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【無料記事】おうち療育をするなら知っておきたい基本

どうもこんにちは。すけ療育(@sukeryoiku)です。

今回は【おうち療育をするために知っておきたい基本】をご覧いただきありがとうございます。

本noteでは、療育未経験者からおうち療育をすでに導入している人にとっても役立つ。おうち療育を取り入れるなら知っておきたい知識をまとめました。
児童発達支援事業所や放課後等デイサービスで働いている指導員の先生にもみてもらいたいです。

基本的なところから学び、お子さんの発達段階をよーく観察して今後のおうち療育のヒントとして活用していただけると嬉しい気持ちです。

本編に入る前に、私のことを詳しく知らない人もいるかと思うので簡単に自己紹介しますね。

「身近な大人が支援者になれるように」ということを軸に子どもたちと真剣に向き合うパパママのサポートをしているすけ療育(@sukeryoiku)です。

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TwitterやInstagramでは「今日からできる!」を体験してもらえるようにおうちでの関わり方を紹介しています。

現在は児童発達支援事業所で児童指導員としてお子さんに直接支援をしながら会社に所属している児童指導員のサービスの質を向上させるために学びの機会を創出/研修を実施したり、お子さんをモニタリングして気がかりケースの支援の方向性を現場スタッフと検討をする役割を担っております。

そしてほんの少ーしだけコンサル的なことも。

私の息子は自閉スペクトラム症であり重度の知的障害を持っています。
児童発達支援の現場でもおうちでも療育を実践しています。

本noteの構成は以下の通りです。

==================================

第1章:ABAの仕組み
第2章:運動の必要性やメリット
第3章:体の発達の順番
第4章:運動の4つのレベル
第5章:効果的な運動療育をするために必要な知識
第6章:実際におうちで行ってる運動遊び
まとめ

==================================

お子さんの発達が気になるけど、まだ療育を利用していない未経験の方から児童発達支援や放課後デイを利用していたり既におうちで練習をしている経験者さんまでヒントに出来そうなものになっています。

特に第4章の「運動の4つのレベル」と第6章の「実際におうちで行っている運動遊び」は必見です。Googleさんで検索をしても無限に出てくるおうちの運動遊びですが、実際は自分のお子さんにどんな活動を取り入れたらいいかわからないですよね。
そんな方は必見な内容になっております。

ガッツリじっくり読んでください!

本noteは全部で2万文字を超えるのボリュームです。
一度読んだだけではおそらく理解するのは正直難しいです。

なので、


「ブックマーク」保存してくださいね!


そして、何回も何回も必要なタイミングでヒントとして見てください。

また本noteで学んだことを旦那さんに話したり、利用している療育仲間のママさんやTwitter仲間にシェアしてください。
おうちで療育する仲間が増えるとモチベーションが上がったり、継続しやすくなり、お子さん自身の成長実感に繋がりやすくなります。(そして本noteを紹介してもらえると私自身が尻尾ふって喜びますw)

療育の現場だけではなく子育てにも使えるとのこと
おうち療育の大切さが伝わる内容
写真や動画もわかりやすいとの声

第1章:ABAの仕組み

第1章では、おうち療育を実践するために最低限知っておいて欲しい療育のベースとなるABAの考え方を解説していきます。
最悪、細かいテクニックを理解できていなくてもここで紹介する2つを理解して実践すればお子さんの成長に確実につながる最強な基礎知識です。

✅ABAの仕組み
①ほめることの大切さ
②行動の意味を理解する

それぞれ深掘りして解説していきます。

1.ほめることの大切さ

療育(子育て)をしていると、「たくさんほめてあげてください」って言われますよね。というかこれまで何万回も言われた経験がありますよね。

言語の理解があまり進んでいないお子さんにとって【ほめること】が何につながるの?って疑問に思いますよね。

ほめる=言葉で称賛する

とは限りません。
本人にとって良いことが起こればそれは言葉でほめることと同じなんです。

例えば たかいたかいする くすぐる ハイタッチする

お子さんにとっていいことであれば何でもOKです。

行動の直後にその人にとっていいことが起きると「次もやってみようかな」ってなります。

例えば いつも行ってるA美容院が休みだったから普段とは違うB美容院に行った後に旦那さんから「いつもよりかわいいね」って言われたら【初めて行ったB美容院】に次も行ってみようってなりそうなイメージ湧きますよね。

これをイメージするとほめられることってめちゃくちゃ大切だと思いませんか?
お子さんも同じなんです。

【おもちゃの片付け】をした後にたかいたかいしてもらえたら次も【おもちゃの片付け】をしようっていう気持ちになりますよね。
片付け以外にも増やしたい行動の直後に本人にとっていいことを経験させてあげると定着していきます。

行動の直後にほめられると次も頑張ろうって思う

忙しい時あるある

日常生活の中では「〇〇しない」と声をかけてしまう場面が多いですよね。
「〇〇しない」と伝えると一時的にやめて欲しい行動は止まります。
しかし、また別のやめて欲しい行動が発生する可能性があります。

交通ルールを破ったら
✅罰金
✅逮捕

というよりも


✅一時停止したら100円GET
✅無事故無違反で自動車税が半額

とかのルールが仮にあったとしたら交通ルールを守る人が出てきそうな優しい世界ですよね。

言葉がわかるお子さんの場合は「上手だね」「えらいね」「すごいね」「おりこうさんだね」「ありがとう」のようにお子さんにとって嬉しい言葉かけをしてあげてください。

もし言葉がわからない場合は【たかいたかい】【くすぐり】【ハイタッチ】【ハグ】などお子さんにとって好きな関わりをすればOKです。

今この瞬間からほめることを意識すると優しい世界に包まれていきます。
ついつい「〇〇しない」と指摘するような声かけをしてしまっても続けて【〇〇してね&何かしらほめる】をセットにして関わりましょう!

