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趣味でトラックの免許を取った

普段、トラックの運転とは無縁の僕が、ふと思い立って中型自動車の免許を取りました。

そうだ 中型免許、取ろう

中型免許を取ろうと思った動機は大きく2つ。

1つはバスが好きだから。

昔から路線バスが好きでした。
今では別の分野に身を置いていますが、子どもの頃はバス運転手に憧れていました。
バス好きが高じて、就活期に路線バスを運転できる体験型インターンに遊び半分で参加し、本気で就職を目指している子と僕の2名しか参加者がおらず、丸1日肩身の狭い思いをした過去もあります。
それで懲りたのか懲りないのか、免許を取って運転してみたくなった次第です。

もう1つは、仕事で道路の設計をする時にトラック・バス運転手の視点を取り入れたかったから。

設計をしていると、「トラックやバスってこんな所通れるんか…?」という疑問が度々生まれます。
実際に運転してみて、意外と曲がれるんだなとか、他にもこういう所に注意して図面を引かなきゃいけないんだなとか、設計に活きるノウハウを知りたくなりました。

こんな理由だったら、「じゃあ大型免許取れば良くない?」と思われるかもしれません。
僕もそう思います。
色々調べるうちに、普段コンパクトカーしか運転しない自分があんな大きい車を運転できるんだろうか、と心配になってひよりました。
僕のことは雑魚と呼んでください。

ちなみに、道路を設計する業界というのは基本的に工事は請け負わないので、トラックの免許はおろか普通車の免許も不要です。
そのため、あくまで自身の興味の範囲での免許取得となり、費用は自費です。
そして、妻に黙って取得したので後でめちゃくちゃ怒られ、お詫びのケーキを買うことになりました。
皆さんも気を付けてください。

思わぬ難関、深視力検査

よし免許取ろう、と思ってすぐ、自動車学校に入校しました。
その入校手続きの際に初めて深視力検査を受けました。
というか、深視力検査というものがこの世に存在すること、免許の取得・更新の際に検査が必須であることをその時初めて知りました。

スタッフ「深視力検査始めますね〜」
僕「……………」
スタッフ「もう何度も往復してますよ〜」
僕「……………(分からん)」
スタッフ「今中心でーす…今1番近付いてて……今中心でーす」
僕「……………(全く分からん)」

という調子で、めちゃくちゃ苦戦しました。
何とかパスしたものの、あと仮免許取得時と免許更新時の2回、この関門を突破しなければいけません。

直ぐに眼科でコンタクトの度数を相談し、眼鏡も少し古くなっていたので度数を見直して作り直しました。
が、眼科や眼鏡屋で言われたのは、「今のままでも十分見えてるよ」とのこと。

不安に思いながら、仮免取得前の深視力検査を受けたところ、そこまで苦労せずにパスすることができました。
初回はただ深視力に慣れていなかったのと、2回目は目を休めてから受けたので、普段スマホの使い過ぎで目が疲れていただけみたいでした。

こんなところでもTwitterしすぎの影響が出るとは思いませんでした。
やはりTwitterは害悪。

慣れないクラッチ操作

MT車に乗るのは実に10年ぶり。
初めはクラッチ操作にも強力なエアブレーキにも慣れず、足の操作に必死になっていました。
悲しいことに現有免許が準中型(5t限定)のため教習時間が短く、あれよあれよという間に仮免許取得前の修了検定になってしまいました。

自信無ぇ。人生のあらゆるイベントの中でここまで自信が無いのは初めてだ。

という気持ちで修了検定を受けたら、案の定落ちました。
足の動きに集中し過ぎてハンドル操作が疎かになり、サイドミラーが沿道のポールに接触して見事1発で検定中止になりました。

いや、もうね、凄かった。
ポールがスココココーン!!っていってたもん。
あの感覚は木の枝で柵をカンカンしていた小学生の時以来。

修了検定に落ちると追加で6,000円ほどを支払って実技の補修を受け、もう1度検定を受けることになります。
受付で支払いをしながら思いました。

「このまま補修1時限だけを受けて検定にチャレンジしたら、また同じこと繰り返すのでは…?また6000円払うんか…?」

「とにかくクラッチ操作に慣れたい……!」

支払いを終えてすぐにMT車のあるレンタカーを探して予約し、翌日、MT車でひたすらドライブしました。
困ったらプロから学べということで、バスに乗る時は最前に張り付き、運転手の足をガン見し続けました。

そのおかげか、その後の修了検定も卒業検定も無事に通過できました。やったね。

今考えると、いきなり大型免許を取りに行ってたらヤバかったです。
雑魚で良かった〜

大阪でMT車を運転するのが怖くてわざわざ橿原まで行った
だんだん楽しくなって気付いたら山にいた


運転してみて思ったこと

やはり普通車とは運転の感覚が違い、教習中に怖いと思うことが何度もありました。

道幅が狭い

道路の設計と言っても、これまで主に交差点の設計方法を簡単に齧っただけなのですが、その際の幅員の決め方は歩道→車道の順番が原則でした。
実務的には、ここ最近のトレンドだったり、携わる仕事が歩行者空間再編の上流に偏っていたりで、歩道のために車道幅員を狭くすることが多かったです。
が、これ、トラックの運転手からしたらたまったもんじゃないなと思いました。
普段当たり前のように車線の中を走っているトラックやバスの運転手さん凄い。

サイドミラーの接触に気をつけなければいけない

これが原因で修了検定に落ちたので、2度と忘れないと思います。
自車と電柱・標識の接触だけでなく、トラック・バス同士のミラーの接触も怖かったです。
特に交差点の右折付加車線は狭くしがちなので、対向車との接触は本当に気を付けなければいけないと思いました。

後続車との距離が分かりづらい

後続車との距離が全く掴めませんでした。
もしバックミラーの無い車両だったら余計分からなかったと思います。
今後運転する時は、前方のトラックとの距離を詰めすぎないようにしようと思いました。

思ったよりも後部が振れる

トラックが路肩から発進する際、ハンドルを右に切ると車体の左後方が左に振れます。
これは仕事で何となく把握していたのですが、運転してみてより実感しました。
中型トラックでもまあまあ振れていたので、大型はもっと気を付けなければいけないんだろうと思いました。

思ったよりも曲がれる

あくまで中型の話ですが、想像していたよりも小回り出来ました。
ただ、これは車両の先頭が縁石の上に乗り出すような走り方をした場合です。
図面上で車体の軌跡が収まるような曲がり角は割りと余裕があること、タイヤの軌跡が車道内に収まりさえすれば曲がりきれる場合もあること(そして、世の運転手は教習所でそういう曲がり方を教えられること)が分かりました。

横断歩道で車が止まらない

これはトラックに限った話では無いのですが、教習中に色々思うところがあったのでまた記事を書きます。


トラック・バスドライバーに敬意を

正直、教習所に通う前は舐めてました。
トラックを見かけない日は無いし、それだけ運転手がいる、つまり、それだけの数の免許が発行されているのであれば、自分も真面目にやれば問題無く取得できるだろう、と。

仕事で道路の図面を引くときも、「ちょっと運転大変かもしれない線形だけど、まあうまいこと走ってくれるでしょ〜」とか言っていた時がありました。

舐めててごめんなさい。

どれだけ安全に気を使って走らなければいけないか、それがどれだけ大変なことかよく分かりました。
これがさらに大きなトラックやトレーラーで、納入までの時間制限も守らなければならないとなると、大変さは計り知れないです。

これからは、宅配業者さんやバス運転手さんにもう少し大きな声で「ありがとう」と言おうと思いました。

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