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透影 弦
2023年11月2日 19:11
うしなうことを忘れてしまう愚かにも握りしめては信じてすすむぐるるると鳴っても夕飯出てこないとなりのうちは魚みたいね連作「月を食む夜のとも」 ミルクティー抱えて眺める月食に秘密をそっと送り出したら欲しがりの月を満たして空っぽになったカップと冷えた指先月の夜に浸りたいから悪あがきコーヒーをやめカフェオレにするイマジナリーフレンドとする月見会線路の先は二手に分かれ折
2023年10月20日 12:39
昇る日が黄金(こがね)にかがやく朝だから金木犀を吸って始まろ店先で早咲きにけり竜胆のしづやかに落つ朝の涙にありあけの月さえ光に食べられて入れ替わってくあしたの月と暗い夜が明けなくてもいいひとりでも人工灯のしたで踊るよ夜が明ける匂いがします冷たくて優しく肺を包み込むような白みゆく空に境界線あればどこにいるのか迷わないのにおひさまと珈琲ならば珈琲で目覚まし時計は聞こえな
2023年10月13日 06:27
アルコールの溶けた世界はちょっとだけ歪んでみえた羊が一匹赤、赤、黄。紅葉愛でる人々も枯れ葉を軽々踏みにじるので人知れぬ骸骨踊る深夜四時宴の終いに突き立てる大腿骨 ポキポキ、ポキッ全身鳴らし Let's enjoy!!ブレイクダンスをまだ見ぬあなたへ霧雨に押しこめられた夜だから紅茶を蒸らす明日のために ひととせの木犀の香忘れにしおもひでだった褪せし花びら順番に目が覚めて
2023年10月6日 23:33
皓月は帰らぬ君を待ち侘びて無人の道を照らし続けた背の老いた松に登れど月影は遠く遠くて懺悔もできずそういえば自由に詠んでたはずだった赴くままに心隠して暗がりの夜道に潜む黒猫とまた目が合って顔馴染みかなインディアンポーカーだって嘘だけじゃ勝てないですよ黙って笑えひととせの木犀の香僅かにも思い出せない。あなたの声も空想の庭で見上げた朝焼けの薄藤のただ麗しきこと満月が夏を拐って