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共に暮らすこと

シメがとても幸せそうに寝ている。腕はのびーっと脱力、目は福を呼びそうな招き猫スマイル。
思わず「うちに来て良かったね、シメちゃん」と話しかけてしまった。

シメは、うちに来てまだ二ヶ月も経っていない元保護猫。割と成長してから人間に保護されたので、まったく人慣れしない。家族の間では、シメは母猫に「人間は怖いんだぞ」と教育されてきたのだろうと想像している。

1年間に保護される犬や猫の数は、約10万6百頭だとか。これでも年々減ってきているそうだが、それでも冷たい人間に勝手に見捨てられ、また優しい人間に拾われるという終わらない循環が続いているそうだ。

冷たい人間、優しい人間と簡単に二項対立を立ててしまったが、人間を真っ二つに分類することはできないでしょう。シメを引き取ってから、つくづく感じている。

ケージの中ですやすや眠るシメを見れば、抱きしめたいほど愛しいと思う。「あんたを、ずっと守ったるで!」と優しさいっぱいの母性本能が湧き出てくる。でもシメは、ケージの外に出たら暴れん坊将軍。全く言う事を聞かなくて困り果てると、なんだか全てを投げ出したくなってしまう。ただ、自分の心の狭さに愕然とするからである。

なんで、猫が人間の言うことに従うと思ってしまうのだろう。私は、冷たい、非常識で、身勝手な動物だ。もし私が人間であるならば、もっと理性を働かせて、持ち前のコミュニケーションのアンテナを活かして、猫の気持ちもちゃんと考えてみたらどうだ。

シメも含め、動物はいつだって、人間の傲慢さを教えてくれる。だからこそ、きっといいパートナーになれると思う。人間関係でも、性格が真反対の人と一生の仲になることがあると聞くし、生きていくには、自分に見えていない自分を教えてくれる存在が必要なのでしょう。私は人間として、あなたを世の中にある、動物にとっては理不尽な危険から守っていくから、シメはずっと、ピアノの上から私を見張って頂戴ね。

シメがうちに来てくれて、私の方が幸せをもらっているよ。これからもずっと仲良く暮らしていきましょう。

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