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【社会資源】精神科で活用できるキホンの医療費制度

精神科や心療内科通院をされる場合、長期的な通院が必要となることがあります。

何事も続けていく上でネックになる要素の一つは絶対【お金】ですよね。

noteでは検索するだけで、すでに紹介してくださっている方が多くいらっしゃいます。
これは、noteというプラットホームを知っていれば多くの方にとって参考にしやすくて良いなと思います。

特に、実際に資源を活用している方の情報ほど有益なものはありません。
なので、あえて紹介も不要だと思いますけれど私からも簡単に案内だけさせていただこうと思います。

きっとこの記事を自ら見つけられるような人にとっては何の新鮮味もない内容だと思いますが、身近な誰かに情報提供したい時でも良いです。

とっかかりとして、制度をシェアするのに、資料として活用できそうだなと思われたら、お使いください。


わたしも知っていたからこそ、昔、身近で通院が必要となった人へ紹介、手続きを間接的にサポートできた経験があります。

元々精神保健福祉を学んでみようと思った最初のきっかけである、

「身近な人の"万一いつか"に役に立てる人材でありたい」

その思いが果たせた人生の一コマがありました。


今回案内するものは、わたしが病院の医療相談室にケースワーカーとして患者さんやご家族、その方を応援してくれる方々に案内していたものが中心です。

スマホ画面で見ると、長くなってしまってるかもしれません。目次を活用してお読みください。



1.自立支援医療制度(外来)

一般的に医療費は、保険適応な医療であれば実際にかかっている医療費のうち3割が自己負担(医療機関の窓口でお支払いする)となります。
実際に提供されている医療は残りの7割を加えた金額になります。
3,000円の自己負担がかかる医療を受けた場合、実際には10,000円と定められている医療行為を提供されたということになります。

精神疾患は特性上、継続的に病院を受診することが他科と比べると多く、精神科デイケア(リハビリテーション)もあわせると1ヶ月の出費はそこそこかかります。

そこで、この自立支援医療という制度が精神科では受診とセットで取得を勧められるのです。
先の例を用いて制度を説明するならば、3割の3,000円の自己負担を1,000円に軽減することができるようになります。
加えて、収入に応じて自己負担の月額上限額が設定されます(0円、2,500円、5,000円、10,000円、20,000円、上限対象外のいずれか)。

ここで言う医療費とは主に3つ。
・精神科医療機関受診の際の費用
・処方されたお薬の費用
・精神科デイケア利用の費用

毎月1日からこの3つを利用した際の合算が、ご自身の受給者証に記された上限額に達すると、その月内は窓口での負担はなしで利用できます。

上限を毎月超過する位、外来治療に費やしている場合は実質、月の精神科外来の費用を固定化できます。

通院の回数が多い方や、精神科デイケアに週に数回コンスタントに通われている方で2,500円や5,000円の上限額は割とすぐに達します。

特に医療費がネックで精神科デイケアを活用するか否かに影響するのは勿体ないので、利用できるものは活用して頂けたらと思います。

わたしの勤めた職場がある地域でのリアルな使用感として、肌感覚的には2,500円、5,000円あたりの層の方が多いように思います。生活保護を受給されている人は0円です。

申請先:お住まいの区役所・役場の障害支援関係の課

申請(更新)する際に、わたしが気にしていた方が良いと思う点も以下に書き留めておきます。

①1年に1回更新が必要(診断書が2年に1回)※1
②登録した医療機関(通院・デイケア)・薬局でしか活用できない
③更新はゆとりを持って行う ※2

〈退院してから利用する場合〉
④新規申請する場合は、退院日が決まってから主治医に診断書を作成依頼
⑤入院前から利用していた場合、期限切れしていないかを確認
⑥入院前から利用していた場合、登録医療機関・薬局に変更内容がないか
⑦初回外来までに申請(更新)手続きする

※1
自立支援医療用の書式があります。診断書には費用がかかります。精神保健福祉手帳を同時に申請しようと考えている方は、手帳用の診断書1枚で兼ねることもでき、自立支援医療の診断書料を節約することができます。
「今年は診断書必要だっけ?」と分からなくなる時があると思いますが、受給者証に次回更新の際の診断書の必要有無が明記されています。
受給者証の形式は自治体によって異なりますが明記されている内容は同じだと思います。

※2
新しい受給者証が届くまで1〜2ヶ月かかります。
直前すぎると、新しい受給者証が発行される前に、現行の受給者証の期限が切れてしまいます。申請した控えを提示すれば1割負担は継続されると思いますが、上限が未定となるため、毎月の利用費が高額の場合、一時的に窓口の負担額が増えてしまうので注意が必要です。(新しい受給者証を提示すれば、上限超過分は返金されるので領収書をとっておきましょう)



2.限度額認定証(入院)

精神科に入院する場合、月単位の入院となる場合があります。

先程説明書きをした自立支援医療は外来治療費に対して適応される制度で入院治療費には対応していないので注意が必要です。

3割の入院治療費というと、月に何十万という出費になります。差額室料の発生する病室(1人部屋や2人部屋と言った少人数の病室)を使用する場合は医療費と別に別途日毎にお部屋代がかかります。
これは医療保険の対象にはなりませんので実費負担です。

室料代は病院毎に異なりますが、例えば
1,000円/日の室料でも1ヶ月で30,000円
2,000円/日の室料では1ヶ月で60,000円
これだけの費用が医療費と別にかかります。

