老人ホームにいる父とテレビ電話する方法
いま、私の父は有料老人ホームに入所しています。
この施設は早々に感染症対策を取り、2月末から家族の面会はできないことになっていました。2月末に、「3月末までは一旦面会禁止とさせていただきます」という連絡を頂いた時は、『結構大げさだなあ、まあ長く言ってるのだろうな』という印象を抱いたものでした。
それでも、認知症の父と一ヶ月以上も話せないとなると、私のことを忘れてしまうのではないか…?という懸念もあった。そして父への連絡手段も、施設の電話にかけるしかない、という状態だったので、早々に父との連絡ツールを導入しなければ!と思った。(技術協力 by弟)
いまは老人ホーム入居者に限らず、なかなか会えないご家族とテレビ通話する機会は多いことでしょう。もうすでに導入されているかたは多いかもしれませんが、備忘録も兼ねて我が家の場合の方法をまとめておきます。
導入したのは、iPad(SIMフリー)と、格安SIM(楽天モバイル)。
ちなみにiPhoneも検討しましたが、テレビ通話するには画面が小さいかな…ということで旧型のiPadminiを中古で購入。現状は不便はなし。
スマホやタブレット操作に慣れていない方にいきなりiPadを使え!と言われても…と思われるかもしれませんが。老人ホームに入居している方には、職員さんにサポートをしてもらう前提で使うことを想定すると意外と現実的なツールかもしれません。
『なるべく施設職員さんの手をわずらわせない』ように
iPadにSIMカードを挿入して、AppleIDを設定して…セットアップもすべて事前に整えておく。(専用機として余計な情報は入れない。パスコードもかけない)
絶対に<ネット開通、アカウント設定>などのセッティングはした上で施設の人に渡す!これが重要!
(ちなみに我が家は設定ミスで一度送り返してもらうというめちゃくちゃお手間をかけたので反省している)
連絡ツールとして選んだのは『LINE』です。
今の父は、iPadを自主的に操作する………なんてことはできない。なので基本的に、『職員さんに操作してもらう』ことを想定している。だからSkypeなど特別なツールを使うよりも、プライベートでも使う人が多いLINEのほうがいいかなと思った。
なお、『職員さんの手を煩わせない』と言いつつも、職員さんの協力なくして使えないのもまた事実。これも追って説明していきます。
老人ホームにいる父とLINEで話す方法
*これはあくまで我が家と父の入居施設で行なっている方法、となっています。実際に行う前にケアマネージャーさんなどに相談しましょう。
〜事前準備(必須)〜
① 父の名前でLINEアカウントを作る
誤操作で父が操作してしまわないように色々と規制をかけたかったがそれは叶わず。やむを得ず父のアカウントの名前の後に『(本人操作できません)』という文言を加え、プロフィール文に、『本人は返信・操作できません。なにかあれば息子・娘までご連絡ください』と設定した。
② 親しい人を友達追加
連絡を取りそうな人は追加しておく。また、主に連絡を取りそうな人はアカウント名をメモをしてiPadに貼り付けておく。
③ 机の上に立てて置けるような道具を揃えておく
我が家の場合は立てることができるカバーを購入して装着しておいた。スタンドなどでもいいかもしれないが、あくまで使いやすいものがおすすめ。
④ 施設に届ける
事前相談の上、iPadの基本設定やLINEの設定も完了した上で、施設職員さんに渡します。繰り返しますが、施設の協力なくしては成立しません。
〜いざ実践〜
⑤ 話したいときは、施設に電話→『父のiPadから折り返してもらう』
日中は共用スペースの食堂にいることも多い父。部屋に置いたままのときでは気がつかないし、LINEを鳴らしたところで父が応答する確率はかなり低い。つまり、父からかけてもらわなければ電話は難しい。
どうしても一手間あるが、流れはこうだ。
(*5/31追記:父の入所施設の場合は、テレビ電話をする利用者の増加、人員配置等の関係で、「折り返し電話の時間が一律で16:30になる」という通達があった)
ちなみによく話す人どうしで『グループ通話』を作っておくと、複数人での通話もできる。1対1で話すことがなくなっても、3人だとなんとなく話せてしまうものだったりするので便利。
ある日の父と私のテレビ通話
と、いうわけで無事開通した父とのテレビ電話は、毎度毎度すっとぼけていて、平和です。
支えてくださっている施設の皆様にはとにかく感謝の気持ちでいっぱいです。コロナなんてどこ吹く風、という顔をしている父の、この平和がとにかく、どこまでもどこまでも続いていきますように。私のここ最近の一番の願いです。
『32歳。いきなり介護がやってきた。
ー時をかける認知症の父と、がんの母と』書籍化されました。
note、cakesで連載していた認知症の父と、がんを患った母についてのエッセイが書籍化されました。何も知らない状態から介護サービスを利用し始め、母を看取り、在宅介護を経て、父が介護施設に入所するまでの自分の経験と想いをつづっています。
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