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建築家になりたかった

僕の父は建築の設計士をしていたので、小さい頃の僕も家を作る人になりたいと思っていた。
しかし、大きくなったら大工になりたいと言った高いところが苦手な息子に対し、父親は高所恐怖症では無理じゃないかと現実を語ったのだった。それからもう少し成長し、授業の一環としてCADを使って設計図を作ったり、薄い発泡スチロールのようなもので家の模型作りも体験したのだが、どうにも寸法通り正確に作る、もしくは、正確な寸法で設計するということが苦手らしく、ここでも建築関係は無理だなと思わされたのだった。

高所恐怖症と自分の大雑把さのせいで建築には縁がないと思い込んでいたが、それはそれとして、建築というものに対しての興味は無くならなかったらしい。
Casa Brutus という雑誌は今の時期に家特集をよく組んでおり、僕はその特集を読むのが好きだ。先日も、発売されたらすぐに買いに行き、夜の長い今時分の、枕のお供に楽しんでいる。

苦手意識は未だにあるけど、それでも好きなのだから不思議な感じだ。
好きだからこそ、それに関われないことが尾を引いているのだろうか。建築が好きだと周りに話す時でも、なにか喉につっかえるような感じがする。

僕の建築の好みはというと、コンクリートなどの近代建築だとシンプルなもの、もしくは、木材をふんだんに使った建物が好きだ。だからやっぱり隈研吾は抑えておきたい。

スターバックスの太宰府天満宮表参道店や、

熱海の COEDA HOUSE なんかはとても綺麗だ。

海外だとアップルストアのミシガンアベニュー店(シカゴ)はすごいと思う。
庭の造作などで、縁側から見える風景なども庭のデザインの一部として取り入れることを借景と言うけれど、公園の階段にそのままガラスの瓶を逆さまに被せたような建物は、借景というにはあまりにも借りすぎである。設計はFoster + Partners設計という超有名なところらしい。設計した建物の中では、ロンドンにある座薬みたいなビルとかは、よく映画でも見ることができる。

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それからルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエが設計して、最近リニューアルしたらしいベルリンの新ナショナルギャラリーも好きだ。

自分はどんな建物が好きかなぁと頭の中で並べながら紹介したが、こうして見てみると思いっきり好みが偏っているなぁと気づく。COEDA HOUSE もアップルストアも新ナショナルギャラリーもタイプ的には同じもののように見える。こういう明け透けなものが、僕はお好みらしい。
あ、あと京町屋などの格子なども大好物です。

他にも長坂常(ながさか・じょう)のスキーマ建築計画がリノベーションした Sayama Flat などに心を揺さぶられたりしている。こちらは実際に住むとどうなのだろう。見てる分には美しいなと感じるけれど。

建物だけでなく、家具も好きなのだけど、いわゆるアメリカのミッドセンチュリーは好きではなくて、そうなると中々雑誌の特集でも好みにヒットしにくい。とはいえ、このあたりの名作と呼ばれる家具は結構デザインの著作権が切れているものが多く、いわゆるリプロダクト品として、いろんなメーカーから安く発売されていたりするから名作デザインに触れ易い。
ただ、大きな家具を欲しいと思ったことはないけれど、いつかは名作イスと呼ばれるものの、本物を買ってみようかと企んでいる。その時がくるなら、できれば一目惚れするようなデザインに出会いたい。


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