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阪神淡路大震災における旧耐震マンションの被害状況をデータで確認してみた

旧耐震マンションの購入検討するにあたって、一番気になるのはやはり耐震性だと思います。価格と広さのバランスは良いが、震災が起こった時の安全性を気にされておる方は多くいると思います。

 そこで今回は、阪神大震災の際に、新耐震マンションと比較して旧耐震マンションの被害状況はどうだったのでしょうか。
阪神淡路大震災時の建物被害の多くが、旧耐震建物であったというのは事実なのでしょうか、またその割合や差はどの程度なのでしょうか。

 阪神淡路大震災が発生したその月に建設省住宅 局および建設省建築研究所主導のもと「建築震災調査委員会」が設立され、詳細な調査報告書が作成されました。また、不動産専門のデータ会社である「東京カンテイ」も阪神淡路大震災における建物被災状況をレポートで公表しております。

 これらの資料・データを基に、大震災時の旧耐震マンションの被災状況を見ていきたいと思います。

東京カンテイのレポートを基に筆者作成

 これは阪神淡路大震災において、兵庫県内のマンションで耐震基準別で、建物の被害状況をグラフにしたものです。旧耐震の50.1%、新耐震の53.1%が被害無しとなっており、改めてマンションの耐震性の強さが示されております。意外にも旧耐震と新耐震のマンションでイメージしていたより大きな差がないという印象ではないでしょうか。
 中破と大破は少し差がありますが、軽微な被害まで含めると旧耐震マンションの約85.2%、新耐震マンションの92.8%が被害状況は軽微に留まっております。
軽微な被害とは、柱・耐力壁・二次壁の損傷が、軽微かもしくは、ほとんど損傷がないものと定義づけられております。

 阪神淡路大震災において旧耐震建物の被害が甚大であったと聞いたことがある人も多いと思います。下記グラフは神戸市中央区の特定地域における全数調査の結果をグラフにしたものです。


「平成 7 年阪神・淡路大震災建築震災調査委員会中間報告」より筆者作成

 昭和56年以前に建築された木造建物(=旧耐震建物)の約63.5%が中破・大破・倒壊等の被害にあっており、昭和57年以降に建築された建物(=新耐震建物)と比較すると甚大な被害を受けていることがわかります。
 マンションにおける耐震基準別の差と比較して圧倒的な違いがございます。これらのデータが混同して議論されているケースもありますが、同じ旧耐震建物でもマンションと木造戸建てでは耐震性が全くことなることがわかるかと思います。

中古マンションを選ぶ際に、旧耐震基準マンションか新耐震基準マンションかは重要な判断要素となるかと思います。しかし住まいの価値を単にこの二者択一で判断するのではなく、上記のようなデータを参考にして、立地や広さ、住環境や予算など、自分たちの理想の暮らしができる判断を冷静にされるのが良いのではないでしょうか。

旧耐震マンションは金額面以外でも様々なメリットがございます(別コラム「旧耐震マンションのメリット・デメリットを整理してみた」参照URL)。
旧耐震マンションの購入の際には修繕状況等もしっかり確認することが重要です。当社では、建物状況をしっかり調査しお客様にお伝えさせていただいております。
住宅購入の際は是非住まいナレッジにご相談ください。


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