ワクチン狂死曲

コロナウィルスウィルスワクチンが接種され始めて結構経つものの、接種率は遅々としている。
働き盛りの年代や若者たちが接種しないとか何とか言ってるらしいが、接種しないんじゃない。
『接種して欲しいのに接種できない』ってのが正しい。
偉い人にはそれがわからんのです。
どういう方法で統計が取られているのかわからぬが、神奈川県の接種率はかなり低い。
感染者数は全国屈指に対して、接種率はワースト5に入ってるらしい。
一向に減る気がしないのはそれが一因になってるのだと思われる。

6月末くらいに接種券とやらが横浜市から来た。
50歳以上対象になってる私。
その手続き方法やらの詳細を見ると、まぁめんどくさい(笑)
基礎疾患のない人は8月以降にさらなる詳細をお知らせしますと来た。
そういう時は7月末頃に来るのが常識的だろうが、来たのは8月の2週目。
告知が来たのは8月9日。
受付開始日を迎えた8月11日。
しかし、ここで抜け道があることを忘れていた。
一つは、8月11日は大規模接種や集団接種の開始だったこと。
個別接種はそれよりも前から受け付けははじまっていたこと。
さらに基礎疾患持ちは自己申告制であり、医師の診断書は不要のため、接種券が来た時点でいくらでも狡猾に手続きが踏めたことだ。
何もかもが『おのれぇ~...』である。

ネット予約サイトにアクセス。
しかし、この予約サイトが最悪なのだ。
9時きっかりにパスワードを打ち込まないと先に進めない。
市民のみなさん平等にってことらしい。
そして、9時にアクセスして、さぁ予約って時には会場もワクチンも空きがない。
全てがペケ印。
空欄の日をクリックしても予約出来ないと表示が出る。
探しまくって15分後にはソールドアウト。
電話も繋がらない。
全身がワナワナとふるえて来た。
『コノウラミハラサデオクベキカ....』である。

8月11日時点では50歳以上を対象としていたが、接種対象者は約80万人。
一方でワクチンは4.5万人分しかない。
これに16日からは40歳以上に引き下がったので、さらに12歳以上と引き下がった現在、争奪戦は熾烈を極める。
毎日無駄なエネルギーを使わねばならない。
ましてや、働き盛りの人たちはこの時間には仕事してるのだが、これに宛てる余裕はない。
そうなると手の空いてる家族に託すしかない。
妻、子、親、家族総動員だ。
それでも予約が取れない。
集団接種、大規模接種共に。
個別接種の医院でさえも、『ただいま受付を一旦中止しております』っていうのがたくさんある有様だ。
それでも横浜市が公認している接種会場を、受付している会場をしらみつぶしにあたるしかないのだ。
接種券さえ持ち込めば都道府県問わず受け付けてくれる自衛隊の大規模接種会場でさえも、予約受付開始15分でソールドアウト。
気楽にそこに行けって言うが、そこに行けるんだったら苦労はしないのだ。
それが1ヶ月も続けばストレスは蓄積する。
ただただ『バカヤロウ』である。
『このまま黙って感染しろとでも言うのか』
『このまま黙って死ねとでも言うのか』と。
予約システムを構築した外注先もそうだが、怒りの矛先は横浜市に向かう市民は相当数いる。
それがカジノ反対と相まって林市長落選となったんだろうという察しはつく。

『もうダメだ...』と諦めていた、ある日。
一本の電話が来た。
『あの...佐々木さん、本日診察予約が入っているのですがお見えになってませんよね?』
先方は軽度の病気ならばいつも世話になってるかかりつけの医院。
そしてコロナウィルスワクチン接種をしてくれる医院でもあった。
『実はこちらの手違いでして申し訳ないです。
ワクチン接種の予約をお願いしたかっただけなのですが....』と返す。
ワクチン接種にしても取り扱ってるワクチンも多種多様である。
インフルエンザも日本脳炎も麻疹も風疹もあるし、予約すれば取り寄せて接種してくれるのだ。
ダメもとで突っ込んでみた。
『コロナウィルスワクチン接種をやってくれるって聞いてたものですから...』と恐る恐る言うと、全てを察してくれたようだ。
『ええ、取り扱ってます。
取り扱ってますが、ただいまワクチンの在庫がないので入荷次第になりますがよろしいですか?』
よろしいも何もない。
『お願いします!』
『入荷したらご連絡差し上げますのでお待ちください』
だが、ここで喜べぬ。
物事なんでもそうだが、そういう返事はたいがいは最終的には断られるのだ。
ちょっと間を置いて返事するのがコツで、頑張ってみたんですけどダメでしたと嘘でもポーズを取って返すための、丸く収めるための常套手段なのだ。
全然期待してなかった。
それが2週間前。

完全に諦めてたところに『ワクチン接種のご連絡です』と来た。
断わられるのかと思いきや、『直近ですと....』って来たので気が変わらぬうちに日程を決めた。
1回目の接種日が決まれば2回目も自動的に決まるシステムを取ってるらしい。
『とりあえず一安心...』とホッと胸を撫で下ろした。
しかし、『とりあえず』でしかない。
当日、この肩にブスッと注射針が刺さってワクチンが投与されるまでは安心は出来ぬ。
横浜市は薄情な街だ。
市民税を高くぼったくっておきながら、こういうことに時間も税金も遣わない。
薄情な街なのだが、あなた方は違っていたのだ。
医療逼迫や医療崩壊が叫ばれる中でも見捨てないでくれたのだ。
社交辞令で済ましておかなかった先方の医院の方々にまずは感謝したい。



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