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【シナリオのネタ】異世界で数学がどうなるか考える【第一回 サンクトペテルブルクのパラドックス編】

 異世界転生モノがメジャーなジャンルとなり数年。
 ここ最近では異世界の言語を作るクリエイターや、オリジナルの神話を作って作中に出すクリエイターが見られるようになった。
 これ自体は昔からあった流れかもしれないが、よく目につくようになったのはここ1、2年くらいだと思う。

 これらの始祖とも言える我らがトールキン大先生はもとは言語学者であり、その好きが高じて独自言語の創造、そして『ロード・オブ・ザ・リング』の執筆に至った。

 ここ最近見るような異世界に関する何かを作っているクリエイターは、みんな揃ってトールキン大先生のように、得意ジャンルを異世界に活かせないかとアイデアを出しているように感じる。

 なので、このシリーズでは私もそれらの流れに習って、数学をなんとか創作に活かせないかとネタだしするためにこの記事を書き始めた次第だ。

 ということで記念すべき第一回は、タイトルにある『サンクトペテルブルクのパラドックス』について、異世界ではどう扱えるか考えてみよう。

◇「サンクトペテルブルクのパラドックス」とは

 まず、サンクトペテルブルクのパラドックスがどのように異世界に活かせるかを考える前に、サンクトペテルブルクのパラドックスが一体どういうものであるかを知ろう。

 サンクトペテルブルクのパラドックスとは、簡単に説明すると確率の計算を行った際のパラドックスで、主に賭けの際に発生する。

 例えば、「表と裏が1/2の確率で出るコインを、裏が出るまで連続して投げる。1回目に表が出ると1円で、それ以降連続して表が出た回数に応じて金額が2倍になっていく賭けがあったとき、掛け金がいくらであれば参加すべきと言えるか」という問いがあったとする。

 さて、それではそれぞれの金額を考えてみよう。

1回目表、2回目裏➤1円
1,2回目表、3回目裏➤2円
1~3回目表、4回目裏➤4円
1~4回目表、5回目裏➤8円

 この賭けは、このような感じで、金額は2^(n-1)で増えていく。

 では、この賭けに参加する金額はいくらがよいと言えるだろうか。
 単純に考えると、8円を獲得するための確率は0.0625%で、この時点でかなりここまで到達することが難しそうであると感じる。

 が、このサンクトペテルブルクのパラドックスは、「掛け金がいくらであっても、参加するべきである」という、直感と反する結果が得られる。

 これはなぜかというと、胴元の出せる金額が決まっていないため、期待値の計算を行うと無限大に発散してしまうからである。

 これを止めるためには、胴元の資金を有限にしたり、〇回連続で表が出た時点で、最後に表が出た場合でも賭けを終了する、といったルールを追加することによって、かなり直感に沿った期待値を算出できるようになる。

 が、ここで議論したいのは、サンクトペテルブルクのパラドックスの数学的にどうたらこうたらといった話ではなく、異世界に持ち込んだ時にどういった扱いをすることができるか、ということを考えたいのである。

 直感に反する賭けの話だと、「期待値がマイナス同士の賭けを二つ用意し、それらを組み合わせると期待値がプラスになる」という「パロンドのパラドックス」もある。
 これらの話を分かりやすくまとめている動画があるので、詳細が気になる人は以下の動画を見てもらえるといいと思う。

 これらの、現代に存在する、賭けの話のパラドックスを異世界に持って行った場合、どのような活かし方が出来そうだろうか。

 これは、胴元有利な賭けを用意して、主人公たちにもうけを出させることにできるようになる、ということだ。
 ここでは、道徳的にイカサマはよくない、という話はおいておいて、異世界にどう活用するかの話をしよう。

 胴元有利の賭けであれば、パチンコやガチャなども当てはまるだろう。
 ああいったゲームは、1%で当たるものを100回繰り返したところで、実際の当選確率は64%程度しかない、というのは有名な話だろう。

 こういった、直感に反するような確率を使用すれば、上手く胴元有利な賭けを生み出すことができるだろう。

 といったような感じで、これからも定期的に数学を異世界に活かす方法を考えていく記事を書いていきたいと思っている。

 もしこの記事で他の記事を見たいと感じた人は、ぜひ他の記事も購入していただけたらと思う。

 第二回の更新は、ゴキブリの磁気特性から第六感、魔法を磁場として考えるといった内容で記事を書きたいと考えてる。

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