チェコビールの街・プルゼニュの醸造所へ
10月のはじめの週末、プルゼニュという街に来ました。
さっそく、黄色いトラムを見て興奮。
プルゼニュは、英語ではピルゼン、とも発音されたり。プルゼニという表記も見かけますがひとまず私はチェコ発音に近い「プルゼニュ」で。プラハから快適な直通バスで50分、89Kc(約420円)でこれました。近!!
なぜこの時期にこの街にきたのか…?と問われれば、そう、目的は「ピルスナーフェス」!例年10月1週目頃に行われる、プルゼニュの街全体を巻き込んだお祭りです。
チェコといえば…?という質問をしたら、回答の上位を占めるであろう「ビール」。ずばりビールの国内消費量が世界一!の国、チェコではプラハをはじめ各地にたくさんの醸造所がある。中でも有名なのは、日本をはじめ各国へ多く輸出されている「ピルスナー・ウルケル」。そのピルスナー・ウルケルのお祭りが「ピルスナーフェス」だ。
街全体がお祭り「ピルスナーフェス」
ピルスナーフェスは思っていた以上に「フェス」だった。醸造所はプルゼニュの旧市街広場からは少し離れているが徒歩圏内で、イベントは広場でも醸造所周辺もその間にもいくつかライブステージがあり、同時にアートイベントも行われていたようで、街全体がお祭り感に包まれていた。ビール!ソーセージ!ビール!ピザ!ハンバーガー!ビール!スイーツ!肉!ビール!(もちろん他の飲み物もあります)
どどーん!
うまそうじゃろ。
醸造所から10分ほど離れた、プルゼニュの中心地となる教会広場付近でもライブやフードなどの出店がたくさん。同時にアートイベントをやっていたりもして、街角のさまざまなスポットでゲリラ的にライブがあったり出店があったりとかなり賑やかな雰囲気。
18世紀のプルゼニュでは、当時ビールは輸入されるもので、その味は粗悪なものだった。これに不満を持っていた人たちが、1838年にこの広場で、36のビールの樽を一斉に捨てるというデモを起こしたという。このビールはもう飲まない!自分たちで自分たちのビールをつくるんだ!という決意表明をしたのがこの場所だったということだ。
その後ピルスナー・ウルケルは1842年より生産されることとなった。そうして声をあげて作られた自分たちのビール。プルゼニュの人々にとって、ビールは大事なアイデンティティの一つでもあるのだ。
ピルスナー・ウルケルの醸造所を見学
さて、そんな「ピルスナー・ウルケル」が生産されている醸造所のツアーに参加してきた。
醸造所の門は、ビールのパッケージにある赤いラベルのロゴにも描かれております。
この「プルゼニュスキー ブラズドロイ醸造所」は、実は他にもチェコで一番飲まれているビール「ガンブリヌス」も生産しているそう。なんだか工場というよりも小さな街みたい。中はそのくらい広い。
自給自足でつくるビール
発酵、醸造、瓶詰め……さまざまな工程がすべてこの場所で行われている。
ピルスナーウルケルのすごいところは、自給自足的なところ。電力や水なども含め自分たちで生成できるような仕組みをつくり、市に頼らないような独立的な動きを見せた。
醸造所内にはバスが走っており、広い敷地内を歩かなくてすむのは助かる。
こちらは水をくみ上げていた水塔。地下100mからくみ上げている。比較的近年の2005年まで使われていたのもすごい。
その中を覗くと…ほんのり暗い中にこぽこぽと水をろ過する機械が動く…。
ずっと見てられるな…と思ったけれどツアーのため足早に退散。
でも中でまさにチェコ映画みたいな写真が撮れました…。こういうチェコ映画ありませんでしたっけね…。
木の樽も手作りしている
今回は特別に、ふだんのツアーではなかなか見ることのできない「樽の製造所」もお邪魔することができた。現在はステンレスのコンテナで製造されているが、伝統的にはピルスナーウルケルは木の樽で作られていた。そして木の樽も自社製造だったというからすごい。
こちらで現在も、45年間樽を作り続けている職人さんが説明してくれる。
ワインの樽と違って、ビールの樽は木がビールの味を侵食しないように、レジンで加工して膜を作っている。その製造工程も一部見ることができた。
