noteタイトル軍手書

ライフワークでお金をいただくに至った話 軍手書道家として活動することに

仕事で子供の頃に習った書道が役立った

子供の頃、書道を習わせてもらっていた。いつから始めたかは記憶にないが、中学1年生の途中までやっていた。そこそこ、と言ったレベルではあるがギリギリ段位も取得できた。

自分の経歴は他のnoteでも語っているが、食品会社でパッケージデザインをしている時代があった。

その時の業務で、手書きの筆文字を使ったデザインをよく手がけた。「〇〇のたれ」という商品が多いメーカーだったので、外注で書いてもらうほどの手書き筆文字の仕事量があった。

やはり書道を習っていた経験は、この時に生きに生きた。これは天国の母に感謝したい。

しかし、通常書道のように「上手に書く」というのが目的ではない場合が「〇〇のたれ」ではよくある。「上手い」より「味のある」という字が求められるパターンだ。

よく見かける居酒屋などの看板やメニューに「ウマヘタ」な文字が利用されるが、あれと同じイメージ。ただあれは「ただただ下手なだけ」という文字もあるので、一概には言えないが、自分が書いていたのも「上手い」ではない。

この時に培った「ウマヘタ」テイストが自分に合っていた。「〇〇のたれ」じゃない仕事でも敢えて手書きのウマヘタ文字を使うことがある。何故か?書いていて面白い、実は。

「上手い」の頂上を目指す書道は中1の時に辞めた。「〇〇のたれ」で目指したのは、それではない。

こういった文字がもともと好きな人はご理解いただけるとは思うが、そうでもない人は「ちょっと何言ってるか分からない」というサンド富澤状態かなとは思う。

たれ系の商品を画像検索して出てきたもので自分が好きだったのは「肉の割烹田村」の商品。これが自分の思っている「味」だと思ってる。

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上手じゃない文字のキモは、突飛な発想による文字デザイン。常識的な文字のデザインから、いかにカッコ悪くならずにハズしていけるか。

もちろん、クライアントのあることなので自分の趣味嗜好がそのまま通らないこともあって、ある程度「上手に」書く必要もでてくる。

ただこのハズすことを何度も繰り返していると、ハズした文字でも洗練してくる。えらいもんだ。

筆との別れ〜軍手との出会い

仕事で書くこと以上に、プライベートで書いた。ライフワークのようになってきた。ある程度、自分の文字が確立されてくると他のことが思いつく。「筆」で書く必要もないか?

なんと「筆で書くことを捨てる」ことを思いつく。

最初に試したのが、指。学生のころに「デザイン科」で絵を描く授業の際に絵の具を指で混ぜる先生がいた。ちょっと変わった先生だったので、画家はこれを普通にするのか、この先生独特のものだったのかは未だ不明。しかしそれを思い出した自分は墨を指につけてみた。

書いてみた第一感想は「面白い」だ。指が直接紙に触れることで、表現のストレート感というかダイレクト感というか、言葉での表現は難しい(noteで書いているのに?)が、好感触ではあった。

だたひとつ問題があった。黒くなった指がなかなか元に戻らない。もちろん風呂にでも入れば大丈夫なんだけど、やっぱり手が汚れるのが気になる。

「芸術」と割り切るのならば「仕方ない」とするべきなのかとも思ったが、やっぱりこれはイヤだった。

悩んだ。悩んだ末に軍手をはめた。軍手の下にはビニール手袋。汚れない対策はできたが、指で書いていたときのような好感触は得られるだろうか。あの感覚を下回るようでは、手が汚れなくてもこれもイヤではある。

書いてみると…むっちゃええやーーん!

むしろいい! 軍手が多めに墨を吸ってダイナミックな文字が書けた。むしろ軍手で正解だった。

それからは軍手で書く書道のトリコだった。いっぱい書いた。面白かった。

ただこれは趣味の一環に過ぎず、デザインの仕事では利用したことはなかった。軍手で書いたという特性を生かせるようなデザインが思いつかないから。

軍手書道の未来が変わったとき

そんなことがあってから幾年月過ぎ、こんなことしてんねんって人に話す機会があった。初めて話したので「ちょっと恥ずかしいな」という気持ちを隠せず話したにも関わらず、その人の反応は「すごく面白い」という興味津々なものだった。

この人の仕事柄、子供たちへのワークショップを企画することがあった。それに使わせてくれないかと。そして軍手書道の先生をしてくれと。

「子供に教える」、これが超やりたい自分(以下のnote参照)は、間髪入れず「やりたい」と返答した。


軍手書道家として名乗ることになった。たぶん世界初のことだと思う。

一応軍手書道というジャンルがあるか調べたけど、色々なものを筆の代わりに書道する人がいて軍手も使ってた(あとほうきとか)ってのと、直接指で書く人と、指に専用の筆をセットして書く指筆があったくらい。軍手書道というのは新しいジャンルのはず。

ここに世界初の軍手書道家が生まれた。もし「どこかの世界の人にハマって」名を馳せることがあったら、このnoteを読んだ人は名乗り出てください。もっとも早く軍手書道を知ってた人として認定です。

画して軍手書道家になって、ワークショップを行う組織と軍手書の研究会をした。

書道の世界では段位を超えると特待生になるらしい、確か。そんな書道レベルの高い人から中学生や小学生の協力のもと行った研究会。自分ひとりの力ではそんなことはできなかった。もう感謝しかない。

研究会が2019年の12月に行われた。そして初のワークショップが2020年の2月に開催される。対象は小学生とさせていただいた。多くの子供たちに体験してもらえたらと思い、現在準備を進めている。

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軍手書はスマルプランニング運営のYouTubeチャンネル「みんなのチャンネル」でも動画を掲載しているのでご興味のある人はぜひご覧ください。ちょっとふざけてる動画でがありますが。

そんなこんなでワークショップを開催するまでになった。「よう分からんもん勝手に始めよった」と思われるかもしれないし、全くもってその通りではあるが、そのよう分からん軍手書の第一人者となった。ワークショップでは謝礼をいただけることになっている。もうこれはプロだ。

今後どうなっていくかな。軍手書をやる人が増えたり、自分の作品が売れたり、メディアで取り上げられたりと青写真は描けど、そんな未来はあるだろうか。

まあ、これはあまりガツガツせずに縁があったら何か起こるだろう。面白いことが起きたらいいなあ。



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