見出し画像

新米母列車が行きつく先は

たまたま紹介されて目にした『新米母は各駅停車でだんだん 本物の母になっていく 母業23年つれづれ日記』という本。

題名を聞いただけでググっと興味をそそられました。いつの間にかスマホの画面は、図書館で書籍「予約完了」の文字。手元に届くまでそわそわ待つことなんていつぶりでしょう。メールで「準備ができました」と連絡が届き、やっと本を手にしたときは、ようやく読めるととてもワクワクした気持ちでゆっくりと一ページ目をめくりました。

東京・下北沢で暮らす四人家族の、兄妹子育てなどにまつわるエッセイ本。

我が家とちょっと似ている環境。日々著者が感じていることがまさに私のことかと思える文章。それをこんなにも言葉を巧みに使って表現できるのかとどんどん読み進めていきたくなってしまう内容。

一つ一つが2・3ページで子育て中の私でも、読みやすいのがとてもよかったです。

本文の一文から。

がんばりすぎているお母さんたちの肩の力が抜け、
少しでもほっとするようなもの。
失敗母さんの旗振り役。

第1子の時はほんとがむしゃらに頑張っていたし、2学年差で第2子が産まれた時も、この二人にとった最善とは、と毎日考え本当に頑張っていたなと最近あの頃を思い出す機会が増えました。

なぜ最近思い出すことが増えたかというと、気持ちの中では第1子に関しては子育ては終わったと思っている節があるからです。もちろん実際はまだまだ、もう少し子育ては続いていくだろうと思います。しかし、彼はすでに思春期に入りかかっているし、私自身も10歳すぎたら子育ての一区切りと思ってずっと育てていました。そんな状況で最近思うのは、親としてできることは見守ることだけだからです。

手のひらですくいあげた時間が、
指の合間からひとつもこぼれおちないように、必死だった。
別の果実に目がくらみ、大事なことが見えなくなりかけていた。

だいぶ間が空いて我が家には第3子がやってきました。

二人育児でてんやわんやしていた時と違い、上二人も第3子をとってもかわいがってくれているので、みんなで子育てをしています。そうなると、私自身にも多少のゆとりが生まれてきて、この時期の子はこんなことをするのか。確かに第1子もしていたかも。いやいや見逃していた、覚えていないよ。私何していたんだろう・・・。といろいろな感情が渦巻きます。

子育てはジェットコースターのように

こぼれおちないように、全部すくいあげるぞと思っていたはずなのに、その頃の記憶だけなぜか抜け落ちていて、子育てを楽しむというよりは毎日が本当に必死で、大事なことをおいてけぼりにしてしまったあの頃。

人生にイエローカードが出ることはあってもレッドカードはない
イエローからいっぱい学べばそれで結果オーライなのだ。

この言葉にどんなに救われることか。

「いま」の彼らを見ていると日々緩急激しいジェットコースターではあるけれど、楽しそうにそして時にぶつかり合いながら「家族」をやっている。

育児は、慣れない親業という行き先のわからない電車に飛び乗り、
駅を通過するごとに手探りで、
少しずつ乗り方や旅の仕方に慣れていくようなものかもしれない

子どもの成長とともに、やっと慣れたと思ったら、また一段上に行く子どもたち。先を歩いているのか、追いかけているのか。常にタスクは違う形でやってくるのです。

今、私はどこにいるのでしょうか。永遠にこなそうな終着駅だけれど、一人一人に今できることを私なりに楽しみながら精一杯これからも向き合っていけたらいいな。


#推薦図書

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?