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倦むなら/欠けている セルフライナーノーツ


1st EP
倦むなら/欠けている

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 すなめり初のEPです。今までフルアルバムしか作ったことなかったのですが、曲も歌詞も動画もコンセプトが似通った曲がたまたま2曲あり、そしてそんな一致なぞ今後そうそう産まれる事はないので、2曲でパッケージングしました。


 どちらも三和音+ノイズのチップチューンで、歌詞に仕掛けがあり、動画でその仕掛けに気付く仕様になっています。
 このセルフライナーノーツでは動画についても触れる"ネタバレ仕様"になっているので、先に動画を見ることをオススメします。


倦むなら

 私は詞を先に書く人間なので、詞を書くという行為にマンネリが生まれる事もよくありまして。そんな時にふと「アナグラムで歌詞を書いたら面白いのではないか」という突飛なアイデアが生まれました。こういうアイディアが思い浮かぶときは決まって仕事に忙殺されている時なので、思い付いたものの作業をする時間が全然なく、長い期間を要することになりました。


 先に2番の歌詞を書き、それをひらがなに起こしたあと、一文字一文字を紙に書いてテーブルに並べ、あれやこれやと組み合わせて1番の歌詞を作っていきました。1番Aメロ→2番Aメロ、1番Bメロ→2番Bメロ…とそれぞれに対応しています。


 歌詞の出自が特殊ですから、それを最大限に魅せる動画も作らなくてはいけません。曲完成後もノープランでしたが、たまたまチップチューンで作っていたので、「ゲームにしてしまおう!」とアイデアが上手いこと生まれてくれました。


 たまたまAメロとBメロの文字数が41文字で同じで、動画を作りながら驚きました。そしてサビは99文字。1番で文字を得て2番で並べていくというのは、まさに文字をアイテムとして手に入れているともいえ、RPGのアイテム所持上限は概ね99個であることから、意図せずテーマに合致した文字数となりました。


欠けている

 倦むならが完成した時に思ったのは「もう二度とやらない…」でした。もちろん達成感はありました。しかしその道中の険しさがそれを上回っていました。


 ”倦むなら”から3年が経ち、仕事が忙しくなってきたある日。急にこの曲のアイディアが湧いて出てきました。そう、よりによって忙しい時期に。しかも、道のりの険しさはどこか懐かしい匂いがします。しかし思い付いたものは仕方がないので、取り掛かることにしました。


 まずはサビの歌詞を書きます。そして、サビの文字を構成しているひらがなや部首に注目し、頭の中で部品に分解していきます。続いてそれらの部品をもつ他の文字を、脳内もしくはウェブで検索し、文字の候補を出していき、それらを組み合わせてAメロとBメロの歌詞を書いていきました。Cメロでは倦むならも引用し、アナグラムも使いました。


 ラスサビで「それで っているから」という歌詞を書きました。本来は あ が入ります。しかし私には、"あっている"だなんて言い切れるほどの自信がなく、タイトルになぞらえるように欠けさせ、この曲を聴いてくれる人たちに何の文字を入れるかは委ねることにしました。それはもしかしたら製作者として無責任なのかもしれません。でもそれが”欠けている”ということなのかもしれない、と思っています。

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