もちろんパパママにとって無理のない範囲内であることが大前提です。
パパママにとってめちゃくちゃストレスになってしまっては本末転倒ですからね。

2.行動の意味を理解する

息子を観察していると「なんでこんなことしてるの?」ってよく思います。笑

例えば
・寝る時に敷布団の下に潜り込む
・つま先歩きをする
・目の近くで手をパクパクさせる
・足をバタつかせる

ドンピシャで息子と同じクセ強行動が出ていて悩んでる人はほとんどいないと思いますが、その子特有の動作ってありますよね。

人間の行動は大きく4つの意味にカテゴライズすることができます。

1.ある特定の課題や活動・人から逃げるための行動
2.親や先生・友だちから注目を集めるための行動
3.ものや活動を得るためにする行動
4.感覚的なフィードバックを得るためにする行動

これら4つの行動について具体的な場面をイメージしやすいように解説していきます。

・嫌いな工作の課題から逃れるために教材をぐちゃぐちゃにする
・節分の豆まきの場面で鬼が襲ってきたから泣いて逃げる
・プレゼン資料を作成するのがいやでデスク周りの掃除を始める
・街中の騒音が嫌いだからイヤホンをつける

というような行動は特定のことから逃れるためにやっていますよね。
こういった行動の直後に嫌な課題や出来事から逃れられたら行動が収まっていきます。

「ぐちゃぐちゃにしたらOK」「泣き叫んだらOK」と間違った解釈をしないように関わる必要があります。

例えば「先生手伝って」と援助要請を促したり、年齢の小さいお子さまであれば首を振ったり手をバッテンにしてNOの発信をさせます。
このように日常生活で適切な行動を促してからお子さまが嫌がっている事象を取り除いてあげることで問題行動が少しずつ減っていき、適切な行動が定着していきます。

・好きな女の子にわざとちょっかいを出す
・幼稚園で先生に構ってもらうためにわざとイタズラする
・彼氏から連絡がなくて寂しいからネガティブな発言して心配させる
・社内コンペでチームが表彰されるはずなのに一人で目立ちたいから【本日の主役です】タスキをつけちゃう

というような行動をしている場合は、相手の注意を引きたくて意図的に問題行動をしています。
お子さまの場合、注意を引く行動を見極めるために表情を観察するとわかりやすいです。ニタニタしていたり注意を引きたい特定の相手の顔色をうかがうような視線を送っている場合があります。

他者との関わり方を間違って覚えないように適切な行動に置き換えて定着を促す必要があります。

注意を引きたい相手に向けて言葉でコミュニケーションを取れることが理想ですが、状況によってジェスチャーなどの非言語コミュニケーションで伝えることもOKです。

・クラスのみんなに笑ってもらいたくて授業中に挙手をして指名された時に全力でボケる
・友だちが使ってるトミカを手に入れるために叩く
・お腹が空いて食べ物が欲しくて万引きしてしまう
・見せかけのフォロワーが欲しくてアカウントを購入してしまう

文字通り本人にとって魅力的なものやどうしても実施したい活動がある時に発生する問題行動です。
実際に手に入った途端にこの行動が収まることが多いです。

やはり正しく要求を伝えることが問題解決策として有効です。

お子さまの場合は「かして」と友だちに言葉で表現をしたり、言葉でのコミュニケーションが難しい場合は手を重ねて「ちょうだい」の意思を伝えたり絵カードで伝えることで問題行動が収まることがあります。

・手を自分の視界の中でパクパクさせる
・手拍子でリズムをとりながら走る
・会議中に暇だから貧乏ゆすりをする
・つめを噛む

やっていた活動に飽きた時や手持ち無沙汰になった時、一人きりになった時に発生することが多いです。

このような問題行動を改善していくためには現状の行動と同じ機能のあるより社会的に認められるような行動に置き換えて伝える必要があります。

爪噛み⏩リップを塗る
椅子がたがたシーソー⏩貧乏ゆすり

など。授業中や会議中にもできるような動作や行動まで変換できたら十分だと思います。

第2章:運動の必要性やメリット

療育を始めると「体幹が弱いですね〜」「体幹を鍛えるために運動を取り入れていきましょう」と運動を勧められた経験のある人は少なくないのではないでしょうか?

よくわかってないけど、勧められたからとりあえずトランポリンやってる
なんとなくボール遊びしてる

これは半分合ってて半分間違っています。

第2章ではおうち療育に運動を取り入れる必要性やメリットについて紹介していきます。

療育に運動を取れるメリットは8つ

①体の使い方が上手になる
②発語を促せる
③コミュニケーションが増える機会になる
④自己肯定感が上がる
⑤特性にあった学びにつながる
⑥遊びながら学べる
⑦一緒に関わる人にもメリットがある
⑧関わる人の難易度が低い

これだけ見てももう既に運動の魅力ややってみたい感覚になりますよね。
順番に解説していきます!

1 体の使い方が上手になる

体には一般的に発達段階の規則性があります。

  • 中心から末端

  • 頭部から下部

  • 両手から片手

  • 粗大から微細

  • 全体から部分

この字面だけ見てもなんのこっちゃって感じで難しいと思いますのでそれぞれ簡単に解説していきます。

【中心から末端】
体の中心部分(いわゆる体幹)が末端よりも先に成熟します。上半身の運動が指先の運動よりも先に発現するのがこの代表例になっています。
未就学のお子さんで言うと体幹がぐにゃぐにゃしているお子さんがハサミや運筆課題が苦手なのは中心部分の発達がまだ成長過程にいる可能性があります。

【頭部から下部】
眼球運動⏩上半身⏩下半身の運動へと運動機能が順を追って発現していきます。お子さんが赤ちゃんの時のことを思い出してみてください。
最初に追視ができるようになって頭を動かせるようになり、手を動かします。最後に足が動かせるようになります。皆さんのお子さんもこのように成長してきましたよね?
公園で観察をしているとイメージつくかと思いますが、お子さんがボールを握ったり投げるよりもキックするほうが難しいのもその理由です!

