愛ゆえに...

リアルタイムの『北斗の拳』世代。
ある者は、北斗神拳とは何ぞやと経絡秘孔を知るために鍼灸師になった。
ある者は、南斗水鳥拳に近付くために器械体操部に入った。
ある者は、格闘技を習い始めた。
で...自分は特になにもしなかった(苦笑)
それでも、ケンシロウやケンシロウを取り巻く主要な登場人物たちのセリフは沁み込んでいる世代でもある。

一年のうちで嫌いな日が3日ある。
12月24日と25日。
そして2月14日。
そう、クリスマスとバレンタインデー。
どちらもキリスト教関連の行事ってのが何だかなって気がする。
『神の前では平等です』っていうけど、『嘘つけ、バカヤロウ』って叫びたくなる日でもある。

『愛ゆえに人は苦しまねばならぬ。
 愛ゆえに人は悲しまねばならぬ。』
南斗鳳凰拳伝承者・サウザーのセリフ。
みなしごとして世に出たサウザーを先代の伝承者・オウガイに拾われて育てられたサウザー。
『お師さん』として慕い、愛情たっぷりに育ち、学び、伝承者への道を歩む。
ところがギッチョンチョン。
一子相伝の南斗鳳凰拳は掟がある。
伝承者への試練、目隠しして襲い掛かる敵を倒すべしという試練に臨むが、終わってビックリぽん。
『お師さん』を倒す、すなわち自らの手で殺しちゃった。
先代の伝承者を倒すことが伝承者の試練であり、始まり。
厳しくも優しい師であり、深い愛を受けた父とも慕う者を手にかけたことへの苦しみと悲しみに耐え切れなかったサウザーは、『こんなに苦しいのならば悲しいのならば愛などいらぬ』と愛を捨てたつもりだった。
でも、ケンシロウとの死闘で、最後の最後にそれは捨てきれぬものだとわかる。
愛が生んだのは『苦しみ』や『悲しみ』だけでなく、『ぬくもり』でもあったことを。
『哀しい男よ、誰よりも愛深きゆえに』と捨てようとしたサウザーに情けをかけるケンシロウ。

翻って自分。
『はて...』と考え込む。
サウザーのように孤独でもない。
かといって多くの方々の愛情を受けたかというとそれもどうかと。
女性には縁がない。
悲しくなるほど縁がない。
打算の犠牲にさせられること数知れず。
騙されることも甲斐性さと強がりをいっても虚しさだけが残る。
愛が生んだ、苦しみと悲しみだけが積もり積もってぬくもりがあったことさえも忘れてしまう。
『こんなに苦しいのならば悲しいのならば愛などいらぬ』と。
でも、サウザー同様に捨てきれない。
そしてリフレインする。
『愛ゆえに人は苦しまねばならぬ。
 愛ゆえに人は悲しまねばならぬ。』
誰に向けて良いものかさっぱりわからないで半世紀近くが経とうとしている。


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