と感情に相談して決めれば良い。そこに優劣はなく、あるのはメリットとデメリットだけだ。いつの日か「本当のMTG」をそのまま脳で味わえるとんでもない媒体ができるまで、紙もデジタルも発展して行ってくれることが私達プレインズウォーカーにとって最良の選択肢が増えることになると思うスナガガでした。


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