【両手から片手】
両手が連動していたのが利き手で操作できるようになっていきます。両手を使ってモノを食べたり、紙をちぎったりする両手を使う活動を行うことで優先される利き手利き足の確立へと発達していくことを意味します。
私の職場にもまだ数名のお子さんは両利きです。右手でやってると思いきや疲れて左手で続きをやっている様子を見かけます。右手を使う時に反対の手も一緒に動いてしまう状態から右手だけ使えるようになり、左右別のことができるようになります。

【粗大から微細】
体全体の動きから細かい手先の動きになっていきます。赤ちゃんの手足のような体の大きな部分に見られる粗大で不器用な運動が次第に細かい分化した目的にあった正確な運動に発達していくことを表しています。モノを上手につかめなかった赤ちゃんが徐々に指の動きも細かく動くようになっていくことが代表例です。

【全体から部分】
体全体を動かす遊びから一部を動かす遊びに変化していきます。年齢を重ねるにつれてボールを追いかけるような遊びから手先を使ったレゴ遊びに進化していくようなイメージです。

2 発語を促せる

言語野と運動野が近いことから運動することで言語にまつわる神経を刺激できると言われています。

双方向のコミュニケーションと幼児の主体性を重視するコーディネーション運動は、言語能力の発達と粗大運動の上達に顕著に影響を及ぼすことが示された。

幼児期における運動が言語能力と社会認知能力の発達に与える影響(2019東根、伊藤、桐野)

オトマトペという手段にとって最も捉えやすい契機は【聴覚】である。そして、運動を通して世界に働きかけてゆく際にも、音すなわち【聴覚】という契機を同時に利用することによって、それ自体としては往々にして掴みどころのない【運動感覚】を音的な輪郭とともに捉えることができるだろう

幼児言語におけるオトマトペとメタファー(滝浦真人)

これってなんか難しいことを言っていますが、運動の機能が発達すると言語に触れる機会が増えるよね的なことが書かれています。


3コミュニケーションが増える機会になる

運動遊びを取り入れることで他者と協力する、相談する、応援するなどの機会が生まれます。
よくあるプログラムで二人で布の両端を持ってボールを落とさないようにゴールまで運ぶという活動があります。スピードを合わせるのに声をかけるし、チームメンバーを応援するような場面も出てきます。最終的に成功したら喜びをシェアしたり、仮に失敗してもお互いを励まし合ったりします。

運動とコミュニケーションは切っても切れない関係なんです。
ちなみにこのような関わりを療育ではソーシャルスキルトレーニング(SST)として練習をすることもあります。

4自己肯定感が上がる

自分のレベルにあった活動をすると「できた」「たのしい」「もっとやりたい」となっていき、成功体験をすることで自己肯定感が上がっていきます。
体の発達段階とは別に運動は4つのレベルに分けることができます。

レベル1 自分の体の位置を把握する段階
⏩くぐる、またぐ、体を伸ばすなど

レベル2 自由に平面移動できる段階
⏩走る、歩くなど

レベル3 立体感のある活動が自由にできる段階
⏩ジャンプ、飛び降りるなど

レベル4 時間を自由に操れる段階
⏩タイミング、テンポ、リズム感など

4つのレベル


お子さんの運動レベルに合った活動を取り入れていくと【苦手】⇨【普通】くらいにはなっていきます。

もしかしたら体の発達段階との違いがイメージ湧かないかもしれません。

手先が器用な大人でも大縄跳びの流れに乗ってジャンプしたり跳び箱が苦手な方いますよね?
そういう方は体は指先まで発達しているけど、運動のレベルが3くらいまでという状態になっています。
一方で鉛筆を握り持ちしちゃうけど、めちゃくちゃ運動神経のいい子どもっていますよね。
そんな人をなんとなくイメージしておいてもらえたら大丈夫です!

運動のレベルについては【第4章運動の4つのレベル】で詳しく解説していきます。

5特性にあった学びにつながる

人間には感覚特性というものがあります。
運動を取り入れることで着席しているだけでは刺激しにくい前庭覚や固有受容覚を刺激することができます。
また、視覚優位、聴覚優位、身体感覚優位があります。

視覚優位とは目で見て学習するのが得意
聴覚優位とは耳で聞いて学習するのが得意
身体感覚優位とは体を使って体験的に学ぶのが得意

6遊びながら学べる

運動をしている最中はお子さんが勉強している感覚になりにくいことが挙げられます。身体発達を促したい場合はおにごっこやサーキットなど基本的に動き回っているだけでも体の発達を促すことができます。
他にも動きの先に別の目的を入れることがあります。

・大小の概念を獲得するために大きな積み木でタワーを作る
・サーキットを移動しながら○✖️クイズに参加する
・教室にひらがなカードをたくさん貼って指定された文字をタッチする

こちらは一例ですが、このように体を動かすこと以外にも目的を取り入れて学習を促すことができます。

7一緒に関わる人にもメリットがある

特にパパにやってもらいたい。

なんと筋トレになります。
運動療育は体が資本であり、準備するモノは己の肉体のみ。
せっかく運動遊びをするんだったら支援する側(パパ)にとってもメリットにしましょう!

またお子さんと同じ体験をすることで信頼関係が生まれます。
人と人が信頼関係を構築していく方法の一つとして同じ体験をすることがあります。
お子さんと同じ景色を見て同じ体験をすることで仲間意識が芽生えていきます。お子さんに限らず家庭内療育をすることでママとも共通の目標(子育て)に向かって進む体験ができるので家族の絆がより一層深まっていきます。

8関わる人の難易度が低い

ただ遊ぶだけで効果があります。
療育と考えると支援する側に知識やスキルが必要と思い込んでしまって中々てを出せないて感じてしまっているかもしれません。

公園に行って遊具で遊ぶだけ、鬼ごっこするだけ

誰もが知ってる動作をするだけで実は効果があるんです。

運動遊びは再現性が高く、深く考えなくとも動作自体に意味があるため効果があります。誰がやってもジャングルジムの使い方は同じだし、鬼ごっこの動きにそんなに大差はありません。

休日に公園に連れていきベンチに座ってスマホをいじるのではなく、子どもと一緒に走り回ってみましょう!

