二人のある日の日常

二人は海へと続く、舗装されていないガタガタの坂道を歩いた。
坂を下るとそこには、エメラルド・グリーンの海が広がっていた。
海の香りが混じった風が首元をすり抜け、夏の暑さに滲んだ汗が少し引く感じがした。

「あー！ すっごい綺麗！」

梨々香ちゃんは、登り切った坂をこんどは走って下っていった。

波打ち際で足を止めた梨々香ちゃんは、両手を広げて大げさに喜ぶ。

まるで映画のワンシーンのようにも見える光景だけれど……
「えっと、ちょっと待ってね」
「ん？ 何してるんですか？」
「いや、せっかくだから記念写真を撮ろうと思ってさ」

そう言って、俺はスマホを取り出す。
しかし彼女は首を傾げた。

「別に写真なんていいですよ～。どうせすぐに飽きちゃいますし」
「まあまあいいからいいから」

俺は彼女にレンズを向けると、そのままシャッターを押した。

パシャリという音と共に、一瞬だけ眩しい光が放たれた。その光を浴びた彼女は、驚いた表情を浮かべた後、俺の方を振り向く。
「もう、勝手に撮ったらダメじゃないですかぁ……」
頬を膨らませながら怒っているような仕草をする彼女だったが、その顔には笑みが浮かんでいた。
うん、いい写真が取れている。
後でブログにアップしておこうかな。

「よし、じゃあそろそろ泳ごうか」
「はい！」
元気よく返事をした彼女は、早速着ていたパーカーを脱ぎ捨てると、水着姿になった。
水色を基調とした花柄模様のビキニだった。
胸元はフリルになっており、腰回りにも大きなリボンがついている可愛らしいデザインである。

「ど、どうかな……」

恥ずかしそうな顔をする彼女に対し、俺は率直な感想を述べた。
「可愛いよ」
「ほ、本当！？ やったー！！」
嬉しそうに飛び跳ねる彼女を横目に、俺も自分の服を脱いでいく。
そしてトランクスタイプの水着姿になると、俺は彼女と向き合った。
「それじゃあ行こうか」
「はい！」
こうして俺たちは、二人で一緒に海の中へと入っていった。

つづく？

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