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退職するまで出社する日数はあと5日。あの子がもし生きていたらどうなっていたんだろう。

今日はPC内のデータ整理。
なにやら上司が今更なのだが
来週引継ぎをすると言い出した。

専用のファオルダに入れてくれればいいと話していた言葉を忘れたんだろうか…。

今になって慌ててももう遅いのだが…。


それはさておき

これまで何人もの新入社員を見てきたのだが
一生忘れられない子が一人いる。

9年前の春に入社。
物静かな子でした。
朝、朝食のパンを半分食べて
作業着に着替え
いつもの道のりで会社へ行くはずだったんでしょう。

しかし
寮と職場の中間にあるマンションへ立ち寄ったまま二度と帰ってきませんでした。

彼自身の悩みだったのか
未だにわからないままです。

確かなことは
彼は彼なりに考えて判断したんだと思っています。

学生時代から
医療福祉のことに関わったり
親戚家族のこと

一人一人の人生は本人が決めることだと思っているし
自死をした人の意思は尊重してあげたいと思うことがあるし

なんていうのかな

突然
死神さんがやってきて
「あ~、あなたね明日の●●で死ぬから迎えに来たからね」

なんて言われて自分のリミットがわかったら
どれだけ楽なんだろう。

そう思ったこともある。

亡くなった祖母には
「長生きして損した!」と
孫の私に最後までぶちまけて迷惑かけたひともいるわけで…。

彼は
普通に
朝を迎えて
身支度をして
会社へ向かっていたんです。

その道のりに
マンションがなかったら…。

そう思ったこともあります。

彼が亡くなってから9年
その道とマンションを見上げながら出勤していました。

あと5日、その道はあの日と同じまま変わらない風景だと思います。

彼になにをしてあげれたのだろう
彼に寄り添うことがもっとできなかったのか

葛藤しながら
仕事をしてきました。

傾聴という言葉を知り
キャリアコンサルタント講習を受けたり
業務改善や
他部署との繋がりなど
色々模索して仕事してきました。

でもね
正義を振りかざしても
白なのに黒になるんです。

彼の存在をなかったことにしているんです。
この会社。

しまいには
「なんで俺ばっかりこんな変な奴にあたるんだろう…」

当時の上司の一言は私は一生許せない。

彼は変な奴ではない!
あなたがおかしいんです!

こんな人ばかり相手にして仕事してきました。

もうだめかと思った時
1年半だけでしたが
元上司と仕事ができて立て直したけれど

元上司が異動してしまったら
元に戻ってしまった。

本当、元上司と彼には申し訳ない気持ちです。

彼らしい性格がでたなということが
当時、現場検証をしてくれた警察官の一言で垣間見たことがあります。

真下は道路で通行人がいるからそれを避けるように飛び降りた

と。

警察官はその話をした後
「そんな気配りのある子がなんでこんなことをしたんだろうね…」と言われました。

やっぱり答えはでないけど

本人のみぞ知る。

なんだとおもいます。

9年か。
彼がいる霊安室の前で
10年頑張ると誓ったんだけど
7か月早くやめることにしたよ。

申し訳ない。

君のおかげで色々学んだこともあったし
感謝してるよ

ありがとう。

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