第3章:身体発達の順番

第3章では体の発達の順番について解説していきます。子どもの発育はある段階から次の段階に一気に飛び級をすることはありません。必ず段階を踏んでいきます。
ある目的に沿った運動を行うために脳が運動を計画してさまざまな感覚器から情報を整理して一定の順序に従って進みます。

頭部から下部

眼球運動⏩上半身⏩下半身の運動へと運動機能が順を追って発現していきます。お子さんが赤ちゃんの時のことを思い出してみてください。
最初に追視ができるようになり、頭を動かして手足を動かせるようになりましたよね?
おもちゃを一度も握ることなくハイハイしました!なんて人は99%いないはず・・・
就園児を見ているとボールを握ったり投げるよりもキックの難しさがあるのはこの理由から成り立っています。

中心から末端

体の中心部分(いわゆる体幹)が末端よりも先に成熟します。上半身の運動が指先の運動よりも先に発現するのがこの代表例です。
未就学のお子さんで言うと体幹がぐにゃぐにゃしてる人にハサミや運筆課題が苦手なのは必然的ということなのです。
保護者の方からニーズ高く【ハサミ】【えんぴつ】【箸】の練習をするように依頼がありますが、体の発達段階を考えた時に今の時期じゃないということはあります。

両手から片手

赤ちゃんの時は両手が連動していたのが利き手で操作ができるようになっていきます。
両手を使ってモノを食べたり、紙をちぎったりする両手の活動を行うことで優先される利き手利き足の確立へと発達していくことを意味します。

幼い頃は右手でやっていると思いきや疲れたから左手でやり始めるという様子をよく見かけます。
右手を使う時に反対の手も動いてしまう状態から右手だけ使えるようになり、【右手は鉛筆を操作】【左手は紙を抑える】のように左右別のことができるようになります。

粗大から微細

体全体の動きから細かい手先の動きになっていきます。赤ちゃんの手足のような動きから体の大きな部分に見られる粗大で不器用な運動が次第に分化していき、目的にあった正確な運動に発達していくことを表します。

モノを上手に掴めなかった赤ちゃんが徐々に指の動きも細かく働くようになっていくことが代表例です。

全体から部分

体全体を動かす遊びから一部を動かす遊びに変化していきます。年齢を重ねるにつれてボールを追いかけるような遊びから手先を使ったレゴ遊びのような細かい遊びに進化していくイメージです。


第4章:運動の4つのレベル

なわとびができるようになってほしい
逆上がりができるようになってほしい

こんなお困りごとを持つ保護者に出会うことが多いです。
今このnoteを見てくださっている中にも同様の悩みを持っている方がいらっしゃるかもしれません。

インターネット上でよく出回っている情報通りにお子さんと練習をしても一向に上達しないなんてこともザラにあります。
私もこれまでなわとびができるようになりたいというお子さんにたくさん出会ってきました。
数年前の私も自分なりになわとびについて調べて動作を分解してステップを組み込んでみても効果のあるお子さんとそうでないお子さんがいました。
肌感で8割くらいのお子さんが予想以上に手こずっている印象です。

お子さんの運動レベルに合った運動に変換をして練習をしていかなければ一向に上達しないんです。
(一向には語弊がありました。。。遠回りになってしまうですね^^;)

第2章の中でも少しだけ触れましたが、体の発達段階とは別に運動には4つのレベルがあります。

レベル1 自分の体の位置を把握する段階
レベル2 平面移動が自由にできる段階
レベル3 立体移動が自由にできる段階
レベル4 時間を自由に扱える段階
※時間を自由に扱えるのは魔法使いではなくタイミングやリズム感です

これらについて順番に解説していきます。

レベル1 自分の体の位置を把握する段階

自分の体の位置を把握する段階とは、

・膝と言われて触れる
・ストレッチしててどこまでやると痛いかわかる
・頭をぶつけないようにトンネルをくぐる

よちよち歩きの赤ちゃんを想像してみてください。
床に落ちているモノを拾って立ち上がったら頭をぶつけたり、トンネルをくぐろうとしても上手に穴に入れないとかってことがありますよね。

レベル1の状態がなんとなくイメージできたら実際にどのような関わりをしたらいいのか気になりますよね。
私が児童発達支援事業所の指導で実践しているのはこんな遊びです。

○体にシールを貼って指定された位置のシールを取る
○すずらんテープを張り巡らせてくぐる
○背伸びしてちょうど届くくらいの高さに好きなイラストを取る

体にシールを貼る遊びは何度か繰り返していると「ひじはここか」「ひじを触るにはこれくらい動かしたらいいのか」と自分の体を認識することができるようになります。
ラケットを使うスポーツをイメージしていただけると回数を重ねるごとに上達するイメージが湧いてきますよね。

背伸びしてちょうど届く位置の高さに好きなイラストを貼るでも好きなおもちゃを置くでもOKです。
背中合わせで持ち上げたり、鉄棒にぶら下がるなどストレッチ要素があればなんでも大丈夫!
この時に「〇〇の部分が伸びてて痛いね」と実際に体に感じている部分を言語化しながら実践するとさらにGOOD。

レベル2 平面移動が自由にできる段階

ジャンプとか階段のような激しい動きはできないけど、自分で歩いていろんなところに移動ができるくらいの状態です。

○おにごっこ
○サーキット遊び
○平均台
○タイヤが出てるやつ
○飛び石

いずれも注意してほしいポイントとして高低差のあまりないモノにしてください。
平行移動をしていて移動にぎこちなさ(足が絡まって転倒することが多いとか不安定な場所に恐怖感を抱くなど)を感じなければ次の段階に進んで大丈夫です。

レベル3 立体移動が自由にできる段階

段差を軽々越えたり、ジャンプができる立体感のある動きが自由にできるお子さんが該当しています。
すでに紹介していますが、平面移動をする際ぎこちなさを感じたり、不安定な場所に恐怖感を抱いてしまうような場合は平面移動の活動をたくさん取り入れて安定するまではレベル2の段階で練習をすることを推奨します。

○段差から飛び降りる
○段差に飛び乗る
○まとあて

これらの遊びにはリスクがあるように見えますが、本当に数センチの高さに飛び乗るの感覚でOKです。なんなら線を飛び越えるの感覚でOKです。タイミングを求めないケンケンパのような遊びでもOKです。

レベル3で何が重要かというとジャンプすることなんです。
ジャンプすることが難しい場合は飛び降りる活動を選択肢に入れることでお子さんが取り組みやすくなります。

まとあてはジャンプとテイストが異なりますが、奥行きの距離感を掴む活動としてボーリングやまとあてをすることも良いとされています。
最近は100円ショップでもダーツやボーリングのおもちゃがあるので室内遊びの選択肢としてお試しください(^^)

高低差のある活動に恐怖感がなく、一人で取り組める状態が理想です。また、たたんたたんとならないジャンプ(両足踏切着地)ができることも一つの判断基準になるかもしれません。

