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【短歌】その名の意味を知らざりし日々|文語の定型短歌を詠む 1


11年前。
長野県の別荘で春休みを過ごしていた時に、
あの東日本大震災が起きた。

大地震と津波の4日後の3月15日の朝、
福島第一原子力発電所で爆発が起きた。

その事実を伝えるNHKのニュースに出たのは爆発の静止画のみだった
静止画では爆発の煙は横に拡がっており、キノコ雲は映っていなかった。

私はすぐにインターネットで、海外の主要な報道機関から動画を探した。

米国の某テレビ局の映像では、動画のキノコ雲を目にした女性キャスターがライブニュースの途中で青ざめ一瞬絶句する表情も見た。

どのような爆発だったのか、専門家の目には明白だったに違いない。
だが、日本国内の報道には歪みがあった。

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爆発の詳細述べず言葉にごす報道の歪み有事を示唆す


人心の平定はかる役目ならむニュースは大本営発表となる


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「えらいのは命をかけてなおす人」は兵隊サンヨアリガタウ


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クレヨンで可愛く画きしウランちゃんその名の意味を知らざりし日々


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原爆の惨禍を知りしたみなれど「平和」利用に五十四基も


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2011年3月詠

初出:「橄欖かんらん」2011年7月号 一部を加筆修正しています。