美人局にヒヤヒヤしかしない。何を読まされたんだか。 谷崎潤一郎の勝手なイメージは、愛とか恋とかに狂ってるということ。読んだらイメージ通りだった。「痴人」という単語が全てを物語っているように思う。そして、愛とは純愛だけを言うのではないということ。本人、特に夫の方は純愛だと信じて抜け出せないのだろうけど、本人以外からしたら若くて派手で性も含めて何事にも奔放な妻に愛などという感情はないのではないかと思う。何年も前に、日本人の夫に横領させて11億円を貢がせたペルー人妻と何ら変わ
本が思い出を連れてきた。 安心保証の東野作品。実はこの本は読んだことがあった。タイトルを見ても忘れていたのに、読み始めたら感じる前にも感じた感覚。確か母親が黒幕で…やっぱりそうだ。前に読んでたのは歯医者さんの待ち合いで、テレビではドラマの再放送を垂れ流してる午後の時間帯。大した思い出ではないけれど、本が思い出を連れてきた。 内容は、さすが安定の東野作品。トリック満載のミステリーはやっぱり面白い。
どうしたってついつい触ってしまうスマホ。何を見るでもないのに。そうして、見なくてもいいSNSを何となく見てしまって、大概ネガティブな気分になってしまう。よくもまぁ根拠のない思い込みとか、面と向かって言えないからって匿名性を盾にして不満ばかりを全世界の不特定多数の人間に発信しようと思うものだ。一人が一つを軽い気持ちでポチッと投稿すれば、世に放り出された投稿は積み重なって結構な数になる。見る側にとっては結構な重さになる。裏を返せば発信者一人は「結構な数」に埋もれるので、バズる
作者という生き物に、多分私はなれない。 やっと読み終わった。読み始めてから、これは長くかかるなーと思って全くその通り。短くても一月は要したと思う。 大ベストセラーということで読んでみたが、想像を超えた物語だった。「想像を超えた」とは、素晴らしいとかいうニュアンスとは違って、文字通り想像できない現象やら物がたくさん出てきて何が起こっているのかさっぱり分からない、という意味。情景がいまいち浮かばないんです。金細工の魚とか、洪水にまみれた家とか、そもそもどこだか分からないマ
デビュー作がこれだったのか 最近はまっている柚月裕子作品。孤狼の血のような悪徳警察小説でない作品では、事件の設定が理不尽かつ重厚で読み出しはヘビーに感じる。今回は知的障害者が関与するので、意思疎通ができるかという点がポイントになる。ここに発言の真偽が色に見えるという特殊能力を持ってきたのは、超能力という非現実のように見える行動も障害者と組み合わせることで常識を超えた存在という共通点を見いだすことが出来、読者に無意識のうちに無理なく受け入れられるように環境を整えている。本
ネットニュースで見つけた記事。フグはテトロドトキシンと言う致死性の毒を持つことが知られているが、この毒を無毒化したフグに盛るという研究が東京大学と長崎大学の共同で行われたそうな。結果、フグの腸内細菌叢が変化したとのこと。原著を読んでいないがおそらくはアウトカムを腸内細菌叢の変化として行った研究であろうから、その他の影響がなかったと結論づけるものではないと思われる。 ネットで上がった意見として見かけたものは「フグ毒でフグは死なないんだ!」という驚きの声で、これは私も気にな
潔すぎる嫌ミス 全部が全部、嫌な方向に向かっていく。短編集の形態をとっているので、最初の物語を読んで「やぁっぱり嫌ミスだったー!期待を裏切らない米澤ほのぶぅー!」と思っていたら、次もその次も全部嫌ミスに向かっていって全部がちゃんと米澤穂信だった。最後にこれまでの短編たちが繋がって回収されると期待させて特にそうでもないあたりもある種の嫌ミスだったと思ったけれど、期待したのは私の勝手な思い込みだったのかもしれない。 久しぶりの米澤穂信は楽しめました。娯楽として、安心安全の
婚活希望者向けの教科書 勝ち組と負け組、要領の良い人と悪い人。結婚したいという希望と共に在る不安、焦り、困惑。時の流れと共に変化する内面、経験により変化する顔つき。 この物語は結婚間近の彼女が突然消えてしまうという状況が珍しいものであったとしても、描写された情景は決して珍しくはなく、結局は他人と新しい人生を歩むという新しい環境を前にして抱く当たり前の不安や葛藤だったのではないかと思う。 私が思う特筆すべきは、作者の言語化能力が高すぎるということ。みんなが思うもやもや
