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トイレットペーパーと生理用品は、同じ必需品。どうして生理用品はトイレに置かれていないの?

こんにちは!インターンの香月です。今回は、公共施設のトイレで、生理用品がトイレットペーパーと同じように設置されることを求めて活動をしているまるさんにお話を伺いました!
私たちは生理用品を当たり前に「購入するもの」として育ってきました。けれど、まるさんは生理用品は身体的な女性にとって、トイレットペーパーや石鹸と同じく必需品だと考えています。「当たり前」に疑問を抱き、高校生の時から一人で活動し今年大学に進学したまるさんに、同世代として「生理」とどう向き合うべきか聞きました。


まるさん:日本の公共施設のトイレに生理用品が置かれ、無償で利用できる社会の実現を目指して高校生の時から署名活動を行い、署名者数は1000人を超える。日本人が持つ「生理」に対するタブー視をなくすことが目標。イギリスのボランティアポスターを参考に校内に生理用品設置を計画した。
現在大阪府豊中市で公共施設(図書館や市役所)に生理用品設置の案を市議員と計画中。

香月:まるさんがスマルナに声をかけてくださったのは、スマルナの大阪大丸店でのイベントの時でした。新型コロナウイルスの影響でイベントができなくなっていく中、こうして同じ学生の視点から生理や性についての取り組みのお話を聞くことができ、それを発信することができて嬉しいです。
よろしくお願いします!

まる:こちらこそ、よろしくお願いします!


1.活動を始めるバックグラウンド、環境やきっかけ

香月:親から生理についてちゃんと説明されたという人は意外と少ない感じがしますが、まるさんの場合はどうでしたか?

まる:私の場合も親から「これは生理でこういうことが起きる」って軽く教えられただけで、最初は「今血が出た!?」っていう、ただびっくり!の気持ちでした。そのあとナプキンの使い方についてもささっと教えられた気がしますが、あまり覚えていません..・・・。
詳しい生理の仕組みの知識なんて全然なかったです。みんな来るんだなーくらいの感覚でした。

香月:まるさんも、親からは生理についてはそんなに触れられなかったんですね。今はこのように生理についてオープンに話されていますが、その変化のきっかけや、活力はどこから生まれるものなんですか?

まる:きっかけは、高校二年生の時何気なくトイレを使っている時でした。トイレットペーパーも生理用品も同じ目的としてあるものなのに、なんでトイレットペーパーだけしか置かれないんだろう?と疑問を抱いたんです。すぐに学校に理由を聞きました。その時は「生理用品はポケットティッシュと同じ個人のものだから」と言われて、納得できなかったんですが忙しさに諦めてしまって。1年後、やっぱり生理用品がトイレにあると便利だし、「生理について考えるきっかけ」の一つになると思い、改めて学校側に伝えました。その後職員全員で話し合ってみるということになり、結果、職員の中でも生理について詳しくわかっていない人がいることがわかりました。女性職員は全員賛成だったけど、男性職員の中には、本当に必要ある?と言う人もいて・・・衝撃でした。でも友達や周りの人は、私が署名を始めたり実際に動いていることを知っていたので、応援してくれていました。

香月:先生でも、生理のことをそんなに知らない人がいるなんて...やはり、「生理へのタブー感」が相互理解を非常に妨げているんでしょうか。まるさんは、実体験として攻撃的なことをされた、という経験はありますか?

まる:それは全然なかったです。私が通っていた学校はジェンダーの授業を取り扱う機会が多くて、フェミニズムも歴史の近現代の中で授業があったりしたので、全体的に寛容さが育まれていたのかもしれません。

香月:学びの環境が自由で多様だったから、生理や性についても意欲的に学ぶ、活動を支えるという姿勢の人が多かったのかもしれませんね。

まる:そうだと思います。不登校だったけど、この高校で教育に興味を持って学んでいるという人や、将来の目標を具体的に持っている人が多くて。学校で「考える時間」が多かったので、いろんな人と話すきっかけがたくさんあって、人数も小規模なのでみんなどんどん私の活動について聞いてきてくれました。

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2.生理と性教育について

香月:生理用品設置を求める活動をしていく中で、性教育が必要だと感じたシーンはありましたか?

まる:震災の時に、避難所で生理用品が適切に配られなかったという報道を聞いた時ですね。「生理用品は後回しでいい」という男性がいたらしく・・・衝撃を覚えたというか悲しくなりました。

香月:確かに、そもそも保健体育がないがしろにされたり、男女の相互理解の欠如が根底にあるのかもしれません。

まる:私の学校は保健体育の授業が一切なかったので、実際どのようなものなのかわからないんです。それで地元の教育委員会の方に、公立の学校ではどのような保健体育の授業がされているのか聞きにいってみました。授業内容は、体の構造とか生理になったらこうなるという文面的な感じの説明が多いらしく、生理が身近になるような教え方ではないと感じました。

香月:生理が持つ背景的要素、カルチャーを教えられていないのが問題ですね。

まる:そうですね。保健体育がないせいで、周りの男の子が生理について全く何も知らなかったり、性行為についてもみんな全く知識を持っていなくて。保健体育や性教育があった学校の人と話をしたことがないから確実な差はわからないですけど、これは看護系に進むことで同じ意識の人が見つかりやすいと思うので共有しあってみたいです。

香月:では、まるさんの活動を通して、生理や性について考え方が変わった、積極的になったという体験はありますか?

