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真昼なのに昏い部屋 江國香織 読書感想

夫の家を守り丁寧な暮らしをする美弥子を小鳥のようにと称して夢中なジョーンズ
時間があれば美弥子をフィールドワークという散歩に誘い家から連れ出す

不倫小説 どろどろした部分はほぼ無いのにタイトルのせいか何かよくないものを予感させながら読む

美弥子の夫の浩は典型的に話を聞いていない男で、これは浮気されてもしょうがないよねという意図を感じる
直接的には書かないけど美弥子の中で不満が降り積もっていくのが見える。きちんと丁寧に暮らしている美しい生活。ただ夫はまるで話を聞かないので二人の会話は噛み合っていない。

そこにジョーンズという講師の為、平日に時間がある男が散歩しましょうと誘って来て乗ってしまう。
こんなに頻繁に会っている本人、もう不倫する気満々になっているのに気付いてない
自覚したら開き直って家を出て外泊もする

小鳥みたいな美弥子は外に世界があるのを知って戻らない決意をする
浩はやり過ごそうとしたが美弥子は離婚に動く

その美弥子の現状をしって、あーあ好きだった小鳥じゃなくなった、で終わるジョーンズの不誠実さにやっぱりなと笑った

最初から離婚しないという妻を放置して日本に来て、学生の内はダメだけど卒業したらOKと元教え子と関係も持って、それで美弥子にも言い寄って、って不誠実の塊のような男だからこうなるだろうなと予想出来る

不倫って素敵!と見せかけて、後先考えずに声掛けてくる不誠実な男を選んだのは自己責任ですよと現実をぶつけてくるのが面白い。
ラストにこの小説のすべてが込められている。

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