レベル4 時間を自由に扱える段階

第4章の冒頭でもお伝えしましたが、時間を自由に扱える段階とは魔法を使えるようになるわけではありません。笑
タイミングを合わせる、テンポ良く、リズム良く運動ができるお子さんを指します。

具体的な運動で言うと

○なわとび:リズム感がないと難しい
○跳び箱:踏切や手をつくタイミングが難しい
○野球:ボールが来たタイミンに合わせてバットを振る、ボールを投げる時に適切なリリースポイントじゃないと変な方向に行ってしまう。

(野球部のほとんどがいろんなスポーツができるのは日常的にレベル4の動きをやっているから他のスポーツにも対応できるのではないかと個人的な仮説です。)

というかこれ以外にもレベル4の運動はこの世に溢れています。いわゆる体育でやるような活動が近いです。
運動神経が悪い、運動が苦手と言われるようなタイプの人はレベル4の段階に来ていないという認識になります。

レベル4の運動を獲得するためにはレベル3の段差から飛び降りたり飛び乗るようなジャンプする運動をメインにしつつ、活動の中でタイミングやリズム感の要素をプラスしていきます。
地面にフラフープを置いて普通にジャンプするだけではなく、リズム感を追加する。
段差からジャンプする時にカウントダウンをしてタイミングを合わせるなどでもOKです。

 第4章まとめ
・成功確率を高めるためにお子さんの運動レベルに合った活動を取り入れる
・運動レベルに合わせた活動だと自信に繋がる
・自信に繋がるとポジティブサイクルに突入する
・適切な難易度を提供した支援者と信頼関係が構築される

お子さんの運動レベルに合わせた活動を取り入れることはメリットしかありませんのでぜひ参考にしてください。

第5章:効果的な運動療育をするために必要な知識

第5章では運動遊びに関係する感覚特性や運動遊びを取り入れた学習が捗るお子さんの特徴を紹介していきます。

・家庭学習をしてても集中力が続かない
・何度も繰り返し練習をしているけど、習得できない
・自分の子どもにあった勉強方法が見つからない

というような方は参考になるかと思いますので何度も確認してくださいね。

まずは特性についてです。

特性のお話

人間には3種類の特性があります。

✅感覚特性
✅注意特性
✅認知処理特性

こんなことを言われてもいまいちピンとこないですよね。

感覚特性とは【視覚】【聴覚】【味覚】【嗅覚】【触覚】のいわゆる五感に追加して【前庭覚】【固有受容覚】という感覚があります。
聞き馴染みのない前庭覚と固有受容覚については後程詳しく解説していきます。

注意特性とは外部の刺激に対して自分の意識を向けることを指します。注意はさまざまな働きを持っており、それぞれの働きの度合いが異なると学習面や日常生活で困難さが出現しやすくなります。

注意特性をさらに分解すると
○注意の選択
○注意の持続
○注意の転導/配分

上記の3つがあります。こちらも後程詳しく解説していきます。

認知処理特性とは人間が外部から受け取った情報の処理を特徴づける要素のことを言います。
認知処理特性にも2種類あります。

○継次処理
○同時処理

こちらも後ほど詳しく解説していきますね。


感覚特性

前述しましたように感覚特性とは【視覚】【聴覚】【味覚】【嗅覚】【触覚】のいわゆる五感に追加して【前庭覚】【固有受容覚】という感覚があります。

前庭覚:自分の体の傾きやスピードを感じる感覚
固有受容覚:自分の体の位置や力加減を感じる感覚

斜面に立とうとする時に自然とバランスを保とうとしたり、ジェットコースターに乗るとGを感じますよね。これが前庭覚の働きになります。

また、目を閉じていても自分の膝を触ることができますよね?自分の体の位置を理解できているからどれくらいどこの筋肉や関節を動かしたらピンポイントで触れるかわかるんです。
引越しで重い段ボールを持ち上げる時に力をグッと入れまうが、豆腐を掴む時はどうでしょうか?形が崩れないように優しく包み込むように力をコントロールしますよね。これが固有受容覚の働きになります。

前庭覚も固有受容覚もそれぞれ受け取り方に個人差があります。もちろんその他の特性も受け取り方に個人差があります。
運動に直接的に関連するのが前庭覚と固有受容覚なのでもっと深掘りして紹介していきます。

もし前庭覚が過敏だったら

不安定なところを避ける
乗り物酔いしやすい
静かに過ごす遊びを好む傾向がある

固有受容感覚が過敏だったら

ジャンプ、持ち上げるなど体に負荷のかかる運動を嫌がる
すぐに寝転がる
狭いところや圧迫感のあるところを避ける

もし前庭覚が鈍麻だったら

くるくる回るのが好き
縁石を歩いたり高いところからジャンプするなどの不安定さを求める

固有受容覚が鈍麻だったら

他人に力いっぱいぶつかる
力加減をするのが難しい
狭いところに挟まるのが好き
筆圧が濃い

刺激への反応(積極的・消極的)や感覚の感じ方(過敏・鈍麻)には人それぞれ違いがあります。
これに優劣はなく、個人の特徴です。刺激への反応や感覚の感じ方を4つに分類することができます。

✅感覚探求
✅感覚回避
✅低登録・低反応
✅感覚過敏

図にするとこのようなカテゴライズができます。
皆さんにとってわかりやすいキャラクターで表現してみました。

キャラクターの4分類

この画像は【自閉スペクトラム症の感覚の特徴(高橋秀俊 神尾陽子)】を参考に作成しました。

先ほども述べましたが、これは良いとか悪いということはなく、ただの特徴です。
感覚特性に対して積極的かつ鈍麻な感覚探求タイプのお子さんには運動遊びをどんどん取り入れていくと学習意欲が高まり捗ります。

逆に感覚過敏タイプのお子さんに運動を取り入れて学習をする際は注意が必要です。お子さんにとって怖い経験になってしまい、苦手意識を持つ可能性が出てくることがあります。