その他、リネン代や金銭管理が必要な場合は管理費などが発生する場合があり、これらは実費なので医療保険の適応にはなりません。

健康保険や国民健康保険に加入していれば、高額療養費制度を申請することができます。
これは、世帯収入などに応じて1ヶ月の医療費の上限が設けられ、窓口で本来支払う必要のない超過分が返金される制度です。

しかし、注意するところ点があります。
①後で手続きをあとで行わないと超過分の返金がされない
②病院窓口では一旦3割負担(支払い)が必要

ということです。
手続きをすれば返ってくるとは言えども、一旦は支払う必要があるため、ある程度まとまったお金が必要となります。

また、返金してもらうための手続きを都度行う必要があります。

実際に返金されるまでにも一定の期間を要しますので金銭的に厳しい生活の中で、日常生活にかかるお金以外にまとまったお金を用意するのは、大抵の場合、容易ではないと思います。

そこで、「限度額適応認定証」を事前にとっておくことをお勧めしたいのです。

限度額適応認定証は、高額療養費制度で定められた自己負担の上限区分を予め証明してくれるものです。
先程説明した自立支援医療制度の入院治療費Verだと考えるとイメージしやすいでしょうか。

保険証と併せてこの認定証を医療機関に提示すれば限度額以上の医療費を病院の窓口で支払う必要がなくなるので、より少ないお金で支払いを済ませることができます。(ただし、先ほど説明した差額室料などは対象外なので注意です)

もし、入院となった際には医療機関からも説明されると思いますので安心してください。ご本人が入院されたとしてもご家族に対応頂ければ大丈夫です。

入院後でも、入院した月中に取得し提示ができれば初月から適応されるはずです。
ただ、月の後半や月末に入院した場合は、恩恵がそこまでないかもしれないので、その場合は焦らずに翌月までに取得手続きをするのでもいいかもしれません。

単身の方の場合、ご自身が入院し身動きがとれない場合もあると思います。おそらく病院のケースワーカーや医事課もそこに対し、患者さまの不利益とならないよう対策を講じてくれるはずですが、相談できる状態であればご自身からもぜひ、確認してみてください。

限度額は区分で示され、ア〜オまでの5段階となります。
後期高齢者医療制度でも、区分単位は異なりますが、同じように認定を受けることができます。

尚、肌感覚的なものになりますが、一般的な所得の方は大抵区分「ウ」という真ん中の位置付けになります。

全国健康保険組合のホームページを参考までにリンクします。
尚、国民健康保険に加入されている場合は申請先はお住まいの市区町村の役場(保険年金課)になります。


3.重度障害者医療費助成制度(外来)

各種障害を抱えた方で福祉手帳を持たれている方が対象になります。精神障害を抱えた人の場合は、精神保健福祉手帳を取得していることに加え、等級が1級と認定されている方が対象になります。

こちらも該当さえすれば医療費を助成してくれる制度なになりますが、精神障害のある方に対しては入院治療費は対象にならないという制約があります。
(自治体によっては独自になのか、カラクリは分かりませんが入院治療費も適応されたり、2級の方も対象になることもあるようです。お住まいの市区町村のホームページなどを確認しましょう。)


4.入院医療援護金

精神保健福祉法に定められた援護金です。
条件がありますが、精神科病院で1ヶ月のうち20日以上入院が見込まれる場合に1万円の援護金が申請することで取得できる可能性があります。これにより実質の医療費を1万円分相殺できます。申請は年単位となります。
こちらも、対象となりうる方には医療機関からも案内がされると思います。
詳しくはお住まいの市町村のホームページなどを参考にして下さい。


5.施設等の通所交通費を助成する制度

精神科デイケア、通所な福祉サービスに通所する場合ネックになるのは利用費より交通費だったりすることがあります。

ペースはそれぞれですが、週に数回通うのが一般的です。仕事であれば会社から交通費が支給される場合が多いですが、通所となるとそうは行きませんよね。

「行きたい気持ちはある。でも行くだけお金が飛んでいく...。生活が苦しくなるから回数を制限するしかない...。」

そんな理由でデイケアや福祉サービスに通所する本来の意義が損なわれるのは本末転倒ですよね。

そんな時に行政が通所の交通費を助成してくれる制度あります。「助成」なので全額ではありませんが、通所回数によっては実質全額助成されます。

市区町村によっては精神科デイケアは対象となっていないように文面見える地域が殆どですが、もしかしたらそういう地域には別途独自で制度があるかもしれません。

おそらくどの地域でも何らかこうした通所交通費を助成があると思うのですが、わたしも明確ではありません。
市区町村の役場のホームページなどを確認しましょう。
通所先で自動的に案内してくれる場合も多いと思います。


特に今回の記事は医療に関するページなので、外来治療の一環としての精神科デイケアという視点から一応紹介しました。

交通費の負担が減ることで、より気がかりがなく必要なリハビリテーションに自ら参加するしないを選択できるようになります。

しかしながら、助成は事後になります。
やはり利用開始して数ヶ月は補助もなく生活費を捻出する必要があります。

実際にこれまでわたしが関わらせて頂いていた方々でも、利用するほど交通費がかかるから厳しいなという声を聞きました。

循環に乗ってくれば助成されたお金を次の数ヶ月の交通費に当てられるようになりますが、最初は何とか工面するしかありません。ここがある意味切ないところなんですよね...。


文章力が無くてすみません。
少しでも参考になったら幸いです。

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