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ゴミ袋のサイズを変えただけで、部屋が綺麗になってしまった話

私の住む自治体は有料ゴミ袋に入れてゴミを捨てる。SS,S,M,L,LLとサイズのバリエーションが豊富で、ゴミ袋のサイズによって値段が違う。
我が家は今のところ妻と二人暮らしなので、SSサイズの袋で事足りている。

それでも今回は偶然ゴミが多かったのか、SSサイズでは足りなそうだと気づいた。そこで棚をあさってみると、いつかの年末に大掃除を始めた時に1枚だけ使った「LL」のゴミ袋を見つけた。他のサイズはないようだ。仕方ない。LLサイズに詰めなおそうと思い、LLのゴミ袋に詰め込んだ。(10枚1組で売っていて、LLが9枚分残っていたのだ)

するとどうだろう。かなりスペースを持て余してしまっている。だぼだぼというか、身長150cmの彼女が190cmの彼氏のスウェットを借りて着てるみたいな感じだ。それもそう、SSサイズで「ちょっとたりないかな」ということは、「S」サイズで十分なのだ。でも家には「SS」か「LL」しかない。なんて極端な家なのだろう。

LLサイズは、SSサイズのゴミ袋が5個分は入るであろうサイズ感なので、あとSSサイズ4つ分は埋められそうだ。だがしかし、ゴミを出す日は明日の朝。すでに家の中のごみはもう全て詰めてしまっている。こんなにスカスカのゴミ袋を出すなんてもったいなさすぎる。でも我が家にもうゴミはない。でもLLのゴミ袋を使うのに、こんな情けない量で出すのも気が引ける。
うーん、もったいない。せっかくのLLサイズなのに。
そこで、生まれつき貧乏性の私に一つの疑問が生まれた。本当に我が家にゴミはもうないのだろうか?

ゴミ袋にゴミを詰めたいがために、ゴミを探す

そこで改めてLLサイズのゴミ袋を片手に、家を慎重に練り歩いてみた。はたからみたらずいぶん滑稽なものだ。ゴミ袋にゴミを詰めたいがために、ゴミを探しているのだから。
するとどうだろう。「あぁ、これはそろそろ捨てようか、あ、あれも捨てちまおうか」といった具合で、どんどんLLのゴミ袋にゴミが溜まっていくではないか。なんとなくとっておいた何かの箱、賞味期限が切れたティーパック、無造作に置かれたレシート。そして無駄にとっておいた景品やもう使わないであろう文房具、古びたスリッパなど、不燃ゴミもたくさん見つかって、それはそれでまた大きい袋につめていく。

ガサガサと入れていると、中途半端に開いたウェットティッシュを発見した。もう乾燥していて、もはやドライティッシュになっている。これも捨ててしまおう。いや、捨てる前にちょっと床でも拭いてからにしようか。ん、ここの隅っこホコリすごいな。あれ、ここもなんか汚い。拭いておこう。

なんてことを繰り返していたら、床はピカピカになって、かなりのほこりが取れた。(恥ずかしい)。あっという間にLLのゴミ袋はパンパンになった。ついでに不燃ゴミ用の大きい袋もいっぱいになった。本来は毎度SSサイズにしか入らない分のゴミ量だったけど、LLサイズに変えた瞬間にゴミだと思っていないゴミが一気に可視化された。

やっぱり私たち人間は、隙間を埋めたくなる

よくいう話だが、人間とは、隙間を埋めたくなる生き物だ。スケジュール帳がまっさらだとなにか書きたくなるし、ワインセラーがスカスカだと、びっしり埋めたくなる。
今回は思いがけずゴミ袋をLLサイズに変更したことで、ゴミ袋の隙間を埋めるために、家の中の不要なものを洗い出せた。日々生活していると、やはり鈍くなる。ゴミに囲まれていても、慣れればそれらは風景の一部になってしまうのだと改めて感じた。

ゴミはもちろん最小限の方がいい。でもたまには普段よりも大きいゴミ袋を片手に家の中を闊歩していただきたい。もしかしたら家の中の景色が少し変わるかもしれない。


娘のオムツ代とバナナ代にさせていただきます。