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スイート・マイホーム 神津凛子 読書感想

まほうの家 チラシに惹かれて家を建てようかと見学へ行く主人公
長野県の冬は厳しい この家なら温かく過ごせると決める
しかし家には何かがいるようで訪ねてきた友人や、遊びに来た子供が怯える
更に不可解な事件も主人公の周りで起きる

ホラーのようでサスペンスで、サイコな物語

家にいる不気味な存在は霊か化け物か 

しかしこれ防ぎようがないものじゃないかな ここまで入念にされると事が起こってからじゃないと無理

家を買おうとする人が読んだら不審になりそう

終わり方がこんなことになるなんて、という引きずり方

おぞましいと宣伝されているだけある おぞましいと同時に悲しい

主人公自身の行動が色々同情できないところが多くて、なんか罰受けたような終わり方だけど、むしろ本人になにか下った方が良かった

罪のない者にされるのはきつい。


本編からの流れとは離れるが主人公の賢二には兄がいて、統合失調症で数年前からすっかり人が変わり見張られているだの言い出して日常生活もままならない

実家からも足が遠のき、家を建てるのも言い出しにくい状況

実際兄の症状は改善していないように書かれているので、出口の見えない状況に苦しくなる

それを打ち明けた刑事が言った言葉が印象的

「患者本人は、本人の感じる楽なところまで寛解し満足しているのに、周囲の人間はそれでよしとしない。元の人格に戻るまで諦められない。その齟齬こそが患者本人を苦しめているとも気付かずに」
「このままで充分なのに周りが許してくれない、とね。特に、家族が納得しないと。一番の理解者であってほしい家族が一番彼を苦しめる。家族も悪気があってそうするのではないのです。彼を想うがゆえ、愛するがゆえに元通りの人格、生活を望む。
彼は言いました。家族を愛し、また愛することこそが願いで、それ以上は望まないのに。
家族はさらなる高みを目指し自分を追いつめる。それは自分の目標ではないのに、その山の頂を目指さざるを得ない状況にさせられ死ぬほど苦しいと」

身近な人ほど、以前の好きだった頃に戻って欲しいと願う

それが残酷なんだと気付かされる




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