低登録・低反応タイプや感覚回避タイプのお子さんには発達段階や運動のレベルに合わせて適切な難易度に調整したり、工夫次第で運動の支援を効果的に行うことができます。

工夫をせずに運動の支援を取り入れるとお子さんの精神衛生上不安定になることで他者に対して強く当たるような別のトラブルが発生することもありますので注意が必要です。

また、お子さんにとって成功体験で終われるようにお子さんの体の発達段階や運動のレベルに合わせた活動を取り入れることは必須になります。

注意特性

注意には3つの特徴があります。
✅注意の選択
✅注意の持続
✅注意の転導・配分

注意の選択とは特定の対象を選んで注意を向ける働きのことです。


・公共機関で複数の人が話している状況で自分の関わりのある人の話だけ抽出して聞き取ることができる
・辞書で調べている時に必要な単語を探し出すことができる
・幼稚園の下駄箱から自分の靴を探し出すことができる

注意の選択がアンバランスだと
・近くで誰かが話している中で電話先の声に集中することができず、何を言ってるのか聞き取りにくい
・散らかっている部屋の中から特定の物を探すのに時間がかかる

のような日常生活の中で困りが生じる可能性があります。

注意の持続とは選んだ対象に注意を持続する働きのことです。


・旦那さんの話を最後まで聞き続けることができる
・お子さんの発表会を最後まで見届けることができる
・宿題のドリルを決められたページまで終わらせられる

注意の持続がアンバランスだと
・教室の外の騒音が気になってしまい、最後まで話を聞けない
・部屋の中にあるものが気になってしまい作業を忘れてしまう

といったことが起こるかもしれません。

注意の転導・配分とは必要に応じて注意を向ける対象を変える働きのことです。


・病院の待合室で読書をしていても自分の名前に反応できる
・お子さんと関わっている時に旦那さんが帰宅したことに気づく

注意の転導・配分がアンバランスだと
・ゲームをしていると周りの声が聞こえない
・校庭でダンゴムシを探していたらいつの間にか周りの友だちが消えていた

自分のやっていることに没頭しすぎてしまい自分の周りで何が起きているのかキャッチするのに遅れてしまうことがあります。

実際に私が児童発達支援事業所でお子さまたちにはこのような配慮を行なっています。

○特定の対象に注意を向けやすいよう無駄な刺激を排除する
⏩おもちゃに布をかぶせる、支援中はカーテンを閉めるなど

○どこに注意を向ければいいのかをわかりやすくする
⏩注目してほしい所のサイズ感や色を変える、注目してほしい所から音を出す

○指示を出す時は注目を引いてから伝える
⏩「先生お話しします」と言いながら大きく手を振ったり、手を叩く

注意特性がアンバランスのお子さんにはこのように一工夫を入れるだけで指示の伝わり方や理解度に大きく変化があります。

認知処理特性

認知処理特性とは人間が外部から受け取った情報の処理を特徴付ける要素のことでしたね。
認知処理特性には【継次処理】と【同時処理】があります。

継次処理の傾向
・複数の情報を時系列に沿って処理していく
・部分から全体に注意を向けていくタイプ
・文字や音声情報をキャッチするのが得意

同時処理の傾向
・複数の情報を全体的に処理していく
・全体から部分に向けていくようなタイプ
・映像やイラストの視覚情報をキャッチするのが得意

自分がどちらのタイプに属しているのかちょっとだけ気になりますよね。笑
簡易的な質問で意外と傾向がわかります。

Q 昨日の夜ご飯を思い出してください。

A どの手順で作ったか、食べ始めたかなど食事に至るまでの過程を順序立てて思い出した
B 食卓に並んでいる風景を思い出した

Aなら継次処理 Bなら同時処理になります。

Q 家を出てから最寄駅までの道順を説明してください。

A 簡単な地図を描いて指差しをしながらあっちの方にコンビニがあるからその先の橋を超えたら駅
B 家を出たら左手に30m進み最初の角を左折。右手にコンビニや牛丼屋を見つつ橋を渡ったところを右折。信号を2つ超えたら駅

Aなら同時処理 Bなら継次処理です。
これらは極端に例を記載しましたが、おおむねこんな感じになるのではないでしょうか?

最後に子どもバージョンを紹介します。活動内容の説明をした後の言動が認知処理特性によって反応が変わってきます。


継次処理のお子さん:「次は何するの?」「1番は何?2番は何?」のように活動の流れを気にする発言をすることが多いです。

同時処理のお子さん:「こうやったほうが早くない?」「どうなったら終わり?」のようにゴール地点を気にする発言をすることが多いです。

ご自身の認知処理特性と照らし合わせてみてください。自分が小さい頃にこのような発言をしていたかもしれないですね。もしくは今でもこのようなことを日々考えているかもしれません。

認知処理特性がなんとなく理解できたとしても実際に説明をするとなった時にどうしたらいいかわからないですよね。それぞれの特性にあった対応方法を簡単に紹介します。

継次処理の場合
聴覚的なヒントを処理することが得意な傾向があるので説明書のように順序立てて数字や文字を使って伝える

同時処理の場合
視覚的なヒントを処理することが得意な傾向があるので完成形態を伝えてやり方は基本的に本人に任せる。ゴールの共通認識だけすり合わせておくこと。

例えば制作で糸電話を作る際このような説明をします。

【継次処理】
①紙コップ2つ ひも1m セロテープ コップに穴を開けるものを準備
②2つの紙コップの底の中央に直径5mmくらいの穴を開ける
③開いた穴に糸を通して内側からテープで固定する
④ピンと張ったところでお話しするとうまく使えるよ

【同時処理】
①「今日はこれ(糸電話)を作ります」(完成形の実物を見せる)
②「使いそうなものを持ってきて」
③「穴はこれくらいです」(実物を見せながら)
④「どうやったら糸が固定されるかな?」(子どもたちに考えさせる)
⑤「使うときはこうやるとお話しできるよ」(使い方を見せる)

自分の認知処理特性とは異なる説明の方法で受けるとおそらくモヤモヤします。笑
丁寧に伝えてるのに全然届かない時はこのように伝え手側と受け手側の認知処理特性にギャップが生じている可能性があります。

クラスの中には両方の認知処理特性の子どもたちが混在しています。

・最初に完成形を見せてから説明をする時に数字を使う
・説明した通りに取り組まなかったとしても受け止めて指摘しない
・完成したら褒める

たったこれだけ意識すればこれまでよりも一斉指示に取り組めるようになる可能性がありますので参考までに。

第6章:実際におうちで実践してる遊び

運動の支援をする時に全てのお子さんに対して同じように働きかけたり、同じような効果を期待することは正直難しいです。

例えば男の子の場合は【走る】【投げる】【飛ぶ】のような筋肉量が伴う活動に優れています。
女の子の場合、【バランス】【スキップ】などの神経支配能力のほうが早く発達する傾向が見られます。

発育や発達の進み方は性差、年齢差、個人差が見られるため運動の支援は全ての子どもに同じように働きかけたり同じように期待することは困難と言えます。

一人一人の特徴をアセスメントし、個人差を考えて手立てを検討していくことが重要です。

第6章では体の発達の順序の中でも成長のイメージがしやすい【体の中心から末端】の支援をピックアップして紹介していきますね!

