夜中のラーメンと愚痴

大人数が入れる座敷のお店を探すのは大変だった。駅近を条件にすると、ほとんどない。
それでも新大宮の【もつ粋】という、もつ鍋のお店を予約。事前に予約確認の電話をくださる良心的なお店だった。
小さいこどもを合わせて総勢14名、
それぞれ【数年振り】や【初めて会う】気恥ずかしさもありつつ、和気あいあいとした時間となった。
特に義両親の、ひ孫に会えた嬉しそうな様子は『来て良かった』と思えたし、大学生になった甥っ子、姪っ子と対等に話せるのも楽しかった。久しぶりに息子たちにも会えた。
お料理もおいしかった。
ふたりの嫁ちゃんには気を遣わせて申し訳なかったけれど、今回みんなで集まれて良かったと心から思う。

(こんど集まるときは誰かのお葬式かも。)

元気でね、またね、と別れた。
ヘトヘトにくたびれた。
お腹もいっぱいだった。
早くホテルに帰って寝たかった。

旦那が言う。

『ラーメン行こ。』

出ました。

お腹いっぱいで食べられないよ！　

『俺は何にも食べてへんねん！』

旦那は飲むときに食べないタイプだ。
もったいないし、体にも悪い。

結局、しつこさに負ける。
近鉄奈良駅からすぐの天理スタミナラーメンに入る。
旦那の食べるのを見ているつもりだった。
が、しっかり私の分も注文していた。

おいしいけれど、どんなに頑張っても食べきれない。
大量に残した。
旦那はチャーハンとラーメン（私の分も)平らげつつ、わけのわからない愚痴を言い始める。

グチグチグチ　グチ　グチグチ
　グチ　グチグチグチグチ　グチグチ
グチグチグチグチグチグチグチグチグチグチ

ホテルに帰ったときには怒りになっていた。
会社への怒り、上司や部下への怒り。

そして家族への批判。親とのわだかまり。モヤモヤとした悲しみ。

…あんなに楽しそうに飲んでいたのに！？

延々と続く意味不明なグチ祭りを見学しながら考えた。なんだろう、これは。
スイッチが入ったのはおそらく、私がラーメンを残したことだ。
多少お腹いっぱいでも、自分の大好きな天スタラーメンを、おいしそうに食べてほしかったのだろう。…知らんがな。

（これぞパワハラなんですけど。ラーメンハラスメントなんですけど。)

そして、そこに至る過程で【久しぶりに家族に会った】。
和やかな時間に見えたけれど、旦那はそうじゃなかったのだ。
嬉しかったけれど、感情がグラグラしたのだ。
自分の家族との時間は、そう単純じゃないから。長年の積み重ねがある分、ちょっとした一言に傷ついたりしているから。
そしてそれを、一生ひきずったりするから。

そして改めて思う。

こんど集まるときは誰かのお葬式だな。

とかく家族は難しい。
（でも、心から感謝！)

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