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【書評】ZERO to ONE / ピーター・ティール

評価点:4点 / 5点中

おすすめな人:

起業家・経営者はもちろん、新規事業に取り組む人にも刺激とエッセンスが学べる本。特にどんなビジネスも答えるべき7つの質問はテスラを参考にしながら自分の事業の解像度を上げることができる

要約

独占が成功の条件としつつ独占企業の4つの特徴と築き方を示しながら、最終的に7つの質問に答えられるビジネスをつくるべきと結びつけるとともに、スタートアップの人に焦点をあてて創業者のパラドックスとチームづくり(20人目の入社動機:ビジョンへの共感かチームへの共感か/一緒に働くことを心から楽しめる人を雇う)の重要性をテスラの事例もとに紹介する。そして最後の言葉は今この瞬間を大切に、よりよい未来を築くために0から1を生み出すと締めくくる。

概要(ネタばれあり)

  • ドットコム・バブル崩壊からの4つの教訓

    1. 少しずつ段階的に前進すること

    2. 無駄なく柔軟であること(すべての企業はリーンでなければならず計画しない)

    3. ライバルのものを改良すること

    4. 販売でなくプロダクトに集中すること

  • 正しいのはその教訓とは逆の原則

    1. 小さな違いを追いかけるより大胆に賭ける

    2. 出来の悪い計画でもないよりはいい

    3. 競争の激しい市場では収益が消失する

    4. 販売はプロダクトと同じくらい大切

  • 資本主義と競争は対局。差別化のないコモディティビジネスを行ってはいけない

  • 独占企業は収益を守るため嘘をつく

    • googleは検索市場の68%を支配するが広告会社として3.4%しかシェアがないと言う

  • 独占企業は社員やプロダクト、社会影響を考える余裕がある
    独占企業は社会の犠牲に成り立つ一方消費者により多くの選択肢を与える

  • 独占はすべての成功企業の条件

  • 独占企業の4つの特徴

    1. プロプライエタリ・テクノロジー:10倍優れる必要がある。10倍の改善でもいい

    2. ネットワーク効果:まず小さい市場から。FBは学生から始まった

    3. 規模の経済:可能性を最初のデザインに組み込む。twitterは今は2.5億ユーザーいる

    4. ブランディング:アップルはブランドにより独占を強化。ただしヤフーのようにブランドから始めないこと

  • 独占の築き方

    1. 小さく始めて独占する

    2. 規模を拡大:ニッチ市場を支配したら関連する大きな市場へ

    3. 破壊しない:古い業界を意識するより創造に力を注ぐ

    4. ラストムーバーになる:最初に参入してその座を奪われたら意味がない。特定の市場で一番最後に大きく発展する

  • 生は宝くじではない。未来は明確だ

    • 中途半場に追いかけて万能選手になるよりいいと思うことを定めて一番になれることに注ぐべき

  • スタートアップの買収価格は高すぎるか低すぎる

    • 売却する場合創業者が明確なビジョンを持っていないから。おそらく高すぎる

    • 盤石な計画を持つ創業者にとってどんな価格でも低すぎる。売ることはない

  • 起業家にとっての最大の投資はスタートアップにつぎ込む時間

    • 人生はポートフォリオでない。自分自身を分散して投資できない

  • 最も重要な最初の判断は「誰と始めるか」

    • 企業の不一致は、①所有(株主は誰か)、②経営(会社を動かすのは誰か)、③統治(統治するのは誰か)の3つ

    • 所有者と経営者は不一致が生まれやすい:中長期的価値より短期的価値にインセンティブがわきがち

    • スタートアップは所有者と統治者、つまり創業者と取締役会の投資家で発生。取締役会は身軽な方が良い

    • スタートアップに関わるすべての人はフルタイムであるべき。SOを持たない人や固定給者は利害が一致しない

    • CEOの給与は少ないほど100%打ち込みうまくいく。それが全員の基準にもなる

    • 株主の与え方に注意。全員一律でもなく。ただ正解はない

    • ペイパルは取引の場でなく固いつながりのある場。一緒に働くことを心から楽しめる人を雇う

  • 20人目の社員がこの会社に入る理由は何だ?

    • 最初の数人は株式や肩書に釣られる

    • 大きく、①使命への共感、②チームへの共感の2つ

  • スタートアップは全員が違う仕事で際立つべき

    • ひとりひとりに責任を任せる。役割を明確化することで対立が減り長期的な関係が築ける

  • どんなビジネスも答えを出すべき7つの質問

    • エンジニアリング:ブレークスルーとなる技術開発ができたか

    • タイミング:今が適切なタイミングか

    • 独占:大きなシェアがとれる小さな市場から始めているか

    • 人材:正しいチームがつくれているか

    • 販売:プロダクトを届ける方法はあるか

    • 永続性:10年後20年後世界はどうなっているか。どう適応できているか。生き残れるポジショニングができているか

    • 隠れた真実:他社が気づいていない独自のチャンスを見つけているか

  • テスラは7つすべてのこたえたスタートアップ

    • テクノロジー:ライバルも信頼を寄せる技術

    • タイミング:オバマ政権下で2010年500億円のローンを獲得

    • 独占:ハイエンドの電気スポーツカー市場から

    • チーム:イーロンマスクは最高のエンジニアでありセールスマン。最高の人材が集められた

    • 販売:自社の販売網構築

    • 永続性:誰よりも速く前進

    • 隠された真実:クリーンテクノロジーは環境に必要ではなく社会現象。高所得者はグリーンにクールを欲していた

  • 創業者のパラドックス

    • アップルの価値はジョブスのビジョンから創出。官僚組織でなく封建君主性的

    • 一方で創業者は自分の力を個人のものと過信してない。社員みんなから最高の力を引き出せるから価値がある

  • 今自分たちにできることはこれまでと違う未来でなくよい未来を創るためにゼロから1を生み出すこと

    • 宇宙規模のシンギュラリティを達成するより目の前のチャンスをつかみ仕事と人生の新しいことを行うことが大切

    • この瞬間も取り換えのきかない一度きりのもの