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菊池 夏野
2022年5月28日 23:10
あるところに顔のない男がいました。自分に顔がないことがわからないように、男はいつも仮面をつけていました。会う人によって笑った仮面や怒った仮面、おどけた仮面や泣いた仮面をその都度付け替えていたので、誰にどの仮面をつけて会っていたのか次第にわからなくなり、男はついに誰にも会いたくなくなってしまいました。顔のないまま外に出てみようか、ある時男は思いつき、仮面を外して外に出ました。