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ブラジルにもZine文化があったなんて

今日は台東区池の端にある古書ほうろうさんで、「ブラジル北東部の民衆版画展」&トークショーにいってきました。
本展示は長野県松本市にある「ヤマベボッサ」さんの企画とのことで、店内には実際にヤマベボッサの増田詩絵さんが版画工房を訪問されて買い付けられた民衆版画の作品が展示販売されています。今日はヤマベボッサさんのケーキとオリジナルブレンドコーヒーをいただきながら、増田さんのミニトークを伺いました。

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メープルチーズケーキ…美味しすぎた

ブラジル北東部の伝統的なZineー「コルデウ」

もともとは、ニュースや時事的な話、その他物語などを定型詩にのせて吟遊詩人が伝えるという文化が古くからあり、のちにそれをかわら版のような版画つきの冊子にした「コルデウ」が、路上や店で販売される文化が根付いていったという。現代でいうZineというところでしょうか。
だいたいのコルデウは表紙が版画で作られ、内容は韻を踏んだ定型詩、というパターンになっている。
しかしコルデウの種類は幅広く、中には日本文学を取り上げた内容もあれば、「おなら」を題材にしたシリーズが何十冊も出ていたりするとか。
コルデウ文学は2018年に無形文化遺産に指定されているとのこと。

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ひもに吊るしてマーケットなどで売られている「コルデウ」

現代でも民衆版画の伝統は受け継がれ、中でもボルジェス工房は、ボルジェス家の18人の子供達(!養子を含む)とその親戚等で、版画を分業制で製作している。増田さんはこれらの民衆版画に魅せられ、文化を途絶えさせたくないという思いを抱くが、現代では人気が出てきており、昼休みも工房では版画を刷る音が途絶えないほど各地から注文が入っているとのこと。

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子供達のあそびを題材にした版画

「一版」で刷られる多色刷り

一色の版画もあれば多色刷りの版画もある。しかも驚くべきことに多色刷りの版画は、「一版」の版木で刷られているというからその技法にも驚き!

版画制作の工程を知る人にはお分かりだろうが、浮世絵など多色を刷る場合は色ごとに版を分けるのが一般的なのだが、この民衆版画は驚くべきことに一つの版木。なぜ一版なのか、その理由が「面倒」とか「節約」だったとしても、結果においてその着色技術がこんなに高いとは。彫り師、刷り師の分業制がなせる技かもしれない。

描かれる題材も、子供達の遊びや、時に過酷な内陸部の乾燥地帯に暮らす人々の暮らしだったりとさまざまだ。

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必ずしも明るい題材でない(ひどい乾季により、作品下部に動物の死骸などがあるのがおわかりいただけるでしょうか)のに、作品には強い強い生命力を感じるから不思議。作品は実物をぜひ見ていただきたいので、ちょっと引きの写真で…。

「ブラジル北東部の民衆版画展」
2020年2月11日(火祝)〜2月24日(月祝)12:00〜21:00
(2/16,17,18休、最終日18時終了)
会場:古書ほうろう (←GoogleMapが開きます)

本当元気もらいましたので、オススメ。
私は版画が大好物だけれど、そうで無い方も、瓦版としての「コルデウ」文化、ものすごく興味深いのでぜひ。貴重な資料も見られます。

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