「25時、赤坂で」が良すぎて語り尽くせない
人生に疲れたら、白崎由岐(しらさきゆき)くんと羽山麻水(はやまあさみ)の幸せを願うことでしのいでいる今日この頃です。
白崎由岐と羽山麻水。
彼らは、BL界の宝石と呼ばれる夏野寛子先生のマンガ「25時、赤坂で」の登場人物です。
下積み時代を経て、連続ドラマに抜擢された新人の白崎くんと、モデル出身の売れっ子俳優・羽山麻水。二人は、同性愛ドラマ「昼のゆめ」で共演します。
本作品の何が良いって、夏野先生の麗しい絵で描かれたキャラクターの姿かたちと(画集いつですか…)、対話をおろそかにしない関係性、それを成り立たせる言葉選び。
そして、白崎くんがかわいい、かわいすぎる。羽山麻水の顔がいい。とにかく顔がいい……と良きところは言い尽くせないのだけど、とにかく読んでない皆さまは早く読んできてほしい。単行本現在3巻、掲載誌は『on BLUE』(祥伝社)です。商業BLのある世界に生まれて良かった………
というわけで、単行本の各巻より、私のお気に入りセリフを紹介します。「わかる〜〜〜」と共感いただけたら嬉しいし、「読みたい」と思ってくださったら最高です。なるべくネタバレは伏せましたが、本編の内容に触れてますのでご注意くださいね。
「撮り切るまでは あの人は俺の恋人だ」(1巻)
白崎由岐のキャラクターを決定づけた、秀逸すぎる言葉。
麻水への恋心を自覚する白崎くん。しかし、彼には忘れられない人がいると知り、悩む。──が、役者・羽山麻水に心酔している白崎くんは、ドラマの撮影の間は、彼の恋人は自分なのだと我を出していきます。澱みなくそう思える自己肯定力、自信が良きですね…強い。
白崎くんは「役者として売れたい」の気持ちが強く、降りてきたチャンスはしっかりと掴むキャラクター。芯があるので、油断すれば終始甘い雰囲気に陥りそうなところに、緊張感を連れてくるんです。
白崎くんが役作りに没頭するあまり、突拍子もない行動に出ることで話が動き出すんですが、その後も彼は謎の行動力を発揮していきます。でも、なぜそうするのか?がちゃんと開示されるので、読んでる側はヤキモキしないんですね。かといって、説明過多ではないところがうまいところ。何してもかわいいな。羽山麻水どうか白崎くんを幸せにしてやってくれ…さらにだ…
「ほーん?」(2巻)
名バイプレイヤー、佐久間さんの存在感が尊い…………
佐久間さんは、羽山麻水の仲の良い役者で、昼のゆめでも共演しています。白崎くんにとっては、良い兄貴分。二人の仲には気づいてないそうで、佐久間さんが出てくるシーンは食事をしている率が高いです。飲食あるところに佐久間ありくらいの勢い。
テレビドラマのヒットを受け、映画化が決まる「昼のゆめ」。映画からの共演者として、新キャラの山瀬氏が登場します。舞台を中心に活躍してきた山瀬氏は、はじめ「女子がキャアキャア言うドラマ」と斜に構えるのですが(仕事はまじめ)、白崎くんたちの演技に焚き付けられていきます。
山瀬氏の役柄は、白崎くんが演じる役に片思いしてきた人。撮影中、「(白崎くんの)もっといい顔が見てみたい」と話す山瀬氏に、佐久間さんは「ほーん?」と返すのです。このゆるさがいいんだよな……。
佐久間さん、どうやらニチアサ出身らしい。たぶん、ブルーかグリーンだと思う。でも、その後すぐには売れなかったのかもしれない。少し伸び悩んだ時期を通り過ぎて、自然体な自分を掴んだような落ち着きとユニークさがあります。気配り屋で超優しい。裏でスタッフの女子に「眺めるなら羽山麻水、結婚するなら佐久間さん」って言われてそう。私もそう思う。
「白崎くんの何かが損なわれることはないよ」(3巻)
羽山麻水マジ白崎くんのこと大好きじゃン…
厳しい指導で知られる名演出家の舞台に出演することになった白崎くん。しかし、思うように演技ができず、自信を失っていきます。そんな彼に、「舞台の仕事一回ダメだったくらいで」…と、羽山麻水がかけた言葉です。
そんな生易しい世界でないことはわかっている。でも、一番大好きで尊敬もしている人にそんなことを言われたら、もうね、前を向くしかないよね。
羽山麻水は俺様ではなく、スマートなキャラクターです。しかし、彼のマネージャーの言葉を借りれば「何考えてんのか未だよくわかんないし」「サイボークみたい」。そんな、アーティフィカルな羽山麻水を、唯一乱す人が白崎くんであること(その理由がキーポイントである)が、この二人の関係性のもっとも尊い部分であるな…と思っています。
(なおここまで、麻水さんを敬称略フルネームで呼んでるのは、いわゆるオタク仕草なので悪意はありません……)
以上、まったくもって、作品の良さの3%ぐらいしか語れておりませんが、ぜひ「読んでみようかな」の一助となれば幸いです。重版されたので手に取りやすいと思われます!(電書もあるよ)
on BULE10月号から4th シーズンも始まるとのことで、良い子に待っていようと思います。夏野先生をスカウトされた編集さまありがとう!!!!!
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