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ダンサーたちの交換日記 「こうふく日記」  2020年6月26日(金)

「こうふく日記」とは

2020年4月に上演を予定していたダンスパフォーマンス作品の出演者4人による、いつか4人で踊る日までの交換日記。週ごとの担当者が1日分の日記を書いてゆきます。

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石原夏実(すこやかクラブ)

午前10時半。妊婦健診10回目。
お腹の人は、すこぶる順調。体重は1週間前の健診よりも減っていたけど「推定体重なので減ったり急に増えたりしますからねー」と、院長の独特なファルセット。エコー写真では、鼻と口がかろうじて見えた。長女に似てる気がする。
待合室でTちゃんに遭遇。もともと数年来の友人でありながら、偶然に産院が同じで、偶然に出産予定日が4日しか違わない。こんな偶然は人生に2度あることじゃないなと、つくづく思う。話したいことがたくさんあるけど、健診の付き添いも出産の立ち合いも産後の面会も制限されている今、待合室でペラペラと歓談するのはちょっと気が引けて、ポツリ、ポツリと言葉を交わして手を振る。

「お昼ゴハンでも」と呼び出しがあり、数ヶ月ぶりに実家へ立ち寄る。
母は昨年末から通院で闘病しているため、感染リスクのことを考えると、会いたくても会えなかった。今日は、10数年間放置されていた屋上を父が汗だくで整備してくれたとのことで、青空ランチが実現。
母が、わざわざ近所の窯焼きピザとパスタをテイクアウトしてきてくれて、なんともボナペティなランチに。ところが、数分で汗が噴出。これは、ちょっと、キツイ…。ドバドバと汗をかきながら、産後の生活について話を持ち出す。
夫が夜仕事なこともあり、長女の出産時には、予定日の数週間前からわが家に泊まり込み、出産にも立ち合い、産後はひと月以上通って手厚いサポートをしてくれた母。今回は、闘病中なうえに、コロナが立ちはだかっているのだから、もちろん負担はかけられない。
母が居なくてもどうにかなるように、区のサポート制度や、シッターサービスにも登録したし、長女のときとは違って、いまは近所にもママ友がいるし、夫もとっても協力的。私はお乳をあげる以外なんにもしないよ、ほんとに。大丈夫。
と言い終えるよりも早く、母の目からブワッと涙が溢れて、少し黒ずんだ肌に、くしゃっと皺が寄った。

夕方、美奈寿ちゃんから「とっても唐突なんですけど」と連絡。
美奈寿ちゃんが子どもの頃に着ていた浴衣を、娘に届けに来てくれるとのこと。私自身が妊娠中なこともあって、わが家への来客も出来るだけ控えてはいたけれど、数日前に、すこやかクラブメンバーの笛木が立ち寄ってくれて以来、もういいか。という気持ちになってしまっている。だって、娘がとっても喜ぶのだ。
今日も、20時から用事があるという美奈寿ちゃんを引き止めて、娘と遊びまくってもらった。美奈寿ちゃんは、娘が1歳の頃から稽古場で遊んでくれているので、もうすっかりマブダチである。あー、産後もこうやって遊びに来てもらえたら、助かりまくるなあ…と、勝手に心強くなる。

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