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あくてえ 山下紘加 読書感想

痴呆気味の祖母を引き取って暮らしているゆめ 主に祖母の世話は母・きいちゃんだが口の悪くて文句ばかりの祖母とゆめは毎日衝突している

タイトル通り、あくてえ(悪態)をついてばかりの主人公のお話

うんざりするような出口の見えない介護生活が生々しく描かれている

しかし祖母の世話といっても、父親の実母で母とは血の繋がりはない
その父親は浮気して子供を作り、母とゆめを捨てて別の家庭を持っている
祖母の介護をする義務はきいちゃんにはない
一旦は父親の新しい家庭に行ったものの、祖母はそこが居心地が悪い場所できいちゃんとゆめの家にいたいとやって来た
生活費は渡してもらっているものの、額を減らしたり、最後の方は借金を作り送金をしなくなる父親にいい加減にしろと怒りがわく

しかしこの状況を作っているのは紛れもなくいいなりになって祖母を引き取り面倒を見ている母親である

浮気して離婚した上に、母親の面倒を見させるなとつっぱねておけば良かったのに出来なかったきいちゃんの弱さ
ゆめもなんとなくここは気付いていると思う
弱い人は断れないとどこまでも付け込まれ、食いものにされる

祖母が入院した時、母とゆめとでスーパーの割引とはいえ刺身を食べて美味しかったという描写があった
もう祖母がいない方が幸せなんだって気付いているんだよ

感謝もなく、さらに面倒を放棄した父親がいればといい、そちら側の孫がかわいいと言う これでどう愛着が持てるのだろう

きいちゃんが決断しないからどんどん悪い方へと進んでいく
しかしながらこれは物語なので本を閉じれば終わりになる
現実は終わらないまま悪い結末が訪れる可能性がある

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