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登場人物の履歴書と役割

脚本家・壽倉雅(すくら・みやび)でございます。

皆さんは脚本や小説を書くときに、登場人物を考えると思います。どんな性格で、どんな仕事について、何歳で……様々なキャラクター造りをすると思います。
そのキャラクター造りにおいて重要な履歴書と役割について、今日は書いていこうと思います。


履歴書で、キャラクターの人生を作る

登場人物を作るにあたって、一番重要と言っても良いのが履歴書づくりです。今に至るまで、どんな出来事が起こったのか、どんな家庭環境や友人環境の中で人間形成がなされたのかを作り上げていきます。

例えば「昭和○年生まれ」や「5人兄弟の末っ子で生まれた」「高校は男子校だった」「○歳の時に両親が離婚した あるいは 父が死別」したなど、何歳の時にどんな出来事が起こったのかを作ります。
これは、本編では直接語られなくても、ある意味裏設定として持っていくことによって、よりキャラクターが魅力的になるでしょう。
また、こういう環境等を履歴書でまとめることで、どんな過去を背負っているのか、どんな性格になるのかも、人によって変わってくるでしょう。

エクセルなどの表で、複数の登場人物の履歴書を同時に作っても良いでしょう。そうすることで、AさんとBさんは、小学校からの同級生なのか、中学校からの同級生なのか、そこによって関係性の深さも描け、セリフにも生かされてくるでしょう。

「お前、昔からそうだよな」
というセリフがあったとしましょう。
このセリフ、仮に高校の3年間しか一緒じゃなかった友人が発した言葉だと違和感を覚えると思います。もしこれが、保育園や小学校から同じ友人が発した言葉にすれば、説得力があります。履歴は、セリフにも繋がっていくものだと、私は思っています。(あくまで個人の感想です)

学園ドラマで、教師たちの履歴書を作るとします。
中学や高校を舞台にした学園ドラマならば、先生ごとに専門教科や顧問を担当する部活も違うでしょう。また、出身大学や、過去の学校勤務の経歴なども、キャラクター造りに必要な情報になります。校長や教頭などの管理職クラスのキャラを作るときも、何歳でその役に就いたか、教育委員会などの機関への出向の有無などを描くことで、より魅力的になります。

この登場人物の履歴書作りは、脚本家・倉本聰氏が、自身が担当するドラマでは必ず行っている作業でもあります。

キャラクターがもつ、それぞれの役割

登場人物を作るということは、自分が描いた物語において、それぞれ役割やポジションがあるということです。
主人公、ヒロイン、友達、両親、上司、部下、ライバル……どんな物語を描くかにもよりますが、それぞれの人生を背負った、それぞれの生活を通じてきたうえで今を生きている登場人物たちが、そこにはいると思います。

分かりやすく、「ドラえもん」のキャラクターで例えてみましょう。
※ここでは、人間を描くことに重点を置きますので、ドラえもんは紹介しません(笑)

【キャラクター】
・のび太⇒成績が悪い、あまり運動神経も良くない、いじめられっ子、ドラえもんという強い味方を持っている、亡くなったおばあちゃんが大好き
・ジャイアン⇒歌が下手、ガキ大将でいばりん坊、妹思い、母ちゃんが怖い、八百屋の息子、すぐのび太から道具を奪ってひと悶着
・スネ夫⇒金持ちのお坊ちゃま、ジャイアンの腰巾着、ママが大好き、すぐ自慢したり見せびらかす癖がある
・しずか⇒紅一点のヒロイン、のび太が好き?、お風呂が好き、一人娘として大事に育てられる、成績優秀、ジャイアンやスネ夫を咎める

こうしてみると、キャラクター被りしているメインキャラはいないですし、それぞれの役割やポジションが用意されています。
例えば、もしジャイアンではなく、スネ夫がガキ大将のようなキャラになっていると、俗にいう「キャラ崩壊」となるでしょう。ジャイアンだからこそ、ガキ大将が成立しているのです。

また、一項目目で書いた履歴書の観点から見てみましょう。
今でこそ、のび太たちは同じ5年生のクラスメイトですが、初めて知り合ったのはいつでしょうか。保育園から一緒なのか、小学校入学のタイミングで知り合ったのか、1~4年生は同じクラスだったのか、など履歴書に当てはめていくと面白いかもしれません。
ただ、一緒に冒険をしたり、常に公園で野球をしたり、ドラえもんの道具をめぐってひと悶着起こしているということは、少なくとも数年来の付き合いがあると推察できます。

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次回もお楽しみに!

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