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僕は子どもの頃、どうしても仮面ライダーブラックRXが見たかった。


子どもの頃、どうしても仮面ライダーブラックRXが見てみたかった。

当然、放映されていた世代的にはかなり上になるんだけど、兄貴がどこかで見たらしく僕に「少しだけグロいけど、その分超面白いんだぜ!」とどこか自慢げに僕に何度も自慢したせいだ。

サブスク、なんて言葉もなかった当時。
父親にレンタルビデオ店に連れていってもらうのが、週に一度の楽しみで毎回「今回こそ借りられますように!」と願いながら車に揺られて家から10分の店に行っていた。

でも仮面ライダーブラックRXはそのビデオ屋では毎回貸し出し中。
毎回特撮コーナーにダッシュで向かっては、がっくり肩を落として他のアニメビデオを借りていた。

父に「次はあるかなぁ」と聞くと、父は決まって「次はあるんちゃうかな」と慰めてくれた。


ただ、実はビデオが貸し出し中であることが分かる度に、僕は少しホッとしていた。

グロい(と兄貴が言っていた)仮面ライダーを見るのが正直怖かった。
それだけじゃない。

ずっと楽しみにしていた仮面ライダーブラックRXを見終わってしまうと、なんとなく自分の人生に意味がなくなってしまう。そんな漠然としてた不安感を抱えていたのだ。

三島由紀夫の「金閣寺」にも、絶対的価値への憧憬・対立というものが描かれていたが、僕の子どもの頃にとっての憧れは仮面ライダーブラックRXだった。

人生においてこれ以上の喜びに出会えるのか、と思えるようなことは何度かあると思うけど、振り返ればこんなに小さなことなんだよな。

たくさん憧れて、たくさん経験して、たくさん失敗してそれで良いんだよな人生は。



特に何を伝えたいわけじゃないんだけど、どうしてもこの気持ちを残しておきたいなとふと思ったので書いてみました。特定の事象があったわけではなく、本当に何となく。

読んでくれた方、お付き合いくださってありがとうございます。


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