そもそも自分の子どもが中心から末端のどこまで成長しているかわからない。
そんな時は何も指示をしない状態で机上課題を実施した時に腕をどのように動かしているのかをアセスメントします。

発達の段階はざっくりと3つに分けられます。

✅肩を支点に活動している
✅肘を支点に活動している
✅手首を支点に活動している

それぞれの様子をイメージしやすいように動画を参照してください。

肩を支点に活動している人の運筆場面

肩を支点に活動している人はこんな感じです。
もし机上で運筆課題をしたいのであれば、A3とか模造紙などの大きな紙でフィールドを設定してあげてください。
この段階で小さい部分をぬるような作業を与えるとお子さんにとって難易度が高くなってしまい場合によっては苦手意識を持ってしまったり、もんだいこうどうのトリガーになる可能性があります。
殴り書きやぐるぐると丸を描いたり横線を描くことができる段階です。

肘を支点にしてる人の運筆場面

肘を支点に活動している人はこんな感じです。
肩を支点として活動している人よりも細かい作業が可能になります。A4サイズ目一杯くらいの大きさの対象であれば狙ってぬれるかもしれません。
この段階のお子さまに対して「はみ出さないようにぬってね」というような指示は無謀です。
枠をなんとなく狙ってぬれていることを全力で褒めましょう!

手首を支点にしてる人の運筆場面

手首を支点に活動している人はこんな感じです。
この段階になると細かい作業がスムーズにできるようになっています。
100円ショップに売ってるようなぬりえができるようになったり、ハサミの課題にチャレンジをしても全然大丈夫。
鉛筆や工作を取り組む際に自分がイメージしている通りに手を操作することができるため、もしかしたら得意な活動として自信を持ったりドヤ顔で成果物をパパママに報告できるようになるかしれません(^^)
成果物を満面の笑みで見せてくれたら最高のハグをしてあげてください!

お子さんはどの段階まで成長できていますか?
参考動画をみながらうちの子はこのへんかな〜っておおよその現在地を知れたら準備OKです。

お子さんの現在地を知ると「意外とできてるな」「全然できてないじゃん」といろんな感情になるかと思います。

生活年齢に対して高いとか低いとか十人十色の感想になるかと思います。
これから紹介する運動を取り入れることで1年後の成長が大きく変わる可能性があります。
明日ではなく、今日知れたことがもはや大発見です。ポジティブにいきましょう!

発達段階別運動遊び紹介

先ほどの動画をもとにお子さんがどの段階まで発達しているかわかったら、実際にお子さんのレベルに合った運動遊びを選択して実践してみましょう。

肩を支点に活動しているお子さんのおうち遊び

この状態のお子さんですね。
体幹をメインに動かす運動遊びを取り入れていきます。

・鬼ごっこ
・ボール取り合いっこ
・テープくぐり
・起き上がりこぼし
・魔法のじゅうたん
・手押しぐるま
・手押し相撲
・いもむし

【鬼ごっこ】

皆さんの知ってる普通の鬼ごっこです。〇〇レンジャーごっこと称して走り回るだけで十分なんです。
鬼ごっこってものすごくポテンシャルを秘めている遊びなんですよ。
逃げる時にまっすぐ逃げるわけではないのでお腹周りのきんにくに自然と負荷がかかります。
それが最高にいいんです。

【ボール取り合いっこ】

バスケットボールのドリブルでもいいし、サッカーのドリブルでもなんでもOKです。
鬼ごっこと同じ要領で縦横無尽に走り回って全身運動をすることでお腹周りのいろんな筋肉を使うことができるので体幹をサポートすることができます。

【テープ、ロープくぐり】

出典:よみうりランド

くぐるまたはまたぐなどの全身運動をします。こんなレーザーアドベンチャーのような遊びがお子さまにとっても最高に楽しいし、体幹をサポートするのに理想的な動きです。
しかしコスパが最悪なので簡易的にロープを張って使っても同様の効果が得られます。

【起き上がりこぼし】

体育座りをして腹筋を使いながら戻る
長座から勢いをつけて戻る

小さい頃布団の上でこんな遊びをしませんでしたか?
これって結構腹筋を使う活動なのでお子さまと一緒にやってみてくださいね(^^)

【魔法のじゅうたん】

布やバスタオルに乗って落っこちないようにしがみつきます。体の前側に力を入れておかないと勢い余って後頭部を強打するなんてことも無きにしも非ずなので実施するときはくれぐれも注意してください。

【手押しぐるま】

腰が一直線になってて正しいやり方
この姿勢では腰を痛めてしまう可能性があるので注意
この姿勢では腰をいためてしまう可能性があるので注意

腰を痛めないように体が一直線になるように意識することを伝えて実践してくださいね(^^)

【手押し相撲】

出典:おしたおせ!手押し相撲

こちらはアプリの画面ですが、みなさんが想像しているあの手押し相撲で大丈夫です。
手押し相撲で姿勢を維持する力を使えます。

【いもむし】
縮んで伸びてを繰り返して進みます。大人でも結構しんどい動きになります。腹筋ローラーみたいなしんどさです。


肘を支点に活動しているお子さんのおうち遊び

この状態のお子さんですね。
肩から先(上腕)をメインに動かす運動遊びを取り入れていきます。

・人間輪投げ
・いろんな動物に変身
・パラバルーン
・だっこちゃん
・お手伝い関連
・キャッチボール、風船バレー

【人間輪投げ】
腕をたくさん伸ばして使うようなイメージです。
お子さまの肩よりも高い位置に目標をセットしておくと良い刺激を取り入れることができます。

【いろんな動物に変身】
○クマさん歩き

○アザラシ歩き


○ワニ歩き

○くも歩き

実際のイメージつきましたか?
いろんな動きをすることでお子さん自身も飽きずに取り組むことができます。競争にすることで盛り上がること間違いなし。
もちろん大人と対決をする時はちょうどギリギリ負けてあげて下さいね!笑

