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カレーとコーヒー

この文章は2016年の夏に書いたものです。

 今、京都では、かなりハイペースでホテルとマンションが建っている。今朝、私の住んでいるところから眺めただけでも、2軒、マンションが完成間近である。この間も、知らないうちに新築マンションが建っていた。誰も住んでいなかった家を取り壊し、その跡地に建ったようである。古いままの家も「町家」として、価値が再生産され、お客様をお迎えしている。
 目に見えて分かる。京都は変貌しているのである。そのうち街並みは一変するだろう。電灯のない場所もあれば、長屋もたくさんあった。観光客に知られることのない京都はなくなりつつある。

 近頃、時代の移り変わりについて考える。
 そして、自分が60歳ぐらいになった時、通える喫茶店は残っているだろうか、どうか残っていてほしいと思う。
 京都の喫茶店と言えば、六曜社、イノダコーヒ、あさぬま、スマート珈琲、ソワレ、フランソワ、前田珈琲、築地、高木珈琲店…。今、思いつくまま書き連ねてみたが、こういうお店に、私はふらふらと入る。入ってじっとしている。じっとする時間と場所が30年後もありますように。ホテルとマンション建築ラッシュも、その時は終わっていますように。

 今回、私が紹介したい「高木珈琲店」は、「婦人画報」の「高木珈琲 高辻店」という記事によると、イノダコーヒ本店で主任をお務めになった方がご主人のお店である。お店は、高辻本店と烏丸店がある。喫煙OK(※2022年4月1日より「高木珈琲高辻本店」のみ、午前中禁煙となりました)、日曜日も開いている(※営業時間はコロナ禍で変更になっている可能性があります。この文章を書いていた頃は、週末は23時まで開いていました)。ブログもあって、時々更新されている。
 休日は珈琲店をハシゴすることもしょっちゅうある。朝から珈琲店、お昼ご飯も珈琲店、午後はコーヒーをおかわりできる珈琲店。高木珈琲店には、お昼に行く。
 イノダコーヒ三条支店は新聞を読みながら朝の時間を静かにお過ごしのおじさまがいらっしゃる。その中で座っていると、私も心静かに過ごせる…。(※イノダコーヒ三条支店は、現在改築中です。2023年春にリニューアルオープン予定だそうです。楽しみですね!その他の店舗は通常通り営業なさっています。高田渡さんの「コーヒーブルース」でも有名なイノダコーヒ本店も、もちろん営業なさっていますよ!)
 一方の高木珈琲店は、立地もあると思うが、もう少しアクティブというか、現役サラリーマンの方も多い気がする。私も仕事するぞ!という気分になる!
 高木珈琲店ではカツカレーを注文する。フォークとスプーンが紙ナプキンでくるまれている。サラリーマンに混じってカレーを食べる。カレーは具がなくサラサラである。珈琲店のカレーは辛い。ルーが熱い。好きですね。
 学生の頃に好きだと思ったのはBar USAGIのカレー。夜に食べた。今も時々食べに行きたくなる。
 私が高木珈琲店を知ったのは、仕事を始めてから。昼間に気合いを入れてカレーを食べる、あるいは、気合いを入れるためにカレーを食べる。高木珈琲店は平日に限らず休日に勉強をする人、仕事をする人の味方でもある。

追記
 この文章を書いていた頃は、その数年後に未曾有のパンデミックが世界を襲うなどとは夢にも思っていませんでした。2020年東京オリンピックに向けて競うように建っていたホテルは、建ちはしたもののお客さんを迎えることなく閉まったままのものもあります。飲食店も閉店したり、マスクをつけ体温を計ってもらって初めて入店したり、静かに話をしていても注意されたり。日本の中ではこれが常識なのでしょうが、まぁ不思議な光景ですね。
 私自身も、追われるように仕事していた生活が大きく変わりました。
 高木珈琲店へは相変わらず通っていますが、仕事(の準備)を頑張るためにカレーを食べることはなくなりました。しかし、そんな目的が何もなくても、美味しいものは美味しいです。ぜひ。








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