何を読んだんだろうか この本を買おうと探したけど、フランス語版以外は中古の本しか見つからなかった。何故かと思ったが読んだら分かる。若者がドラッグ、酒、淫乱にまみれて、たまに現れる音楽ですら清涼感を感じさせない。コンプライアンスがどうのとうるさい時代に、この本が重版されることは許されないのだろう。どうしたらこんな話が書けるのか。体験談だとしたら大変なことになってたはず。 それにしても、この衝撃的な内容を読んでもほー、としか思わなくなった私はやっぱり歳をとったのだと思う。
こう繋がるんだね 最近ハマっている柚月裕子作品で、最初に読んだ孤狼の血からのシリーズもの。続き物といえば、本に限らず映像作品でも作品のインパクトが弱くなったりレベルダウンすることもしばしば遭遇する。本作は、インパクトとしては最初に得た印象より弱いと感じたのは確か。それだけ最初にでた孤狼の血に労力を注がれたのだろうと思うし、2作目は最初からの繋がりも作っていかないといけないので尚更思いきれないところもあるだろうと推察する。しかし、根底にあるカタギに手を出さないといった信念
正義は勝つ 最近ハマっている柚月裕子作品。ヤクザと警察以外の話が出てきた。 最初は理不尽にまみれて読むのが苦しいなぁ、と思ったが、ちゃんと勧善懲悪で良かった。後半になるにつれてどんどん引き込まれる感じって楽しいんだよなぁ。 もうしばらく、柚月裕子作品にハマりそうな気がします。
読むの疲れた ただただ合うか合わないかの問題だと思う。超常現象を私は好まない。トリックが意味をなさなくなるからだ。ミステリーは結局、事実に基づいて理屈でもって解決できるのが好きなんだ。あと、人間の描写という部分で、フェミニズム的な要素が多めだったり、かと思えば44歳女性刑事をおっかさんだのおばさんだのと連呼されていたのが正直不愉快だった。まるで60歳でリタイアするくらいの人に対する扱いを40代の働き盛りにしているような違和感を感じた。40代の男性にこんな扱いしないよね?
誰も結婚しなかったな。 ミステリーを圧倒的に多く選ぶ私らしくもない恋の本を読んだ。 女性が男性との関係で悩んだり憂いたりした時に、ステキなお洋服と出会って気持ちも前向きになる話。短編集的構造で、一人につき1エピソードが独立の物語として描かれている。登場する女性は最後には皆スッキリしているのだけれど、作中では誰も結婚しなかった。多分、この後結婚するであろう人もいるんだろうけれども。さらには不倫を肯定するような展開もあったのは斬新だった。 幸せって、恋って何だろうか。結
安心安全、間違いない東野作品。 文庫本だからなのか、もともとなのか、上下巻の分け方が秀逸だったと思う。スカッとする伏線回収と、そして誰かを庇う東野人情劇場もご健在。 通勤電車の憂鬱を和らげてくれるにふさわしい存在です。
どうやって取材したんじゃろか。 解説にある「悪徳警察小説」という言葉が本作を表すのにぴったりではあるが、こんなジャンルが果たしてあっただろうか。警察と裏社会の癒着がべったべたなのに、ある意味爽やかな人情の表現が絶品でのめり込んでしまった。 一応表の顔である警察と裏社会をこんな風に描写できるなんて、作者は一体どんな取材をしたのだろうか。ツテとか相手とか内容とか、作者自身の身に危険は及ばなかったんだろうか。 しかし、終盤に悲劇があったというのにまた読みたいと強く思えた読
ちゃんと青春してなかったけどいいや。 前に恩田作品を読んだ記憶があって、その時も確か男女二人が実はきょうだいだったような気がするな、と思ったのが読み始めて間もなくのこと。なんとなく既視感のある印象があった。 高校生が出てくる青春ものは苦手な分野かもしれないと離脱覚悟で読んでみた。最初はやっぱり苦手かもと思った。高校生が楽しくお話ししてワイワイしている世界は多くの人にとっては当たり前かもしれないけど、私が経験した高校生活とはちょっと違ったので、私の人生ってなんだったのか