サンタさんになれなくても
会社にはパパママチャットというものが存在する。自分の親が20〜30代の会社員をやっていたときには、考えられなかった文化だろう。
会社で使われているビジネスチャットツールの中に、子供を持つ親たちが、情報交換をするだけのチャンネルが設けられ、
子育ての悩みや、便利な情報がシェアされている。
私は独身で子なしだが、子持ちの人との会話にもついていきたいのでこっそりチャットを覗かせてもらっている。(誰でも覗くことができるチャンネルだ。)
さて、今日はクリスマス、パパママチャットでは、各家庭、サンタさんがどのように来たのか、、、、
否、サンタとしてどう振る舞うと、子供に正体がバレないか?が議論されていた。
枕元に置く、という手段は子供にバレやすい、とか、YouTubeを見ていてもう入手困難な過去のおもちゃをねだられたら結構大変だよ、とか、現役親サンタさんたちの情報交換がなされていて微笑ましかった。
私はこのまま子供を産まない人生だったら、12月25の朝に喜ぶ我が子を見て、幸せな気持ちになる、といった体験は、一生訪れないのだなとといことを、ふと考えた。
それって寂しくない?と
自分に一度聞いてみる。
、、、が、結論、「寂しくない」と思った。
子供の欲しいものをこっそりリサーチし、クリスマスの朝にそれを見つけた子供に喜んでもらう、
あるいはサンタさんという存在を信じさせてあげる、という体験がしたいなら、別に自分の血のつながった子供でなくてもいい。そう思った。
サンタさんになれないけどいいの?と言う感情に訴えかけるような問いをもってしても、
私に「なら子供を産みたい!」と思わせてくれる事はなかった。。
また、興味深い話がある。
私が毎週聞いている。Podcast「きくこすめ」で語られていた話だ。
パーソナリティーの福元さんは、子供の頃、サンタクロースをなぜかとても恐れていたそうだ。
サンタクロースはいい子にしていたら、プレゼントをくれる存在。
福元さんは、「いい子にしていたら」のところにフォーカスしてしまう子供で、
自分がいい子にしていたかどうかをジャッジされる、という点で、クリスマスとは1年で1番緊張感のある日だったそうだ。笑
福本さんは、ポッドキャストで、「9〜10歳位の頃の私に教えてあげたいです。大人になれば"良い子にしていたかどうか"をジャッジされることもなく、自分のために好きなクリスマスプレゼントを買うことができる、最高だよ」と。
そうだよな。と思う。
自分の子供がプレゼントを素直に喜んでくれるタイプの子供かもわからないんだな、と思わされるエピソードだ。私もどちらかといえばいい子にしていなきゃというプレッシャーを感じる子供だったから。
さて。今年のクリスマスは普通に稽古だったこともあるが、世界の情勢を考えると、全く喜ばしい気持ちにならないクリスマスだった。
暖かい家の中で自分の欲しいプレゼントをもらって喜んでいる子供がいる。
その地球の反対側では、同じくらいの子供の家が爆撃されている。生きられない子供がいる。
暖かい家の中の子供に罪はないが、爆撃されている子供にも罪がない。
イスラエルの件に加担している企業の商品を、どこまでボイコットするかは、私もとても悩んでいるところだ。正直攻撃開始後もスタバを買ってしまったし、ディズニーの映画も見に行ってしまった。SNSでは無関心な日本人を嘆く声もあるし、それすら目に入っていない人もたくさんいるだろう
もちろん、かわいい我が子をプレゼントで喜ばせてもいいが、自分の子供と同じくらいの歳の地球の反対側の子供にたいして、
喜ばせることはできなくても、せめてやめろと声を上げるとか、寄付をするとか、それはそれで、大の大人としてやるべきことにカウントしてもいいんじゃないか。
(もちろんしている人はたくさんいる。)
私はいまだに、人生は生まれ持ったカードでなんとかやるしかない、しょうがない、というムードの理不尽さに対する怒りが消えない。高校生の時からずっとだ。それをいうのは大抵安全圏の人間だし。
クリスマス祝って何が悪いの?とか、世界が酷い状況だから関係ないうちの子も我慢しろというの?とか、まったくもってそういう話じゃない。
各自大いに楽しめばいい。でも、でも、この落差はなんなのだろうと混乱している自分もいる。
私も聖人じゃないし、ケーキは食べた。やれたことはフリーパレスチナのデモに一度参加しただけ。やらないよりはマシかなと思っている。
あた、なんだか、いろいろと考えてしまったクリスマスだった。つくづくクリスマスは家族や安心感、平和、温かみ、というものと密接な行事である。または恋人たちの日。
イルミネーションやデコレーションを見ても例年ほど気分が上がらないのは、
もう一年半クリスマスを過ごせる恋人がいないからなのか、もう会社員だからなのか、こんな世界情勢だからか、わからないけど。
お祝いムードに呑まれたい。でも少しだけ、もやもやとした、そんなクリスマスの二日間だった。
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