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冷たい校舎の時は止まる #読書感想文

月並みの言葉ですが、毎日本当に寒いですよね。

私の住む地方ではまだ雪が降っていないだけマシかも知れませんが、寒いのが苦手な私としては早く過ぎ去って欲しい季節です。

さて、こんな寒い季節にぴったりな作品(?)の読書感想文でも少し書きたいと思います。


今回読書した作品は辻村深月さんの『冷たい校舎の時は止まる』という作品です。

辻村深月さんと言えば、昨年大長編ドラえもんの脚本を行ったりするなど、様々な分野で活躍をしている作者さんです。

少しSFな内容が多いですが、丁寧な心情描写(特に若者)のおかげで、非常に感情移入しやすいなという印象を持っています。

そんな辻村さんのデビュー作がこの『冷たい校舎の時は止まる』で、何とミステリー界の新人賞であるメフィスト賞も受賞した作品です。

〜以下あらすじ程度のネタバレ含む〜

前書きが長くなりましたが、ここから内容についての感想です。

私は本作を読書途中、デビュー作という事もあって、正直舐めて読んでいました。

今作は主要登場人物が高校生8名で、どの子も優秀ですがどこかに不安定な心情や環境を抱えています。

そして、8名の子供達が自分の気持ちやトラウマと葛藤をしながら、冷たい校舎からの脱出と友達の救出を行うのですが、中盤までは登場人物の心情解説の期間が続きます。

ここで私は

「あー、作者さんこの登場人物好きだからページ数多いよー」とか

「これってミステリー小説じゃなくて、ジュブナイル小説じゃない?」

など、非常に舐めた事を考えていました。

しかし、ラストを読んだ瞬間、こんなに舐めていた自分を恥じるほど衝撃が走ったのです。

長かった登場人物のストーリーは、きちんと伏線として丁寧に描写されており、

核心を着かないように、登場人物のある1点について明言をしなかったり、

しっかりとミステリーとしての流れと結末を用意していたのです。

辻村さんはジュブナイル作家だと勝手に思っていましたが、ミステリーでもSFでもどんな題材でも書けるハイスペック作家だと認識を改めました。


1200ページにも及ぶ長作でしたが、読了後には「まだ読んでいたい」いや「この子達の物語やその後をさらに知りたい」そう思わせてもらえる名作でした。

私と同じでいい子が好きな人、ミステリーでジュブナイルな作品を探している人

そんな人は冷たい校舎に迷い込みませんか?


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