UXデザイナーにはどんな キャリアがあるのか
はじめまして。Goodpatch(以下Gpと略)でUXデザイナーをしている神谷と申します。自己紹介はこんな感じです。
今回は自分の考えるUXデザイナーのキャリアについて書いてみることにしました。なぜか。自分も過去悩んだんです。
はじめに断っておくと、これから書く内容はクライアントワークを基本とするGpのUXデザイナーを軸に考えたものです。GpのUXデザイナーは一貫したデザインを作るため、戦略から表層と言われるビジュアルデザインまで広く関わります。そのため事業会社でリサーチだけをメインでやっているよ!といったような方はもしかしたら当てはまらないかもしれません。
なぜキャリアに悩んだのか
少しだけ脱線して自分のこれまでの話をさせてください。上の自己紹介にもありますが、もともと事業会社でPdMとしてアプリやWebサービスのグロースや立ち上げに携わっていました。そこからUXデザイナーになった訳ですが、正直大きな違いが見出せませんでした。もちろん見るべき対象の広さややることの深さに違いはありますが、ユーザーにプロダクトを通じて価値を感じてもらえるよう試行錯誤し、結果としてビジネスを伸ばすという点は共通です。そう思った時に、UXデザイナーならではのキャリアってなんだろうと考えるようになりました。
そしていまGpに入社して2年が経ち、少しずつですがUXデザイナーとして得意なこと(できること)に対する解像度も高まってきました。キャリアはできることの上に積み上がっていくものだと思うので、そんな内容をまとめてお伝えできるといいなと思います。
UXデザイナーは何ができるのか
キャリアを考えるうえで、まずはUXデザイナーはどんなことができるのかを整理しておきたいと思います。
デザインプロセスを説明する際に用いられる5段階モデル図にUXデザイナーの主な役割範囲を足してみました。この範囲は会社や個人のスキルによっても変わると思いますが、UXデザイナーとUIデザイナーが分かれている場合は、戦略レイヤーであるべき状態を調査、定義し、そこからワイヤーフレームまで作ってUIデザイナーに引き渡す(その後も伴走します)というケースが多いように思います。
※GpではUIデザイナーも戦略から入ることが多いです
中身をもう少し詳細に書くと、
ユーザーの課題やニーズを導出するためのリサーチの設計、実行
リサーチ結果をもとにしたユーザーの求める価値やインサイトの抽出
価値を満たすユースケースや機能の洗い出しと優先順位付け
上記を具体化したワイヤーフレームの作成
等が主なものとして挙げられると思います。もちろん0→1なのかグロースなのかによっても大きく変わりますが、これらをステークホルダーと合意形成をはかりながら進めていきます。
そしてこれらを進めるうえで、抽象と具体を行き来しながら考えること、その過程を可視化すること、それらを支える言語化力はUXデザイナーの得意とするところと言えると思います。
UXデザイナーのキャリアはどこに面白さを見出すか
それらをふまえて、さっきの図に青字で少し要素を足してみました。
現状の自分の結論としては、この5階層モデルのどの部分に好きや強みを見い出すかでさまざまなキャリアがあるのではないかと思っています。
そして具体的な職種を入れてみたのがこちらです。
CXO(Chief Experience Officer)
まだまだ聞き慣れない職種(役職)ですが、デザインの重要性の浸透とあわせて少しずつ増えてきている印象です。ただ実際の仕事内容となると自分も妄想の域を出ないので、実際にCXOをやられている深津さんの記事を引用させていただきます。
認知してから忘れ去られるまで、という部分がとても好きです。
いま自分もクライアントワークを通じて、UXはソフトウェアに閉じて達成されるものではないと感じています。ユーザーの体験はまず知るところから始まります。そこで何を感じてもらうのか。また、困った時にどんなサポートをしてもらうのか。一度サービスから離れた後に何を通して復帰してもらうのか。それらすべてを通じて体験と呼ぶ場合、マーケティングやCSなど組織を横断してユーザーのタッチポイントをデザインする役回りは必要だと思います。そしてその軸になるのがUXリサーチをもとに導出した「どんな人に」「どんな価値を届けるのか」とその優先順位であったり、サービスの成長を可視化したグロースサイクルだったするのではないかと思っています。
UXリサーチャー
Googleをはじめとした外資系企業や、今や日本でも職種として確立してきていると思います。
