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滅私 羽田圭介 読書感想

読み終わった後、「これでいいのだ」という言葉が浮かんだ


所有物をリスト化し、極力物を持たない生活をウェブサイトに上げてブランドのグッズを出して暮らす冴津

彼の元にエコー写真が送られてくる

元彼女の弟は冴津の過去の出来事を知っていると告げ、周辺に気を付けた方がいいと思わせぶりなことを言う

要らないものは捨てる しかし過去は消えない、捨てられない


ミニマリストという人を主人公にした話

冴津が高校生の頃にやった行為は世間にばらまかれたら炎上し、ウェブサイトも続けていけなくなる可能性がある

人を傷つけて何事もなかったように生きていこうとしても過去が追っ掛けてくる

これは不穏なサスペンス?と思ったら、ラストはまさかの方向へと向かう

冴津とその周辺の仲間もいらない物は捨てるべき、物を持たないのは最高信者達であるが実際そんないいものか?というのが本編にはふんだんに書かれている 作者は持たない生活に対して強烈に皮肉っている

「保管する場所も考えると、買わないほうが楽だよ」
「楽って、そんなに楽をしてなにがしたいの?」

滅私

楽してどうしたいか、全くわかっていなかった。

時子は冴津の彼女だけど物を捨てる行為に影響されずに服を買ってクローゼットに溢れる生活をしている。全く流されていない。

更にお仲間の林田という主婦のブログ。

物を中古で買って、中古に売って循環させましょうと推奨している。

ブログへの質問で皆が中古で買ったら物を作る人達が苦しくなってそういう人達がいなくなったらどうするんですか、というのがある

それの回答が新品を買う層は一定いるから大丈夫

中古で買おうと推奨しているのに??

この人達大丈夫かと中盤までは心配になる

というか復讐されるんじゃないかと思ったら、わりとそうでもなかった。

冴津が過去の出来事を悔いる描写は特になく、なんか自身の捨て生活は物のある生活に負けたと悟る 

ああ、成長していく話だったのか

時子にも振られて落ち込みながら冴津はゴミ屋敷(実際には違うのだが)で黙々とオブジェを作り始める

無意味な行動だけど以前の彼ならしなかった しかもここで復讐されるはずだった男ともなんか仲良くなっていて笑ってしまった

良い話にまとまっていきそうなところへ突然の死

え?

なにこれ? びっくりしたが、「これでいいのだ」という感想

タイトルの回収  復讐されて終わりではなく(恨み持っている男から「どうすんだ」とか関心なさそうに言われてる始末)自分で行動した上での行動なので納得

著者の皮肉いっぱいのワールド堪能した




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