雪が降ると暖かい

様な気がする。

 冬は寒いものだが、雪が積もるのは冬が始まってしばらくしてからのことだ。毎日の様に雪は降るはずなのに、毎年の様に初雪が降ると気持ちが動く。

 どう動くのか?小さい頃はわくわくが強かったと思うが、大人になるとちょっと違う。優しさを感じることの方が多くなったと思う。

 昔から雪が積もった方が暖かい、とよく聞かされてきた。これは科学的な根拠が存在するそうで、雪による断熱効果とか、風を防ぐとか、白い雪に太陽が反射して空気が暖まるだとか何とか。かまくらが暖かいことも、スキー場で雪焼けすることも、ちゃんと理由があるのだ。

 雪が積もって白に被われると、気温は寒くなっているのだがなんだか暖かく感じるし落ち着く。木枯らしが去って行ったからだろうか。雪は積もらなくても暖かく感じる。空からはらはらと降りてくる様はなんとも幻想的で、夜になると尚更だ。美しいからだろうか。

 あ、暖かい。でもどうしてだろうか?と今日思った。今日雪が降ったからだ。今日の雪は、冷え込んだおかげでサラサラのパウダースノーだった。地面の雪が風に巻き上げられる。空は青かった。

 一つは、ふわふわだから。もふもふとか、ふわふわとか、包まれる様なものや表現には暖かさが宿っている。

 もう一つは、天気が良いから。風がないから。これが曇っていたり、強風で前が見えないくらいに吹雪いていたら、とてもではないが暖かいなど言っていられない。我が身を守ることに必死である。北風小僧のかんたろうでさえも、外には出ない方が良いこともある。

 自然とは、なんとツンデレなものか。あるときは美しく、またある時は脅威である。人間も一緒だな、と思った。機嫌の善し悪しなんて誰しもある。人間は自然の一部に過ぎないのだと強く思ったしうなづけた。たぶん、猫も。

 雪が暖かい、と思っただけなのに、収集がつかなくなってしまった。実際、夜になったら道路が一部凍っていて、車の運転にかなり神経を使わなければならなかった。良いことばかりではやっぱりないだな。

 せめて、天気が穏やかな日は雪が暖かいと実感したい。冬の星の美しさは格別である。せめて、晴れている日は星がきれいだと見上げたい。良いものは良い。

 ところで、これは北の大地では通用しない。寒さの次元が違っていたから、晴れでも雪が降りてもとにかく寒い。冬の季節に暖かいのは、暖房のおかげだった。

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