Googleの説明を見てみると、デザインにおけるも最もチャレンジングな問いに答えを出す仕事としており、最後の一文には「リサーチャーはユーザーが何によって直感的で、操作しやすく、また魅力的だと感じられるかをUXチームが理解できるよう助けるもの」としており、ユーザーへの深い理解が求められることがわかります。
ただ日本の企業ではもう少し実践的というか、リサーチを通して新しいサービスの芽を見つけたり、利用におけるユーザーの課題を見つけ改善に向けた示唆を出すような役割も含まれていると思います。
その点で、目的(何を明らかにしたいのか)に応じて適切なリサーチ手法を選択できる知識経験や、高い分析能力が求められるのではないでしょうか。
○○○○○ x UX
続いては、PdM x UXやCS x UXといったUXのスキルを既存の職種と掛け合わせていくもの。UXデザイナーのキャリアとして最もイメージしやすいものではないでしょうか。今や職種に限らずユーザーの理解なくして成り立つ仕事はないため、上であげたようなUXデザイナーとして鍛えられるスキルが多いに活かせるのではないかと思います。
一方でもしこれを目指すのであれば、UXデザインと並行して、○○○○○の職種についても学んでいく必要があると思います。
UXライター
現状まだそこまで認知度の高くない印象ですが、個人的にはこれからニーズは増してくるのではないかと思っています。
ものづくりフェーズに入ると必ず悩むライティング。どのようなボイス&トーンでメッセージを伝えるのか。ユーザーにお得な情報を見てもらいたい時に「ぜひご確認ください」とするのか、「今すぐチェック!」とするのかで、ユーザーの受ける印象は大きく変わります。自分もまだまだ勉強中ですが、サービスやプロダクトで伝えたいパーソナリティを確立し、ライティングルールをもとにメッセージを決め、その結果ユーザーの体験をなめらかにする。そんな高度な言葉を操るスキルが求められると思います。
サービスデザイナー
最後はサービスデザイナーです。現在UXデザイナーといわれるとソフトウェアに閉じたイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。ここでサービスデザイナーをあげたのは、ソフトウェアに留まらずもっと広い範囲(サービス)の体験を設計、改善していくことを意図した職種という意味を明示的にしたかったからです。
例えば、Uber eats。自分はロイヤルユーザーと自負していますが、単にアプリの体験だけを磨いていればいい訳ではありません。配達員の方がどんなコミュニケーションをとるのか、何かトラブルにあった時どう対応するのか。全てが相まって、Uber eatsの体験になります。こういったユーザーとのタッチポイント全体(これを包括してサービスと呼んでいます)と、それを支える会社の組織やオペレーションなど包括的にデザインしていこうとするものです。
もう少し詳しく知りたい方はこちらもどうぞ
キャリアの可能性はもっと広い
ここまでざっと今自分の考えられるUXデザイナーのキャリアをあげてみました。ただこれはあくまで既にある職種に当てはめてみただけです。自分もGpでデザインに関わるようになって、デザインの可能性はもっともっと広いと感じています。
ブランド
接客
誕生日のお祝い
など、目標や目的があり、そのために何かを効果的に伝えたい相手がいる限りそこにはデザインが必要です。そしてその必要性は未来永劫なくなるものではないと思っています。
UXデザインの専門化と当たり前化は進んでいく
また、UXデザインの専門化と当たり前化は進んでいくものと思っています。これまで以上にすべての職種でユーザーを深く理解することは必要なため、例えばユーザーの価値を抽出するKA法などフレームワークは、どんどんと一般化されていくのではないかと思っています。
一方で、フレームワークはあくまで手段でしかありません。課題よりも解決策が飽和した現代において、ユーザーが自分でもわかっていない課題やニーズを探り出す深い洞察力や分析力は今後ますます重宝され、専門スキルになっていくのではないかと思います。
またAIやメタバース等の新しい技術の進化によって、ユーザーの体験は遥かに多様に、また複雑になってくることも予想されるため、その点でも専門性は増してくると考えます。
最後に
色々と書いてきましたが、時代の流れと共に自分の考えも進化していくものなので、またどこかでこの内容もアップデートできたらと思います。そして何よりデザイナーらしく、自分のキャリアもデザインしていけるのが理想だと思っており、そんな気概をもったデザイナーが自分の周りにも多い気がします。
そして最後の最後に、もしこのnoteを読んで少しでもGpに興味がわいた方はぜひ以下よりご応募ください!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?