【パラバルーン】


ご自宅にある方は少ないかも知れませんが、代わりに布団のシーツとかでも代用できます。握る力・腕を上下に動かす力などを使います。

【だっこちゃん】


落っこちないようにパパやママにしがみつきます。支援者が移動することで腕に負荷がかかるしお子さん的にも楽しさが倍増します!
「あっちの島まで我慢できたらクリア!」みたいな感じでゲーム性を取り入れることで盛り上がります(^^)

【お手伝い関連】

机拭きやお買い物の荷物持ちなど。日常生活の中でも腕を使った活動を探すと意外と出てきそうですよね。
自分の上履きを洗うとかもよさそう。

【キャッチボール・風船バレー】


100円ショップに売ってる柔らかいボールでキャッチボールをしたり、風船をバレーのようにポンポンとラリーをするのもお子さんにとって楽しく腕を使うことができるのでオススメです◎

手首を支点に活動しているお子さんのおうち遊び

肘から先をメインに動かす運動遊びを取り入れていきます。
手首を返した時や絞る動作をしたとこに硬くなる部分をメインに動かすイメージです。

・鉄棒、うんてい棒
・綱引き
・雑巾しぼり
・ジャングルジム
・ロープのぼり

【鉄棒、うんてい棒】


未就学児とかは逆上がりとか何かの技をする必要はありません。手首を返したり、握る時に硬くなる部分をメインに動かせばいいので、ぶら下がるだけでも十分な効果が得られます。

【綱引き】


みなさんがイメージしている通りの動きをしていただければOKです。あくまで握った時に硬くなる部分を使うということを目的としているので綱引きの最後尾で体に巻き付けているような取り組み方は本来の目的と異なってしまうので注意が必要です。

【雑巾しぼり】


雑巾をしぼりって結構握る力が必要なんですよね。小学校に行っても掃除の時間に雑巾をしぼる機会って意外とあるんです。ご自宅で練習しておいても損はしない活動の一つです。

【ジャングルジム】


私がオススメしている遊びランキング1位です!ジャングルジムで遊ぶ=握ることなので思考停止で目的に沿った筋肉を使うことができます。
余談ですが、ジャングルジムはめちゃくちゃポテンシャルを秘めていると思っていて

○握る力
○頭をぶつけないように空間認知する力
○目で見て手と足を必要なところに移動させる協調運動
○機器察知能力

などの向上が期待されます。ジャングルジムを見つけたら遊ばせるだけで得られる効果がたくさんあります!

【ロープのぼり】

近所の小さい公園にあったやつ


こういった遊具のある公園を見つけたら体の成長を促すチャンスです。
期待される効果はジャングルジムに似ているので割愛します!笑

指先を自由に使って活動しているお子さんのおうち遊び

最後に指先を自由に使って活動している状態とは、文字を書いたりハサミで星やハートを切り抜くことが簡単にできるくらい手先を上手に扱えている段階になります。
この段階まで来てやっと鉛筆や箸を正しく持つような声をかけてもお子さんが応じられるようになります。
エジソン箸のような補助具から卒業するタイミングでもあります。

・ねんど
・おりがみ
・アイロンビーズ
・あやとり

それぞれどんな活動なのかはイメージできると思いますので活動自体の紹介は控えます。

まとめ

これまであまり理屈をわからずにやってきた運動も意味がわかると効果が出るまで続けてみようと感じたり、次のステップが見えてきたのではないでしょうか?

家庭で運動を取り入れてても一向に上達する気配がないという方も中には出てきます。同じ運動や動作にこだわる必要はないです。
仮に失敗しても本人が楽しめていればそれでもうOKなんです。
もちろん成功体験or楽しかったで着地していることが理想です!

成功体験の確率を高めるためにお子さんの運動レベルに合った活動を取り入れていく必要があります。
お子さんの運動レベルに合わせた活動を取り入れることで自信に繋がります。運動が苦手な自分でも「できた!楽しい!もっとやりたい!」とポジティブなサイクルに突入します。

適切な難易度を提供した支援者のことを自分を成功に導いてくれる人として認識するため信頼関係も構築されていきますし、ちょっと上のレベルに取り組んでみようとチャレンジする力も身についていきます。

これだけ運動をゴリ押ししている私ですが、全てのお子さんに運動を取り入れているわけではありません。

・運動に苦手意識がある
・失敗に抵抗がある
・動作に恐怖感がある(不安定さ、高低差によって)

このようなお子さんには公園で遊ぶだけでも体のサポートができます。運動嫌いでも家のお手伝いをしながらであれば抵抗なく体を動かすこともできます。
お子さんの成長を促すのにこんな方法があるんだ!と運動がおうち療育の一つの選択肢として認識してもらえたら幸いです。

最後まで本noteを読んでいただき、ありがとうございます!

本noteにはこれまで私が9年間の児童発達支援に携わってきてトータル500人以上のお子さまへ直接支援をして培ってきた経験や知識、ノウハウをめちゃくちゃ詰め込みました。

おうちで療育を取り入れたい保護者さまはもちろん。
実際に児童発達支援に従事している方々へも届いて欲しいと思っています。
冒頭でも少しだけお伝えしましたが、これを一度読んだだけで理解することは正直難しいです。
教科書・辞書的な使い方をするのが適切かもしれません。この記事をブックマークして、おうち療育で悩んだ時や実際の支援場面で悩んだ時にこのnoteのことを思い出して実践してもらえたらとても嬉しい気持ちです!

おうち療育を実践していてもなかなか上手くできない。。。。
という方々の助けになったらいいなと作成したのが本noteです。

このnoteを読んでからお子さまの体の使い方が上手になった!鉛筆を正しく持てるようになった!と嬉しい報告が来ることを期待しておしまいにします。

(実績報告などはRTしますので、メンション付きでいただければ幸いです。夜間は通知をオフにしているのでRTしたのに気づいていない場合はTwitterのDMへご連絡ください)

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