板を束ね、その中に火をくべて熱を加えながら、鉄の素材で締め上げてこの曲線をつくる。ビールを発酵させるためにはこの形にしなければならない。手作りで作っているため、厳密な内容量は、実際にできて使ってみるまでわからないそう。
ピルスナーウルケルの歴史的なセラーへ
今回のツアーでは、現在、1時間に約120,000ボトルが生産されているというピルスナーウルケルの最新式の工場には行かなかったが、通常のツアーでは行くようだ。私たちはピルスナーウルケルの歴史を担う中心地ともいわれる地下のセラーへ向かった。
建物に入る前、なんだか嗅いだことのない匂いがする。くさいとも違うけれど、美味しそうでもない。甘いような酸っぱいようなにおい。これはなんだろう?不思議なにおいだなぁと思っていると、ガイドさんが少し得意げに、「ビールは液体版のパンなのよ」と、言った。有名な表現なのかもしれないが、そうか、何かのにおいに似ていると思ったら、パンの発酵するにおいに似ているんだ。入り口に近づくにつれ発酵の香りはパンのそれとどんどん似てきた。あまのは醸造所のにおいを覚えた!(レベルアップ)
入り口を入ると、1839の文字にむかえられる。この地下道を掘るプロジェクトが始まった年だ。人々は地下道を掘り、貯蔵庫、いわば天然の冷蔵庫をつくった。氷も外から運び入れ、氷が溶けて流れ出した水が空間を冷やすというわけだ。そしてその流れ出す方向がまた順路を示してもいる。「当時のGPSね」サバサバと、ガイドさんが言った。
さぁここでお待ちかね…
ゴクリ………
ナズドラヴィー!(乾杯!)
そう。樽から直接注いだ無濾過ビールがいただけるのです。
フレンドリーなおじさまが注いでくれます。
現在は木の樽ではつくられていないが、この工場の中では唯一、ここで木の樽で発酵させたビールを直接飲むことができる…!無濾過のピルスナーウルケルを、木の樽から直接飲めるのは世界でここだけ。
工程は同じで、木の樽で作られているものと、ステンレスで作られているもの、味に遜色がないかというテストができるというメリットも兼ねているそう。
ツアーが終了してふと外を見てみると、敷地内に線路を発見。ビールを毎日ウィーンに輸送するための専用の鉄道まで引いていたというから驚きだ。
さらにグッズ充実のショップもあるし、レストランもある。名入れジョッキなんかも買えてしまう。チェコ土産をゲットするには最適な場所なのでは…?
ピルスナーウルケル直営店レストラン「Senk Na Parkanu」
お昼はこちらへ。ビール醸造所博物館と直結した「シェンク・ナ・パルカーヌ」。チェコのレストランは、とにかく飲み物は「ビール」ということを前提にしてメニューが考えられるのよ、とガイドさんが言っていたのも頷けるような、がっつりしたチェコ料理のラインナップ。
ビールを頼むと、「フィルター?ノンフィルター?」と聞かれます。フィルターは通常のビールで、「ノンフィルター」=無濾過です。せっかくなので無濾過を。
う…
………うまい……!!!
チーズの酢漬け「ヘルメリン」。
牛肉のタルタルステーキ。揚げられたあつあつカリカリのパンで生にんにくを直接すって、タルタルステーキをのせていただく。濃厚!!
こちらはガーリックスープ。本当にニンニクががつん!!と入っております。
テラス席にあった、ビール専用置き場(だと思われる)。
新・旧のビール天国 プルゼニュのパブ
プルゼニュには、歴史的なものも新進気鋭のものも含め、多くのパブがある。
チェコの中でもひときわビールの味にこだわりの強いプルゼニュで愛されるお店は、それはもう間違いない!
ビールを目指してチェコに来るなら、プルゼニュを避けては通れませんぜ。
ピルスナーウルケルのタップスター
醸造所から中心地の教会広場に移動する道すがら、日本や韓国でタップスターとして大活躍しているアダムさんと遭遇!
(撮影中でした。超いい顔してる〜〜)
私は以前、ピルスナーウルケルのビールのはんこを作ったことがありまして。それをようやく渡せました!
喜んでくれてた〜!!アダムさんの注ぐビールを日本で飲んでみたい!という人は、アダムさんの出没情報を要チェックです。
ああもう一度、プルゼニュにいってパブで浴びるようにビールを飲みたい。
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