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桜が咲いた日。~娘と私の高校受験~

今日は娘の高校受験の結果発表日である
親子ともども、なんとなく落ち着かずにそわそわしながら
ネット上で公開される合格者の受験番号の発表を
今か今かと待ちかまえていた

それにしても現在はずいぶんとハイテク化されたものである
私が高校を受験した当時は中学校に行って
担任の先生から結果を聞いたのだった
みんなそれぞれ一喜一憂していたことを思い出す

そんな事を思い出していると私自身の高校受験にまつわる
ほろ苦い体験も一緒に思い出したのだった


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私は中学生の頃に行きたい高校があった
その高校は自宅からそれほど遠くもなく
中学の先輩やご近所のお姉さんも通っていた公立高校だった
制服は紺色のセーラー服で中学校のダサいブレザーに
うんざりしていた私にはすごく素敵に見えた


進路指導の際に、担任の先生に相談すると担任は渋い顔をした


「そこはお前の成績じゃ、ちょっと無理だぞ」


そうだよね、なにしろ当時の私は成績がいまいちで
その高校からランクを一つ下げろと言われていたのだから


私は帰宅した後、母にあの高校に行きたいと言った


「何言ってるの?あんたの成績で受かるわけないでしょ」


母にけんもほろろとあしらわれて、私は何も反論できなかった

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それからしばらくして、本格的に志望校を決める時期になり
私は心の中で葛藤していた

今の成績よりランクの低い私立高を滑り止めで受けて
あの高校をダメ元で受けてみようか?

それとも、今の成績で入れる私立高を推薦で受けるか

母は葛藤している私を横目で見て

「私立の推薦にしなさい!あなたにはそれが一番」

と、考える暇も与えずに言い放った

その後担任の先生との三者面談があった時
開口一番、母は担任にこう言った


「この子は私立推薦で行きたいと思います」


担任はそれを聞きながら


「あの私立高校なら推薦が取れるので、それで行きましょう」と、


なんでもないように答えた


私はやっぱり何も言い出せなかった

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その後、私立高の推薦試験が終わり
私は担任の口から自分が合格したことを知った


「春野、合格だ!おめでとう」


それを聞いていたクラスメイトの女子が


「春野さんおめでとう!もしかしてこのクラスでは
あなたが一番初めに進路が決まったんじゃない?」


と、言ってきた

そうだったのだ、みんなはこれから公立の試験がある
私もあの高校を受けていれば…


せっかく私立高校に合格したのに、私の心の中には
なんだかうまく口に出せないモヤモヤが広がっていた

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あの当時、何が正解だったのかは
あれから随分と長い年月が過ぎた今でも答えは出ない
でも一つだけ分かることがあるとすれば


もし、その選択が失敗だったとしても
自分で選んだ道ならば後悔はしない


と、言うことである


優柔不断で何事にも決断力が足りなかった
当時の自分を反省材料にしながら

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娘の受験した高校の合格発表の時間になった
受験票に書いてある受験番号を探す

○○番…

「あったよ!合格してた!」

隣でうずうずしていた娘がにっこりと笑いながら言う

「やったー!これで当分遊んでいられるね」

「馬鹿言ってないで、中学校に行く準備をしなさい!」

ああ、そうだよねーと、言いながら
彼女は鼻歌まじりに先生やクラスメイトに
報告するのを楽しみにしながら登校する準備を始めていた


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娘が登校した後に買い物に行く
道の途中に桜並木の木々を見ながら歩く

まだ花が咲く様子はないけれど

枝先が膨らみ始め、春の訪れを告げている

今日は、久しぶりにケーキでも焼こうか

高校に合格した娘と
少し寂しかった15歳の私のために


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