さよならだいすきなひと

30うん歳で、失恋した。

仕事が原因で精神的に追い詰められている彼に気づかず自分の欲を満たそうとしてしまった。

結果、振られてあっけなく終わった。

一度切れた糸は修復不可能だという事を思い知らされた。

前日まで、次会う予定の話をしていたのに。

なんでなんでと何度も自分の言った小言を後悔した。あの瞬間がなければ、と永遠にあふれてくる涙をティッシュで押さえた。

メンタルが崩壊し、実家に帰った。

母親の顔を見た瞬間、涙腺が決壊し涙が止まらなかった。いい年して母親が抱きしめてくれた。何を言えばいいのかわからなかったんだろう、「天国のおじいちゃんが守ってくれるからね」とだけ言われた。


数日たって、冷静になるというのはよく聞く話だけど、そんな瞬間一瞬でも訪れなかった。

ただ、自分の言った事に対する後悔は自然と消えていった。

忙しいから連絡をくれない事に対する小言

これは、その時言わなくても結果将来言っていたことだと思うし、よく考えたら今まで言わずに我慢したことも何回もあった。

忙しいから連絡をくれないなんて、嘘だろ。気持ちがなくなっただけだろ。とずっと思っていた。

別れてから気づいたけど、今まで何回もSOSのサインを無視していた自分がいた。休日に仕事が終わらないと約束を断られることだってあったけど、その度に代案をきちんと出してくれていた。それを高飛車に、断られたことにだけフォーカスを当てて、愛されてない可哀想な彼女を演じていた。

ご飯も22時の食事1回、安眠できない、ストレスで体にがたがきている。

全部全部、別れた後にそういえばああやって言っていたな、と思いだした。今更思い出してもなにもフォローできない、愚か者だ。愛されていない可哀想な彼女は自分ではなく、彼の事を軽視していたのは自分の方だった。

関係性というものは、健康で人間的な生活ができていることを前提に構築されると思う。

それを無視して、土台のない場所に自分の欲という積み木を積み上げようとしていた。

結果、私は大好きで大好きでどうしようもなくただ存在していることがうれしい、そんな存在を自分の手から放してしまった。(振られたけど)


別れてから毎日、彼が生きているかどうか、ちゃんと食事をしたかどうか、心配で眠れない。もう確かめることもできない。

私に対して、気持ちはあるよって言った言葉にまだすがってしまう、ここにまできて愚かな自分が許せない。

前を向ける日なんてくるんだろうかと思うけど、時間は平等に過ぎていく。

彼といる時は、時間が止まればいいのにといつも思っていたけれど、今は一刻も早く時間が過ぎて、年老いて死んでいきたいとさえ思う。

これもこれでエゴなんだろうな、どこまでも愚かでエゴで、自分が嫌になる。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?