友人に送った 「センセイの鞄」の読書感想文(2000字)

インスタのストーリーでさくっとBOOK OFFの購入品を載せた時のこと、友人から「センセイの鞄気になっているから、感想聞かせて~」とメッセージが送られてきた。それに私は「2000字のレポートにして送るね」という軽い気持ちでボケを返した。

その時私は「マジで2000字の読書感想文書いて送ったらどんな反応するんだろうか」と幼い頃から心にふつふつと溢れ続けている好奇心というかイタズラ心というか、そんな感じのものを抱いて、読書感想文をしたためたのである。友人からの反応がイマイチだったためスッキリしなかったので、ここに自己満として載せておこうと思う。


「センセイの鞄」を読んで

 この文章は筆者が川上弘美著の「センセイの鞄」を読んだ感想やあれこれを約2千字程の読書感想文に記したものである。結構な長文であるため、ネタバレとなる可能性は高いが、そこは了承してほしい。

 まず筆者と「センセイの鞄」との出会いは、6月中旬、寺田心氏のCMでお馴染み・BOOKOFFの文庫100円コーナーを徘徊していた時だ。前日に江國香織著の「きらきらひかる」を読み、自身の中で空前の女性作家ブームが生じていたため「有名な本だし、面白いっしょ」と軽い気持ちで手に取りレジへ向かった。川上弘美氏の本は高校生の時に「ニシノユキヒコの恋と冒険」を読んだ以来二冊目である。

 そんなこんなで「センセイの鞄」の世界に飛び込んだ。ここであらかたのあらすじを説明しようと思う。主人公である月子はアラフォー独身女性。特に人生の楽しみも持ち合わせず、仕事と息抜きに居酒屋で一杯する、とてつもなく平凡な日々を暮らしていた。ある日、行きつけの居酒屋でいつものように飲んでいると、どこかで聞いた事のある声が聞こえた。妙な懐かしさを感じる方向へ顔を向けると、そこには高校時代に国語の担当教員であったセンセイがいた。それが月子とセンセイの出会いである。
 それから何度か同じ居酒屋でセンセイと鉢合わせ、〝飲み仲間〟となるうちに教師と元生徒という間柄が徐々に変化していく。居酒屋ではない、異空間で会うセンセイはどこか特別で、いつしかセンセイに恋心を抱くようになる-という話だ。

 あらすじはあらかたこのようなもので、物語は主人公である月子目線で進んでいく。センセイは国語教師であるため、丁寧で上品な話し方をする。月子視点で進行するが、物語全体がまるっとセンセイが持つ空気感を映しているかのように、静かで高貴で落ち着いている。まさに〝純文学〟を読んでいるかのように感じた。(これが〝純文学〟に定義されるかはわからん)本を読む時間って読者が何かに没頭したいと思う感情と集中出来る空間で構築されるものだと考えていて、その時間に適した作品だと思う。(この作品が持つ独特な静けさが合わない人は、眠くなってしまいそうだけど)

 そんなこんなで意外と千字。山で言うと五合目くらいに差し掛かった辺りかな。横道に逸れるけど、これ早朝5時半に急に書きたくなってスマホのメモに残しているのさ。低気圧で22時頃寝て3時に目覚めちゃったからしょうがない。朝のテンションって怖いね。

 話を元に戻して、この本を読んで「もし仮に自分が月子だったら」と考えてみた。自分がもし月子なら、センセイの事を好きになるだろうか。その答えはノーである。

 親子みたいに歳が離れている人がタイプじゃないという考えがまず一つある。初老のお爺さんにしか出せない、落ち着いた雰囲気やこれまでの人生や苦労をユーモアに語る話術は魅力的だけど、目の前にセンセイと中村倫也がいて同時に交際を申し出されたら、迷わず中村倫也の手を握るもん。

 少し極端な考えが往来したが、自分がセンセイを好きにならないであろうと感じる最も大きな理由は、自分とセンセイの交際を祝福してくれる人よりもそうでない人の方が大多数を占めると考えているからである。
 よく、「周りに反対されても、私たちが好き同士ならそれでいいもん」という意見を聞く。それに、そのような考えをもった主人公が登場する小説やドラマ・映画もよく見る。実際にそのような考えを持つ人は一定数いると思うが、私自身はそうでないと思う。もし、誰かと付き合って仮に結婚するならばやっぱり周囲の人に祝福されたい。特に両親には心の底から「おめでとう」って言われたい。仮に、自分が月子でセンセイと結婚する時、両親は「おめでとう」と伝えてくれるかもしれない。けれどもその祝福の言葉は果たして心の底から出ているものだろうか。相手の心の声は分からないが、そのような不安を感じでしまうのは苦しい。〝誰かに認めてもらうために結婚する〟わけでは無いことは重々承知しているが、もし月子に自分の魂が映ったらそう言った考えを持ってしまうのではないかと感じた。

 けれども、「センセイの鞄」の世界線では月子とセンセイの交際に反対する人は登場しない。むしろ二人の関係性を陰ながら応援する人しか出てこない。物語の世界に浸っていた時は〝幸せな空間やな~〟くらいに思っていたけど、今思えばそれが当たり前なのかもしれない。
 だって、付き合うってことは自分と相手との問題であるはずなのに(経済的にはそうはいかないかもしれないけど)他人がどう思うかとか気にして生きていかなければならない世の中にそこまでの疑問を持たず、自分の考えにまで侵食され始めていた事実に悲しさを覚えた。他にも社会的に認められにくい関係性(同性愛とかね)も当事者同士の問題なのだから、他人がどうこう口出す所ではないよなって感じ、深く頷いた。

 ってな感じで「センセイの鞄」を読んでみた感想やらなんやらを書いてみました。早朝テンションで書き終えようとしている駄文を(一応読み直そうとは思っているよ)ここまで読んでくれてありがとう。もし「センセイの鞄」読んでみたいな~と思ったらいつでも貸すし、まあ某BOOK・OFFで100円で買えるからぜひ手に取ってみてください笑

 文藝春秋の回し者でも、川上弘美信者でもありませんがこんな感じで2千字読書感想文を締めくくろうと思います。終わり。

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