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彼女が最後に見たものは まさきとしか 読書感想

見付かった身元不明の女性の遺体 どうやらホームレスらしい
彼女の指紋は未解決だった男性が刺殺された事件で採取されたものと一致していた
事件はどこで繋がっているのか 三ツ矢と田所二人の刑事が謎を追う

この話、とても自己中心的な人物が多くて読んでいてだんだんと気が滅入って来た
特に承認モンスターのあの人
SNSで幸せのタグを大量につけて、私は幸せと発信するのに熱心過ぎてかなり引く

一番真っ当なのが被害者である松波郁子で、遅くに結婚して夫とつつましく生きているのに更年期障害が酷くなり働くにもままならない、更に夫の会社は倒産寸前でしかもあなたまで辞めたら首をくくらなきゃいけなくなるからと半ば脅して無給で働かされた上に消費者金融でお金を借りさせて借金を背負わされて家を売らなきゃいけなくなって、生活保護受けようとしたら更年期障害は甘えと言われて門前払い夫はその後身体を壊して死にました 

酷過ぎるよ 何したっていうレベル

正直抗議として役所の前で死ぬ死ぬ騒いだほうがいいレベル

その郁子と反対側にいるかのように刑事の二人以外の事件に関わる人らは自分が自分がと勝手な行動ばかりで(もちろんモブで郁子に親切な人もいるが)対照的で嫌になってくる


事件というよりも人の醜さを描いた作品

そして読んでいる内に、郁子に同情していた自分に三ツ矢の一言が突き刺さる


「でも、だからといって彼女の人生がかわいそうなものだと決め付けるのは、彼女に対して失礼ではないでしょうか」

彼女が最後に見たものは

こんなに酷い目にあったからかわいそうに違いない
そう決め付けたことを恥じる
最後に彼女が見たものは、ただの絶望ではないと信じている

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