見出し画像

【1】肉体の終わり

形がある物はいつか壊れる
生じて滅するという自然の摂理であり
全てのものは、そういう風にできている。

父は昨今、ほとんど自力で動けなくなった

2年前、11月26日午後
定期的にケアを依頼していた訪問介護員が異変に気付き救急搬送
そのまま緊急入院になり、この日が父が自宅で過ごした最後になった。

脳梗塞、脳出血、右内頸動脈高度狭窄、頭蓋内主幹動脈狭窄

「頭の血管が詰まり麻痺が出ているが脳出血も併発している為、血栓を溶かす薬を強く作用させ押し流せば脳出血が致命傷になる。併せて首を走る大きな血管がMRIに映らない程に狭窄していて完全に塞がってしまえば意識がなくなります。それは明日かもしれませんし1ヶ月後かもしれない。一旦落ち着いたとしても血管の内壁が剥がれる度に細い血管に詰まる。外科手術は不可能ではないが現実的ではない。年齢的に負荷に耐えられないリスクが高い」

医者から1時間かけ電話で説明された父の状態は「出来ることはもうない、そしてもう命が長くない」ということだった。

急性期を抜けるまで約2週間はHCUと呼ばれる重症化、急変リスクが高い患者が入る場所で観察するとのこと
私は上司に頭を下げ、急遽帰省の為に休みをもらった

父には妻も親戚もおらず、関東に嫁にでた私だけが唯一の家族。生活保護を受給していた父の周りをとり巻く各所サービスに私はひたすら話を繋ぎ、帰省予定日までの数日は鳴り止まない電話の対応で目を回した。

父を受け持っていた保護担当、民生委員、住宅供給公社、担当薬剤師、訪問介護員、デイサービス、ケアマネージャー、医者、ソーシャルワーカー、入院時レンタルサービス

更に、退院出来たとしても自宅での独居は現実的でなかったため自宅の退去手続きや片付けの依頼、介護施設を探す必要があった。

当時の父の介護度は要支援2
デイサービスの利用と訪問介護で清掃と買い物をして貰えば使い切ってしまう点数だった。これでは裕福な家庭でない限りまともな施設に入れない。そもそも生活保護受給者であるだけで入居の倍率は跳ね上がってしまうのに、要支援では話にならないのだ。
介護認定の区分変更を申し出て早急に見直してもらう必要がある

皮肉にも、介護士として様々な形態の施設で勤めてきた経験が役に立っていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?