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下流の宴 林真理子

高校を辞めた息子は成人してもバイト生活
なんとか大学に行かせたい由美子だが息子は年上の女性・珠緒の家に転がり込んで結婚をするという
挨拶に来ても靴も揃えない土産も持ってこない言葉使いも気に入らない
息子の翔が珠緒の弟に保険証を貸して詐欺の片棒を担がされそうになったのが決定打となり侮辱の言葉を吐く
そんなに偉い家なのかと珠緒はだったら自分は医学部を目指して医者になってやる、そしたら謝罪しろと啖呵を切った。


子供が嫌がっている、勉学に向かない その現実から目を逸らし続ける由美子の姿にどうしようもないなとなりながら読んでいた
息子は息子で祖母からも死んでいると言われているくらい、向上心ゼロ人間
バイトで生きていけばいいというが作中で他の人達からアドバイスされているように年齢重ねたらやれるバイトは限られて来ると思う

逆に娘の可奈は必ず素敵な奥様になっているという野心家
セレブ妻になりたい それだけの為に生きているから終盤、夫が仕事が立ちいかなくなると自分が支えようとする考えは出て来ない
もし可奈が正社員として働いていたら、もっと違う未来もあったのではないか


散々育ちや家を馬鹿にしていた珠緒の方が人の助けを借りて医大に合格するという展開が面白い
きっと彼女は患者の立場など関係なく良い医者になる
翔が唯一良かったのは医大に行ったらきっと同じように頑張る人を見て、自分を軽蔑する(変わらないから)、仲間が出来てその人達から同情されたりするのは我慢出来ないと自ら別れを告げる
本当に頑張るというのが出来ない人だが別れをちゃんと切り出せただけマシ
はっきりしないまま逃げる人が多い中、珠緒の未練を断ち切った ここだけは評価できる


最後の最後まで由美子は珠緒を見下し、孫に対しても息子と同じ道を歩ませようとするラストが恐ろしい

けれど由美子みたいな人がいそうなのが事実

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