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スモールマスのオタク女子をターゲティング!ファンケル/DHCのキャンペーン事例

4月から、オタク女子を対象に、コスメブランドのキャンペーンがスタートしています。展開する企業は、ファンケルとDHC。スモールマス(マスほどの大きさはないが、一定の規模を持つ市場のこと)として、オタク女子層が認知されてきたのだと思います。

ファンケルは、スキンケア用品をイケメンキャラクターに擬人化させ、人気声優をキャスティングしたオリジナルのコンテンツを作成。そしてDHCは、アニメ「KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-」とのコラボレーションです。それぞれを、詳しく見てながら、どのようなマーケティングの意図が隠れているのか考えていきます。

[ファンケル]植物戦隊ボタニカルフォース

ファンケルとセブン&アイグループが共同開発したスキンケアブランド「セブンプレミアム ライフスタイル ボタニカル フォース」。このうち5つの商品を、5人のイケメンキャラクターに擬人化しました。彼らは「植物戦隊ボタニカルフォース」に変身し、肌の水分を奪いとる「ガサガサ帝国」からお肌を守る・・・というストーリーを展開します。

5人のキャラクターの声を担当する声優は、寺島拓篤さん、細谷佳正さん、木村良平さん、諏訪部順一さん、蒼井翔太さんたち。キャラクター設定には、戦隊もののセオリーも取り入れられ、丁寧にコンテンツが作られています。

4月3日から公開されているキャンペーンサイトでは、スペシャル動画やキャラクターの紹介のほか、オリジナルボイスドラマの予告編が配信されています。このボイスドラマは、バイノーラル録音で収録されており、イヤホンやヘッドホンで聞くと、まるで耳元で語られているようなリアルさを感じることができます。

また、対象商品を購入したレシートを登録してポイントを貯めると、オリジナルボイスドラマの本編がプレゼントされる仕組みです。

2017年に登場したボタニカルフォースは、ワンコイン(500円)から1,000円前後とチャレンジしやすい価格帯。「おもしろそうだな」「せっかくだから、買ってみよう」と気軽に試せるアイテムであることは重要です。また、売り場はセブンイレブンとイトーヨーカドーと身近な場所ですから、買いやすいですね。

オタクコンテンツを使ったキャンペーンのポイントは、キャンペーン設計にどのくらい作品への愛が込められているか、そして企業が作品とコラボする背景への納得感や共感にあります。単発のオリジナルコンテンツの場合、ファンがいない状態からスタートするため、ファンとの関係性作りよりは、つかみ(インパクト)が第一で、アクション(購買)につなげやすい設計が大切です。

逆に考えると、オリジナルコンテンツと高価格帯商品はマッチしづらいでしょう。やはり、好きな声優さんが関わっているとはいえ、初めて使う商品に高いコストをかけるのは少し考えてしまうもの。そのあたりのバランス感覚がちょうどいいキャンペーンだと思いました。

[DHC]キンプリ&新生活応援READY SPARKING!

続いて、DHCのキャンペーンです。熱心なファンが多く、「応援上映」スタイルを一躍メジャーな存在へと押し上げたキンプリシリーズから、KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-とのコラボレーションを展開します。

新生活応援READY SPARKINGキャンペーンとして、対象商品を購入する(通販限定)と、DHCオリジナルのキンプリノベルティがプレゼントされます。対象商品は、スキンケアアイテムを中心に、健康食品からオリーブオイル(!)までと、幅広いラインナップです。

DHCは、アイドリッシュセブンとのコラボレーションを継続的に行っています。その成功が、こうして他の作品とのコラボレーションにもつながっているのかもしれません。アイドリッシュセブンのコラボレーションは、ライトな内容からスタートし、大型のキャンペーンへと拡大していきました。このステップを振り返ると、キンプリSSSも反響次第では次のキャンペーンにつながるかもしれませんね。

余談ですが、DHCのアイドリッシュセブンコラボでは、販売開始とともにサイトが落ちたり、すぐに売り切れたり・・・といったことがありました。しかし、その後は予約販売に変更するなど、PDCAを回して快適な購入体験を作っています。DHCは、オタク女子の熱意をデータとして把握している企業のひとつではないでしょうか!?

定番ブランドゆえの悩み、どう解決する?

今回のキャンペーンは、ある共通の目的があるのではないか?と考えます。それは、ブランドへの固定化されたイメージの払拭です。

両社とも、通販コスメと健康食品で有名な企業ですが、その認知拡大にはある商品の大ヒットがありました。ファンケルは無添加化粧品と洗顔パウダー、そしてDHCは薬用ディープクレンジングオイルです。肌が弱くても痛くない化粧水があるんだ!と驚きましたし、化粧落としにクレンジングオイルが定番となったエポック的な出来事だったことを覚えています。

しかし、それゆえに「あのブランドといえばこの商品」というイメージが強いのかもしれません。今回のキャンペーンには、他の商品も知る・使うきっかけを創出したい意図がうかがえます。そういった背景に対し、さまざまな世代がいて、購入意欲や拡散力の高いオタク女子層は、とても魅力のあるスモールマスだと考えられますね。

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