まる:身近なところだと、私のパートナーです。同年代なんですが、私がこういう活動をしているっていうことをはじめに知った時に、「そもそも生理って何?なんでお腹が痛くなるの?生理前はなんでこんなにイライラしてるの?」とかをすごく聞いてくれる人だったんです。話すきっかけが増えて一緒に学んでいくことができたっていうのがあります。周りの友達も、生理というトピックに対してオープンな感じになったと思います。

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3.まるさんの活動と環境の変化について

香月:今年から大学に進学されるので、高校時代に比べて時間的余裕や行動範囲も広がると思います。大学で学ぶことと活動がどのように関わってくるか、や個人の活動をどういう風に広げるかなどのビジョンはありますか?

まる:(大学始業が延期になったため)授業内容がまだ具体的にわからないので、どのように関連づけられるかは手探りなのですが、大学でも生理用品のトイレ設置を掲げて活動しようと思います。もし興味がある人がいれば、一緒に活動したいです。この前、生理用品の軽減税率を求めて活動している谷口歩実さんと「みんなの生理」というオンラインカフェをやったんです。そのようなオンライン上での活動をもっと増やせたらと思っています。


香月:関東の大学や企業の女性用品・医療向けのイベントはありますが、関西ではあまり聞かないですね。

まる:そうなんです!関西に全然ないので、自分がアプローチできればと思います。

4.活動の意義や今後の展開について

香月:では、最後のトピックになりますが、今まで高校での生理用品設置活動を通じて、手応えや周りからの嬉しかった声を教えてください。

まる:手応えはやはり、高校に生理用品を設置できたことです。そのあと本来なら学校の授業で活動内容を発表する予定が、コロナの影響で休校になってしまい実際に反響とかを聞けてないんですけど...自分の行動力を褒めてもらって、そこはこれからも大事にしていきたいです。また、トイレに生理用品があるのが便利だという声や、生理について考えるきっかけになったという声が嬉しかったです。逆にこの活動を通して気をつけなきゃいけないなと思ったこともあります。私はこういう活動をしているのもあり生理の話にあまり抵抗はないですが、やはり生理の話をしたくないとか、聞きたくないっていう人もいて、そういう人たちの存在を大事にしたいです。言いたくない子が無理に言わなくてもいい、というところをテーマとして、これから大学で活動していきたいです。

香月;たまにお店のトイレにもアメニティで置いてあるところがあって、誰かが提案したんだろうなと思うと嬉しくなりますよね。

まる:実はそういうお店にまだ遭遇したことがなくて。笑
機会があれば、どういう対策をしているか聞きたいなと思っています。衛生面とかどのくらいの人が利用しているのかとか参考にしたいなと。

香月:実際に取り組んでいるお店の声は、とても参考になりそうですね。私もどれくらい利用されているものなのか興味があります。
まるさんは高校に助産師さんや看護師さんを読んで性教育講義をしてもらう取り組みもされていたと伺いましたが、今後このような取り組みをどう発展させていきたいとかはありますか?

まる:そういう活動はとてもしたいなと思っています。さらに、私が大事だと思うのは、「生理は女性だけのものではなく、子宮がある人のものだ」という考え方です。生物学的に男性の人で、女性への転換手術をして生理がくるようになった人や、見た目は男の子だけど性自認が女性で、実際に生理は来ないけど生理用品をつけているという友達もいます。そこから、「女性だけ」の生理用品ではないんだなということに気づきました。いろんな人が生理について考えやすい世の中になればいいなと思います。「知らない」で起きる問題を少しでも減らしていきたいです。

香月:確かに、現代において生理は身体的な仕組みを超えて、「ジェンダーとしての女性」のシンボルの一つとなっているのかもしれません。「生理」をどの立場から考えるか、という多様性について取り組む必要があるというのはハッとさせられます。
では最後に、今後「日本の公共施設のトイレに生理用品が置かれ、無償で利用できる社会が実現」した時の次の目標や、将来の夢について教えてください。

まる:将来的に実現した際に、起こってくる問題や不満を解決する必要があると思います。そういう声を聞いて、一人ではなくコミュニティを作って問題に取り組んでいきたいです。

香月:看護師さんの道には進まずに、ということですか?

まる:いや、看護師さんにはなりたくて!笑
シオリーヌさんみたいに病院勤務をして働きつつ、生理用品設置の活動も進めていけたらと思います。

香月:なるほど!最近は医師、看護師、助産師さんなど医療従事者で独自に性教育や生理についての認識を深める活動をされる方がいらっしゃいますよね。まるさんをはじめ、正しい知識を教えてくれる人が増えていけばもっと社会がよくなると思います。今日はありがとうございました!

まる:ありがとうございました!

インタビューを通して
「生理」への価値観は、改めてどんどん変わってきていると感じました。生理について発言、共有、共感しやすい環境を作っていくことは、私たちが「我慢」しなくていい社会への大きな一歩だと思います。


Pink and Blue Diagonal Wave Line Thank You Postcardのコピー


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